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Introducing MB&F レガシー・マシン パーペチュアルとシーケンシャル フライバック “ロングホーン”で20周年の幕を開ける

これはMB&Fが大きな節目を祝うために予定している、数々のビッグリリースとニュースの第1弾である。

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我々が知っていること

2009年、MB&Fが初めてレガシー・マシンの開発を始めたときの最初のアイデアは、LM1に長くて彫刻的なデザインの(“ホーン”と呼ばれる)ラグを使うことだった。しかしストラップをケースに近い位置にするか、それともラグの先端にするか、どちらがしっくりくるのかが決まらず、結局そのまま計画はストップしてしまった。そのあとこのアイデアが再び動き出したのは2021年のこと。LM1の10周年を記念して、スティールケースとブラックダイヤルのプロトタイプが製作され、ラグには2つの穴を設けることでストラップのフィット感を調整できる仕様になった。この時計は同年に行われたフィリップスオークションにて27万7200スイスフラン(当時の相場で約3330万円)という価格で落札され、収益の多くが非営利団体のセーブ・ザ・ライノ・インターナショナルへ寄付された。

LM1 Prototype

ユニークピースのLM1 “ロングホーン”。Prototype. Photo courtesy Phillips.

 MB&Fは20周年を記念して、このアイデアを過去10年の傑作ともいえるふたつのモデルで復活させた。それが、2015年にスティーブン・マクドネル(Stephen McDonnell)氏が開発したLM パーペチュアルと、2024年に同じくマクドネル氏が手がけたLM シーケンシャル フライバックだ。どちらのモデルも驚くほど立体的で彫刻的なムーブメントを持ち、SS製ケースに収められている。サイズは共に44mmで、LMパーペチュアルは厚さ17.5mm、シーケンシャル フライバックは18.2mmと、厚さが少し異なる。

LM Perpetual Longhorn

 ダイヤルプレートはロジウム仕上げで、ほかのパーツと同じく金属の質感を生かしたデザインになっている。ただしブラックラッカー仕上げのインダイヤルとブルースティールの針がアクセントとなり、全体的に少し違った表情を加えている。ブランドによると、このブラックラッカー仕上げは特に難しく、ほんの少しのホコリでもすべてが台無しになってしまうほど、繊細な作業が必要だそうだ。

LM Perpetual Longhorn

 この時計はとても印象的だが、名前の由来になっている“ロングホーン”ラグも同じくらい目を引くポイントだ。その違いを完全に言葉で伝えるのは難しいが、実際に見ると以前の記事で撮影したモデルとは明らかに違いがあるのが分かる。比較写真も下に載せているので、ぜひ確認して欲しい。さらにこのラグは、ストラップを取り付ける穴の位置を変えることで、手首の大きさに合わせてフィット感を調整できるようになっている。細い手首でも太い手首でも、快適につけられる工夫がされているのだ。

LM Perpetual Longhorn
MB&F Comparison

 ムーブメントは相変わらずクールで、仕上げも見事だ。手仕上げによる面取りの角や磨き上げられた見返しリング、コート・ド・ジュネーブ装飾、手彫りのエングレービングなど、細部までこだわりが詰まっている。しかもこのクオリティが、限定生産の40本それぞれにしっかり反映されているのも驚きだ。今回のモデルはブランドの20周年を記念して、それぞれ20本ずつの限定生産だ。価格はどちらも同じで、税別16万8000スイスフラン(日本円で約2890万円)となっている。

LM Perpetual Longhorn

我々の考え

スイス時計業界では、今年はいろいろな記念が重なる特別な年だと言われていた。そしてMB&Fの20周年は、ヴァシュロンの270周年にはさすがにおよばないものの、とても力強いスタートを切ったのは間違いない。さらにこれがまだ序章に過ぎないという話も出ていて、これからどんな展開が待っているのか、期待が高まるばかりだ。

LM Perpetual Longhorn

 このケースの形状を見た瞬間に、これは好きだと思った。最初に頭に浮かんだのは、ヴォーシェ社(Vichet)製ケースを使ったパテック フィリップのRef.2497 “フラートン”や、ちょっと変わった2497/2498、2498のデザインだ。どれも長いラグが特徴で、滑らかな傾斜を描くフォルムがとても印象的だ(もしピンと来ないなら、関連の記事をチェックしてみて欲しい)。“もしMB&Fがヴォーシェ製ケースだったら、こんな感じになるんだろう。すごくカッコいいじゃないか”と直感的に思えた時点で、これは間違いなく成功だと思う。実際にその感想をそのままマックス・ブッサー(Max Büsser)氏にメッセージで送ったくらいだ。こういう細かい部分にこだわるところが、マックス氏と彼のチームらしいと思う。

 MB&Fにラグからラグまでの長さを教えてもらえないか聞いたところ、なんと親切にも改めて測ってくれた。クラシックなケースは全長50.37mm、新しいロングホーンは53.99mmで、3.5mm以上長くなっている。ただ数字だけではなく、ラグの傾きや手首へのフィット感も影響するため一概に長いとは言い切れない。いつか実物を試せる機会があれば、細腕の同僚タンタンと一緒に、自分たちの手首にどんな風にフィットするのか試してみたい。確かに写真ではモデルの手首からラグが少し飛び出しているが、MB&Fがつけにくい時計をつくるとは考えられない。

LM Perpetual Longhorn

 MB&Fでどれを選ぶか考えるとき、いつもEVOケースにするかスタンダードケースにするかで悩んでしまう。パーペチュアルは厚さ17.5mm、シーケンシャル フライバックは18.2mmと結構厚みがあるが、幅44mmのサイズ感にしては意外とつけやすい。EVOケースは防水性や耐衝撃性が高くて実用的ではあるものの、カラーダイヤルプレートにブラックのインダイヤルが少し浮いて見えるのが気になっていた。それにラッカー仕上げではないブラックダイヤルは、奥行きが足りない感じがする。正直、ブラックラッカーダイヤルがホワイトよりもはるかに難しい仕上げだとは考えたこともなかった。今回のモデルのように全体をシンプルなワントーンでまとめたデザインは、自分にとってほぼ完璧と言える仕上がりだと思う。

LM Sequential Flyback Longhorn

基本情報

ブランド: MB&F
モデル名: LM パーペチュアル(LM Perpetual)/LM シーケンシャル フライバック(LM Sequential Flyback)

直径: 44mm(LM パーペチュアル)/44mm(LM シーケンシャル フライバック)
厚さ: 17.5mm(LM パーペチュアル)、18.2mm(LM シーケンシャル フライバック)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 光沢のあるブラックラッカー、ロジウムメッキのベースプレート
インデックス: ホワイトインデックス、ブルースティール針
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: カーフレザーストラップ、SS製フォールディングバックル

LM Perpetual Longhorn

LM パーペチュアル “ロングホーン”

LM Sequential Flyback Longhorn

LM シーケンシャル フライバック “ロングホーン”


ムーブメント情報

キャリバー: スティーブン・マクドネルがMB&Fのために開発した完全一体型永久カレンダー(LM パーペチュアル)、スティーブン・マクドネルがMB&Fのために開発した完全一体型デュアルクロノグラフフライバックシステム(LM シーケンシャル フライバック)
機能: 時・分表示、曜日表示、日付・月・うるう年表示、パワーリザーブインジケーター(LM パーペチュアル)/時・分表示、ふたつの独立したクロノグラフ、フライバック機能付き“ツインバーター”(LM シーケンシャル フライバック)
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時(LM パーペチュアル)/2万1600振動/時(LM シーケンシャル フライバック)
石数: 41(LM パーペチュアル)/63(LM シーケンシャル フライバック)
クロノメーター: なし
追加情報: サファイアクリスタル(表面および裏蓋)は両面反射防止コーティン


価格 & 発売時期

価格: 税別16万8000スイスフラン(日本円で約2890万円)
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定20本

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