trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Photo Report HODINKEE.jp × Montblanc エクスクルーシブ ナイト in 銀座 2025

歴史的なストップウォッチから、ピタゴラス理論が息づくミネルバキャリバーまで。ミネルバの魅力を深く掘り下げた、HODINKEE Japanとモンブランによる特別な夜。

ADVERTISEMENT

2025年6月20日(金)、東京・銀座のモンブラン銀座本店にて、HODINKEE.jp × Montblanc エクスクルーシブ ナイトが開催された。Watches & Wonders 2025で発表された新作モデルが披露されたほか、ブランドのウォッチメイキングの礎ともいえるミネルバについて、専門的かつ深度のあるトークセッションが展開。ゲストには時計評論家の並木浩一氏を迎え、HODINKEE Japan編集長関口 優との対談形式でトークショーが進行された。

 モンブランは筆記具・レザーグッズ・時計という三領域にわたりクラフツマンシップの宿る製品を展開している。それぞれの分野で専門性の高い製造拠点を構え、筆記具はドイツ・ハンブルク、レザーはイタリア・フィレンツェ、時計はスイス・ル・ロックルとヴィルレにて生産されている。こうした本場主義とも言える生産体制は、ブランド全体の技術的信頼性と造形美に寄与している。

時計評論家である並木浩一氏(左)の話す内容に、参加者たちは深くうなずきながら耳を傾けていた。

 イベントスタートと同時に開始されたトークセッションの話題は、ミネルバとモンブランの関係を軸にブランドのルーツをひもとくようなトークが繰り広げられた。ミネルバはスイス・ヴィルレに拠点を構える老舗マニュファクチュールであり、20世紀初頭からクロノグラフやストップウォッチなどの高精度計測機を製造してきた実績を持つ。だが2000年代初頭、経営難により存続が危ぶまれる状況にあった。

 その際、モンブランが傘下に迎えた経緯について、並木氏は買収というよりミネルバが“お嫁入り”をしたと話した。ブランド名を残しつつ工房を存続させ、職人と技術の継承を最優先としたモンブランの姿勢は、一般的な企業買収とは一線を画すものだったという。モンブランはこのミネルバの工房をミネルバ高級時計研究所と名付け、現在もスイスの地に存続させている。

並木氏所蔵のストップウォッチ。

イベント当日、並木氏が持ち込んだミネルバの腕時計。

 実は、ミネルバの技術はストップウォッチ分野においても広く評価されてきた。1936年のガルミッシュ・パルテンキルヒェン冬季五輪ではスキー競技の公式計時を担当。またアメリカ三大ネットワーク(ABC、NBC、CBS)においても、番組制作のタイムキーパー用にミネルバのストップウォッチが採用された実績がある。そのラインナップは最大で50種類以上のバリエーションが存在し、水泳、ラリー競技、馬術、ヨット、科学研究など、それぞれの用途に応じて設計が最適化されていた。なかでも、100分の1秒を計測できる手巻きモデルはギネス世界記録にも登録されている。会場には並木氏の私蔵品から複数のストップウォッチが展示され、来場者が実機を間近に確認する機会が設けられた。

 ミネルバのムーブメントは、構造の明快さと仕上げの美しさにおいて際立っている。それぞれのパーツがていねいに作り込まれ、機能性と審美性が高い水準で共存しているのが特徴だ。Cal.48は“ピタゴラス”の名で知られる設計思想に基づいており、黄金比を応用したセンターブリッジが美的バランスと機能性を兼ね備えている。一方、ミネルバのかつてからのこだわりである1万8000振動というロービート設計は、現行のハイエンドモデルにも踏襲されている。このロービート設計は安定性のある大径テンプを低い振動数で動かし、人の手による調整で追い込めるチラネジ仕様によって、精度を追求している。

 「本当にタイムスリップしたような。昔ながらの機械を使って、伝統的な作り方をしている」。並木氏がそう振り返ったのは、初めてミネルバの工房を訪れたときの衝撃である。時計の教科書にすら載っていないような機械が現役で稼働し、現代の量産体制とは異なる世界がそこにはあったという。モンブランがこの工房を存続させたことで、伝統技術が途絶えることなく受け継がれ続けていることに、並木氏は深い感銘を受けたそうだ。

 トークセッション終了後は、参加者同士が自由に交流する時間が設けられた。会場にはモンブランの新作時計に強い関心を寄せる来場者や、かねてからミネルバに引かれてきた愛好家たちが集い、それぞれの思いを共有し合うひとときとなった。展示されたヴィンテージのストップウォッチを間近で観察したり、並木氏と直接言葉を交わしたりする姿も見られた。同氏の熱量あふれる語り口に引き込まれた来場者が、その後も時計談義に花を咲かせていたのが印象的であった。

 技術や歴史の話題をきっかけに、モンブランというブランドのものづくりに対する姿勢が少しずつ伝わっていく。参加者たちは展示された時計を手に取りながら、それぞれの視点でブランドの魅力を見つめ直していた。筆記具やレザーグッズの印象が強いモンブランだが、時計製造においても高度な技術と思想を有することを改めて感じさせられる一夜となった。

 それでは当日の会場の様子を、撮り下ろしの写真とともに振り返っていこう。

イベント当日並木氏が着用していたのは、ミネルバ 13-20CH。

モンブラン スターレガシー エグゾトゥールビヨン スケルトン エンヘドゥアンナ リミテッドエディション。

モンブラン ヘリテイジ オートマティック。

モンブラン スターレガシー ニコラ・リューセック クロノグラフ マイスターシュテュック 100周年特別限定品。

モンブラン 1858 アンヴェールド タイムキーパー ミネルバ リミテッドエディション。

モンブラン 1858 アンヴェールド ミネルバ クロノグラフ リミテッドエディション(左)、モンブラン 1858 アニュアルカレンダー ジオスフェール リミテッドエディション(右)。

モンブラン アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810。

会場には、自らのミネルバ コレクションを携えた愛好家の姿も。大切に保管された複数のヴィンテージピースが披露され、その場にいた来場者や関係者の目を引いていた。

ミネルバ ピタゴラス Cal.48。

モンブラン アイスシー オートマティック デイト。