かねてより噂されていたとおり、ロレックス(ROLEX)は伝説的なペプシこと、象徴的なブルーとレッドのセラクロムベゼルを備えたGMTマスター IIのステンレススティールモデル(Ref.126710BLRO)とホワイトゴールドモデル(Ref.126719BLRO)の生産終了を正式に発表した。かつてトラベルウォッチとして、SSケースにオイスターまたはジュビリーブレスレットを組み合わせたブラックダイヤル、18KWGケースのブルーラッカーまたはメテオライトダイヤル(共に18KWG製オイスターブレスレット)の計4モデルを展開していたが、ロレックスのなかでも最も人気のあるモデルのひとつであるモダンなペプシが、12年間の生産を経て、ひとまず(願わくば一時的な)生産終了を迎えた。
Photo by Hodinkee.
Photo courtesy Rolex.
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もしあなたがデジャヴを感じているとしたら、それはペプシ GMTマスター IIの終焉に関する噂が少なくとも3年前から流れていたからだろう。そのため、今年の初めに再びその噂が広まり始めたとき、多くの人々(筆者を含む)は懐疑的になっていた。しかし再燃した憶測は二次流通市場を過熱させ、金融メディアのブルームバーグ(Bloomberg)までもがその動向を報じるほどだった。今回の生産終了の時点で、ペプシを入手するのはロレックスのパンダことデイトナと同じくらい困難になっていたと、本稿のために取材した多くの小売業者は語っている。
我々のリファレンスポイントに掲載されている、Ref.6542 GMTマスター。
歴史上最も象徴的な時計のひとつであるペプシが与えたインパクトに疑いの余地はない。その物語は、昼夜の時間を示すためにデザインされたベークライト製の赤と青の24時間ベゼルを備え、パンアメリカン航空のパイロットが複数のタイムゾーンを把握するために開発された、1954年発表のRef.6542にまでさかのぼる。その配色は、瞬く間に同ブランドで最も切望される人気の(そして最も頻繁に模倣される)時計のひとつとなった。特に供給が限られていたことや、2007年頃から2014年までカタログにペプシのバリエーションが存在しなかった事実から、再販が開始されるとその関心はさらに高まった。
生産終了時の定価は、SSモデルのオイスターブレスレットが174万7900円、ジュビリーブレスレットが178万900円、18KWGモデルのブルーダイヤルが751万4100円、メテオライトダイヤルが787万3800円(すべて税込)だった。18KWGモデルは二次流通市場でも定価前後の相場で取引されていたが、SSモデルは定価の2倍以上の値を付けていた。
2007年に発表された初のセラミックベゼル採用のSS製GMTマスター IIは、コントラストのないオールブラックのセラクロムベゼルのみだったが、これは製造が最も容易だったからだ。2013年、ロレックスは同モデル初のSSバージョンである“バットマン”こと、Ref.116710BLNRを発売し、翌2014年に“ペプシ”が登場したが、当時は18KWGモデルのみの展開だった。
SS製のRef.126710BLRO “ペプシ” GMTマスター IIが登場したのは2018年のことで、伝統的なオイスターブレスレットを備えた18KWGモデルと視覚的に区別するため、ジュビリーブレスレットのみの設定だった。同年、18KWGバージョンにはブルーダイヤルが採用され、両モデルの差別化がさらに進んだ。SS製の“ペプシ”でオイスターブレスレットが選択可能になったのは、2021年のことである。
Photo courtesy Rolex.
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しかし、塗料を一切用いずに単一のセラミックパーツで2色を実現することには、いくつかの課題があった。情報筋によれば、ブラックとブルーの組み合わせは、黒が下の青を覆い隠すため(グリーン&ブラックのスプライトやブラック&グレーのバリエーションと同様に)製造が容易だそうだが、例えば、Ref.126710BLROのベゼルにUVライトを当てると、セラクロムインサート全体が赤く光るという。現在、SSモデルに残されたベゼルのバリエーションは、ブラック&ブルー(ブレスレットによって“バットマン”または“バットガール”と呼ばれる)、ブラック&グレー、そしてグリーン&ブラックベゼルのレフトハンドモデル(スプライト)の3種類のみとなった。
メテオライトダイヤルは、右に掲載した希少なRef.6542 アルビノ GMTマスターへのオマージュかもしれない。ロレックス内部の情報筋は、これを希少な時計の正当性を暗に認めたものだと評している。
ペプシの生産期間を通じて、ベゼルのブルーとレッドにはいくつかの異なる色合いが存在した。コレクターがMk.1と呼ぶパステル調のトーンから、現在のMk.3に見られるような深いネイビーとバーガンディに近い色合いまで多岐にわたる。
初期のMk.1ベゼルの写真。
“ペプシ”のステータスを巡る議論は今年初めに再燃したが、その一因はリストエンスージアスト(WristEnthusiast)によるインスタグラム(Instagram)の投稿だった。その投稿では、2023年にロレックスが買収したブヘラ(Bucherer)を含む複数の小売業者が、ウェブサイトから“ペプシ”を削除したことが指摘されていた。
しかし、その動画が投稿された4日後の2026年2月28日の時点では、ブヘラの米国サイト、さらにはフォートーン(Fourtane)やウォッチズ・オブ・スイッツァーランド(Watches of Switzerland、ホディンキーの親会社)のサイトでも、実際にはすべてのバージョンの“ペプシ”が掲載されていた。一方で、テキサス州オースティンのコーマン(Korman)やイリノイ州シカゴのラズニー(Razny)など、他の小売業者をスポットチェックしたところ、掲載はなかった。結局のところ、このモデルはすでに終焉に向かっていたのである。
また、ブルーセラミックベゼルにブラックダイヤルを備えた18KWG製の“クッキーモンスター”ことサブマリーナー デイト(Ref.126619LB、スマーフの後継モデル)もコレクションから姿を消す。この時計の定価は774万1800円(税込)だったが、二次流通市場では3万5000ドル(日本円で約555万円)程度まで下がって取引されていた。ロレックスは、Watches & Wonders 2026に向けた製品リフレッシュの際に自社サイトからこれらのモデルが消えたのを受け、すべてのモデルの生産終了を認めたことになる。
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