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上、左から右へ。オクト フィニッシモ ミニッツリピーター、オクト ローマ カリヨン トゥールビヨン、オクト ローマ グラン ソヌリ パーペチュアルカレンダー。
ブルガリは、超薄型時計製造における数々の記録を打ち立てたことで、おそらく最も知られている。実際、同社はこのジャンルで非常に多くの世界記録を破り、その一部は十数年にわたって君臨し続けているため、多くの愛好家にとって、ブルガリは超薄型時計の代名詞となっている。
しかし、同社は時計製造の分野では他にも多くのアイデンティティーをもっており、その中には期待されるようなハイジュエリーや高度な複雑時計も含まれる。そしてこれらは多くの場合、オクト ローマの八角形とサークルを合わせたケースをモディファイしたものだ。本日、LVMHウォッチウィークで、ブルガリはオクト ローマの最新複雑時計を発表。オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンは、3つのゴングでウェストミンスター・チャイムを奏でるリピーターとトゥールビヨンを組み合わせたモデルである。
オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンは、ブルガリのリピーターの中では、ミドルレンジに位置するというと奇妙に思われるかもしれないが、少なくとも複雑さという点では、このモデルはそれに当てはまっているように思う。ブルガリの現在のラインナップの中で、リピーターを最もピュアに表現しているのがオクト フィニッシモ ミニッツリピーターだ(A Week On The Wristで試用する機会を得られた数少ないリピーターの1つで、これは今まで見聞きした中で最も興味深く、示唆に富んだリピーターでもある)。そしておそらくこのモデルの対極にあるのが、オクト ローマ グランド ソヌリ プチソヌリ パーペチュアルカレンダーだ。これは、時計製造で最も尊敬される2つの複雑機構を組み合わせた大作である(グランド ソヌリの場合は、製造と組み立てが最も困難な時計の1つだ)。
オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンは、オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター カーボンの荘厳さと、オクト ローマ グランド ソヌリ プチソヌリ パーペチュアルカレンダーの比類なき複雑さを併せもち、両方の時計のDNAが少しずつ含まれている。そして、カーボン製のオクト フィニッシモ ミニッツリピーターほどミニマルではないが、オクト ローマ グランド ソヌリ プチソヌリ パーペチュアルカレンダーよりも親しみやすく(税抜2813万円という価格をグランド ソヌリの9306万円と比較して)、全体的にもう少し調和が取れており、洒落が弱められている。
現代的な素材と伝統的な時計製造の組み合わせは、直径44mmのブラックDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングのチタン製ケースに始まる。チタンは厳密に言えば、リピーターのための伝統的な素材ではない(従来の常識では、しっかりと加工されたピンクゴールドが最適とされる)。しかし、これまでも鳴り物系の時計に使われてきた素材であり、ピンクゴールドのような温かみは無いかもしれないが、その軽量さと剛性感は優れた反響板となる。
とはいうものの、これは極めて外向的な時計づくりだ。ブルガリは、必要に応じて洗練されたミニマリスティックな時計を作り上げることができることを何度も実証してきた。本作は、誇らしげなマキシマリストであり、オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンがグランド ソヌリの形状や輝く色使いをされているわけではないが、熟考する価値のある時計として十分なディテール(ルーペ片手に見るべき)をもち合わせている。
その外向的な性質に合わせて、ムーブメントの構造は通常のリピーターウォッチの配置を逆転させている。通常、リピーター機構を駆動するためのラックギア、スネイルカム、動力ゼンマイを収めた別個の香箱はダイヤルの下にあり、レギュレーター(チャイムの速度を制御)、ハンマー、ゴングはトッププレート(時計職人の専門用語でムーブメントの裏側を意味する)に置かれている。この配置の理由は、リピーター機構が基本的に時針と分針の位置から時間を“読み取る”という事実と関係があり、針を駆動する歯車、いわゆる伝達機構はダイヤル側にある。しかし、これは伝統的なミニッツリピーターでは、少なくともその機構を手首の上ではあまり見ることができないことを意味し、ハンマーが打つのを見たい場合は、時計を外す必要がある。
オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンのために、ブルガリは通常の配置を反転させた。3つのゴングと3つのハンマーはダイヤル側にあり、9時位置には、遠心調速機が見えるようになっている。そのため、時計を外さなくても、それらの動きを見ることができ、より技術的で魅力的な動きを見たいという場合もそれが可能だ。視覚的に華々しい演出は少ないものの、ラックギアやスネイルの動きは、背面のシースルーバックから確認できる。さらに裏面にはパワーリザーブインジケーターもある。
モダニズム的なデザイン要素と非常に伝統的な時計製造(トゥールビヨンケージやリピーターは、スイス高級時計製造のデザインと仕上げの典型的な例)を組み合わせることは難しく、デザイナーの目指すところが、それ自体のための明白な誇示以上に高尚なものではなかったように見えてしまうことが、しばしば見かけられる。しかし、ブルガリはこの点ではうまくやっていると思う。オクト フィニッシモ ミニッツリピーター カーボンのように完璧に統合されたデザインではないにしても、機械としての時計と、高度な複雑時計製造の独創的な複雑さを臆することなく称賛することで、それを補う以上のものである。
ブルガリ オクト ローマ カリヨン トゥールビヨン: ケース 44mm、DLCコーティングが施されたマット仕上げのチタン製。オープンワークのチタン製ミドルケース。ホワイトゴールド製リューズはブラックセラミック製インサート。ホワイトゴールドのプッシュボタン(リピーター作動用)。ムーブメントは手巻きのCal.BVL428。ミニッツリピーター(3つのハンマー)。75時間パワーリザーブ。ケースバックにパワーリザーブインジケーター。2万1600振動/時。オープンワークムーブメント、ブリッジはDLCコーティング仕上げのチタン製。直径55mm x 8.35mm。合計432の部品で構成。世界15本限定。価格: 2813万円(税抜)。詳細はブルガリ公式サイトへ。