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2019年も11~12月のオークションシーズンを迎えようとしているころ、いくつかの時計が多くの人の注目を集めていました。その中でも話題の中心だったのが、マーロン・ブランドが1979年公開の『地獄の黙示録』で着用していたロレックス GMT マスターです。この時計が競売にかけられるという発表直後の7月に、ジェームスがHands-onで既に取り上げているので、この時計の詳細についてはそちらの記事をお読みください。今回の話題は、誰もが期待を胸に待った6ヵ月を経て、この時計が手数料を含めて195万2000ドル(約2億1000万円)という価格で落札された経緯をお伝えします。
入札に先立ち、フィリップスはこの時計について“価格応談”とリストに記載し、実際の想定販売価格を表示しませんでした。HODINKEE Radio(episode)で、この時計は2017年10月のフィリップスオークションで1775万ドル(約19億1800万円)で落札された、ポール・ニューマンが所有していたポール・ニューマン・デイトナなどとは全く違う種類の時計ではあるが、ベン(・クライマー)はこの手の入札にはある程度上限価格を設定すべきだったと強く訴えていました。
このGMTマスターも驚くべき時計であることに疑う余地はないし、文化的な価値もある。しかし、どのコレクションのカテゴリにも該当しないし、ヴィンテージ・ロレックスのひとつとするのもしっくりこない時計なのです。
入札は、2列目に座っていた入札者の25万ドル(約2700万円)というプライスでスタート。電話やオンラインからの入札者、会場に座っている入札者が入り乱れ、価格は上昇を続けます。43万ドル(約4650万円)から60万ドル(約6480万円)に大きくジャンプし、その後も上昇を続け、80万ドル(約8645万円)あたりで上昇スピードが少し落ち着きます。
フィリップスの電話入札担当のニヤリとした笑顔から発せられた、101万ドル(約1億910万円)という価格でやっと100万ドルの大台をクリア。電話入札者2名が5000ドルづつ価格の上げ合いを続ける間は、会場には呻き声が響いていました。オークショニアのオーレル・バックスも電話入札担当者に対してもう少し入札額を大きくし、スピードアップするよう指示する始末です。最終的には電話入札者2名と日本から参加しているオンライン入札者1名が残り、20分余りの入札合戦の末、この時計は、161万ドル(約1億7400万円)にて電話入札者の一人によって落札されました。
すこし横道に逸れますが、フィリップスによると、この入札の終盤にオンラインで入札された価格が、これまでの時計オークションにおけるオンライン入札額の最高額だったそうです。本編から外れた話ですが、大変興味深いといえます。
この話題だけでこのオークションの話は終わりではありません。伝説のゴルファー、ジャック・ニクラスのロレックス デイデイトが122万ドル(約1億3000万円)で今夜の早い時間帯に落札されており、この2つの時計は過去数週間に多くの人たちによって比較検討されていたものです。もちろん、この2つが同じオークションに出品されていたのがその理由ですが、それ以外にも2つが出自のはっきりしているロレックスであることも大きな理由でしょう。この2本を比較して、良し悪しを正確に判断するのは大変困難な作業だと思います。
その他の入札結果については、フィリップスのGame Changers Saleで確認下さい。