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Hands-On パルミジャーニ・フルリエの新しいトリック クロノグラフ ラトラパンテの所感

トリックコレクションは複雑機構なしでは語れないが、パルミジャーニはそのなかでも最高のものを用意した。

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最近、私は新しくデザインされたパルミジャーニ・フルリエのトリック プティ・セコンドを見てきた。この時計はブランドのオリジナルコレクションに属するタイムオンリーウォッチであり、今年のWatches&Wondersで再解釈されて復刻した。しかし、展示会で発表されたのはこのスモールセコンドバージョンだけではない。ブランドはラインナップをさらに充実させるために、新しいスプリットセコンドクロノグラフも発表した。

 初期のトリックコンプリモデルは市場ではまだ過小評価されているが、中期のクロノグラフは2次流通市場で高い価格を維持しているのは事実である。トニー・トライナが、チャールズ国王の“コレクターズチョイス”としてゼニスのエル・プリメロムーブメントを搭載したトリック クロノグラフについて書いたときから、私はこれらの時計に注目し始めた。つまりトリックをクロノグラフとして捉えるなら、“メモリータイム”(リッチ・フォードンの記事はこちら)と比較しても、この時計はぴったりなのだ。しかもこの時計はブランド外のムーブメントではなく、マニュファクチュールムーブメントを搭載しているのでさらに優れている。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 新しいトリック クロノグラフ ラトラパンテ ローズゴールドは、同ブランドのトンダ PF スプリットセコンドクロノグラフや以前のトンダ クロノール アニヴェルセールにも使用されているCal.PF361ムーブメントを搭載。このムーブメントは18Kローズゴールド製で、高振動数(3万6000振動/時)で動作し、スプリットセコンド用のダブルコラムホイールを備えている。ムーブメントのサイズは比較的スリムな30.6mm径×7.35mm厚で、約65時間のパワーリザーブを持ち、サテン仕上げのオープンワークと手作業で面取りされたブリッジが特徴だ。時計は3時位置に30分積算計、9時位置に12時間計、6時位置にスモールセコンドを配置している。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 以前ローガン・ベイカーは、“これは世界で最も過小評価されているスプリットセコンドムーブメントではないか”と尋ねたことがある。スプリットセコンドクロノグラフ自体非常に珍しいため、その評価は難しいところだ。資金不足のブランドにとって、トゥールビヨン、永久カレンダー、さらにはミニッツリピータームーブメントを購入することはスプリットセコンドクロノグラフよりもはるかに安価である。IWCはRef.3711 ドッペルから最新バージョンに至るまで、バルジュー7750を改良してスプリットセコンドクロノグラフに変えていた。ハブリング²も比較的手頃な価格のラトラパンテを実現している。しかしそれ以外での選択肢は少なく、どちらのクロノグラフムーブメントもパルミジャーニほど優雅にデザインされておらず、スケルトン化もされていない。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 トリックとトンダを区別するのは、そのデザイン哲学と系譜である。ブランドが今年トリックを復刻したと述べたが、“復刻”という言葉はパルミジャーニが行ったことを正確に表していない。過去の記事でも触れたように、パルミジャーニはトリックのデザインで過去を振り返るのではなく、ドーリア式円柱にインスパイアされたフルーテッドベゼルや“トーラス”ジオメトリーのような、いくつかの重要なデザイン要素だけを残している。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 ダイヤルはプティ・セコンドと同様に、手作業でグレイン加工された18Kゴールド製で、“ナチュラルアンバー”仕上げのバラ色がかったブラウンの色合いが特徴だ。またダイヤルはフラットではなくシェヴェ加工され、エッジに向かって傾斜し、ケースと風防の自然な形状にマッチしている。サブダイヤルも滑らかに面取りされ、18KRGのアプライドインデックスが手作業で植字されている。時・分・クロノグラフ秒針は18KRG製で、スプリットクロノグラフ秒針はロジウムメッキされており、カウンターにはスティールが使用されている。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 この時計のデザインには鋭いエッジが一切ない。私は一般的に、大胆なファセットを持つケースを好むが、ケースのデザインを滑らかにするのは難しい。それはしばしば、文字どおり過度に磨かれたようなデザインになりがちになるのだ。ただ新しいトリックは、20年前の時計のように、元の所有者が傷やへこみを取り除こうと過度に磨いたようには見えない。ただスリムでクリーンな印象を与える。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante
Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 18KRGのケースは、42.5mm径×14.4mm厚のサイズだ。スプリットセコンドクロノグラフは通常厚みがあり、このモデルも例外ではない。しかしやや短くなったラグにより、より多様な手首にフィットしやすく、またストラップがより鋭く下に落ちるようになっている。トリック プティ・セコンドと同様に、ラトラパンテもサンドゴールドカラーのハンドステッチが施されたヌバックアリゲーターレザーストラップを採用。“プント・ア・マーノ”ステッチというイタリアの裁縫技術のセンスが光る。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante
Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante
Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

 新しいトリック ラトラパンテは、予想どおり限定生産モデルである。このレベルのラトラパンテウォッチを作成する技術的な挑戦は非常に高いものだろう。2024年9月に発売される際には、新しいトリック ラトラパンテを手に入れるチャンスはわずか30回しかない。価格は2128万5000円(税込)であり、RG製のトンダ PF ラトラパンテの962万5000円(税込)と比較しても妥当なラインに思える。正直なところ選ぶとしたら、毎回トンダ ラトラパンテよりも新しいトリックを選ぶだろう。おそらくそのダイヤルの品質と独自性のためだが、過去数年間のトンダ PFラインの賞賛を考慮しても、トンダは注意が必要だ。トリックが再び登場したのだから。

Parmigiani Toric Chronograph Rattrapante

パルミジャーニ・フルリエ トリック クロノグラフ ラトラパンテ。Ref.PFH951-2010001-300181。直径42.5mm、厚さ14.4mmの18Kローズゴールド製ケース、30m防水。18KRG製ハンドグレイン仕上げのナチュラルアンバーカラー文字盤、18KRG製インデックスと時・分・クロノグラフ秒針、6時位置にスモールセコンド、30分積算計と12時間計、スプリットセコンドクロノグラフ。サテン仕上げのオープンワーク、手作業による面取りが施されたブリッジ、約65時間パワーリザーブ。サンドゴールド製ハンドステッチ入りヌバックアリゲーターストラップ。世界限定30本。価格は2128万5000円(税込)