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時計の鼓動を十分に時間をかけて聞くことには、ひとつ良い点がある。仕事の現場で費やした時間の力は、人々があなたに対し、安心感や信頼感を抱いてもらうことにつながって、遅かれ早かれ何事かに参加するよう誘いかけられるようになるのだ。
私の場合は、2017年の時計コンテスト「Grand Prix d'Horlogerie de Genève(GPHG)」の審査員を務めたのが、そんな場面だった。ジュネーブで年に一度開かれるこのコンテストは、出品された時計に対して一連の賞を授与するものである(言い換えれば、グランプリというその名の通りの素晴らしいコンテストだ)。
審査はいくつかの理由から、とても興味深いものだった。一つは、広範にわたる時計の長所について、非常に活発で、時に熱を帯びた議論が展開されたことだ。現代の時計たちを誕生させた最高に輝かしい技術を評価するのだ。今年の審査員の一人には、フィリップ・デュフォーもいた。スイス時計製造界の生きた伝説の一人と共に審査員を務めていることに対し、幾分怖気づきもした。そんな自分を克服しようと、私は休憩時間を利用して、彼に長年尋ねてみたかったこんな質問を投げかけたのだ。「デュアリティの理論的根拠とは何なのか?」
私たちの大多数にとってデュアリティとは、やや謎めいた時計だ。デュフォーは、その時計をごくわずかしか作らなかった。その時計が彼によって作られたのは、1990年代後半の短い期間だ。もともと25個の製造が予定されていたが、結果的にはわずか9個しか製造されなかった。それらの時計は発売からの数年間、大きな反響を呼んだ。しかし、少なくともこの10年間は、その希少性と、所有者が手放したがらなかったことを理由に、かなり隠れた存在となってしまっていた。そのためデュアリティについて語られることも、少なくなっていったのだ。それでも、最近のフィリップスのオークションでは、デュアリティNo. 00が売りに出され、最終的には約9881万円という驚くべき価格で落札された。この数字は、想定落札価格の2倍以上である。
デュアリティは、概念的にも機構的にも、1930年代のヴァレ・ド・ジュウ時計学校で作られていたスクールウォッチに基づいている。それは二重テンプ式の懐中時計であり、ひとつの輪列と2つのテンプが付いている。動力は、差動(ディファレンシャル)によって各テンプに伝えられる。デュアリティのために、デュフォーは、差動機構をほぼマッチ棒先のサイズにまで縮小させなければならなかった。これは今でも偉業だろうが、1990年代には、全く前例がなかったことだ。
短い会話の中で、彼はデファレンシャルギアは差動機構が少々悩みの種だったと述べた。彼いわく、その機能の仕方を視覚化することは「非常に難しい」とのことだった。具体的に言うと、一つのテンプを停止させても、もう片方のテンプは引き続き作動する必要があることは分かっていたが、一つのムーブメントを仕上げるまでは、実際にその通りになるのか確信が持てなかったのだ(彼がこれについて語るとき、デファレンシャルギアが正しく機能したのを見た瞬間に彼が感じたに違いない喜びと安堵を、何年も経った現在でさえ、あなたも実感できるだろう)。
また別の興味深い情報としては(私もそれまでは気づかなかったのだが)、一つのテンプを完全に止めた場合、もう片方のテンプは動き続けるが、秒針は1分ではなく2分かけて文字盤上を一回転することになる。これは、今考えれば、デュアリティの背後にある全体的な原理が、2つのテンプの比率の平均を取って同調させることであることを思い出せば納得できる。だが、デュフォーが私に教えてくれなければ、それが真相であるとは絶対に気づかなかっただろう。
デュフォーは、デュアリティの背後にある基本的な発想は、私たちの多くが知っての通り、二つのテンプを同調させることだと述べている。この技術的な解決法が、より良い比率をもたらすために、彼は一つのテンプがわずかに速く、もう片方のテンプがそれより遅く動作するように調整した。そのような状況下では、あらゆるポジションにおいて、比率の変動が互いに打ち消し合う傾向を示すようになり、(テンプの平衡状態における残余誤差がもたらす)潜在的な変動を減少させるはずである。スティーブンがオークションの前に記事でデュアリティを取り上げた際、論評の中で浮かび上がってきた点は、ヒゲゼンマイが向かい合う固定点も、垂直位置で潜在的誤差を互いに打ち消し合う傾向を示すかどうかだった。デュフォーは、当然ながら主要課題はすべてのポジションにおいてすべての比率の平均を取ることであるが、その打ち消し合いはいかにも事実であると述べている。
これらの点はいずれも新事実を明らかにしたわけではないが、デュフォーに直接、自らの創作物への見解を尋ねられたことで、この時計にまつわる私自身のいくつかの基本的なギャップを埋めることができた(今まで私は、片方のテンプが完全に停止したらどうなるかなど考えもしなかった。しかし、結果として、それがデファレンシャルギアの仕組みの基本的な表現であることが判明するのだ)。そして、2つのテンプの調整過程についての彼の説明は、最高に価値のあるものだった。デュアリティは今や約1億円近い価値を持つ希少品となったが、そのことはデュフォーの才能と自らの作業過程に対する誠実さを物語っている。デュアリティは誕生から20年を経へてもなお、知的刺激に富む議論を喚起する存在なのだ。