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One to Watch 60年代のクラシックなスキンダイバーをモダナイジングした新ブランド、マリン インストルメンツに注目

ジャスティン・ウォルターズ(Justin Walters)氏は、スケートボードのデザインからモノクロマティックなツールウォッチのデザインに転身した。

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オリジン・ストーリー

日中はロスアラモス国立研究所で、エネルギー省の人工衛星の研究をしているジャスティン・ウォルターズ氏。それ以上のことは教えてもらえなかった。しかし、彼が語ってくれたのはスキンダイバーを復活させるというビジョンを実現するために2019年に設立したブランド、マリン インストルメンツ(Marin Instruments)のことだ。

portrait of Justin Walters

 20代のころ、ウォルターズ氏はカンザスシティの小さな店で時計修理を学んだ。それがすべての始まりだった。その仕事の傍ら、ビジュアルアートとグラフィックデザインを学んだ。現在32歳の彼は、時計づくりのノウハウとデザインスキルの両方を活かし、スキンダイバーを現代のデザインにマッチした形でコンセプト化したブランドを立ち上げている。

 マリン インストルメンツはマリンカウンティとは無関係で、ブランドのダイバーズウォッチへの野心からきている。「私は中西部出身で、マリンカウンティのことはまったく知らなかったんです。あまり深い意味はなく、大胆でシンプルなものがいいと思っていました。もともとは“Marine”を考えていたのですが、もっと刺さるようにeを外しました」

 20代前半のころ、彼はプロのスケートボーダーになりたいと考えていた。「プロになったり、スポンサーを得たり、そんな流れに乗ったりするほどの実力はなかったから、“スケートボードをデザインしよう”と思ったんです」

 そして10年ほど前、彼はそれを実現した。人気ブランド、ガール スケートボード(Girl Skateboards)と契約を結び、デッキやトラック、アパレルのデザインを手がけたのだ。また、チョコレート スケートボード(Chocolate Skateboards)とも契約していた。

skateboard graphics

チョコレート スケートボードのデッキのグラフィック。

skating graphics

これもチョコレート スケートボードのデッキのグラフィックだ。

 スケートボードにかかわっていたころ、ウォルターズ氏は時計に興味は持っていたものの、まだ深入りはしていなかった。

 我々の多くがそうであるように、それはセイコーから始まった。正確にはSKX013だ。「1990年代の完成形といったところでしょうか。アルミニウム ベゼルとフラットな風防が特徴です。ハイボックスクリスタルではありません。普段使いの時計で、本当にすばらしい時計です」と彼は言った。このセイコーがきっかけで、彼は数年後に時計店で見習いとして働くことになる。

skateboard graphics

ガール スケートボード用にミラー(Miller)のロゴをジャスティン・ウォルター氏がコミカルにアレンジした作品。

 時計への理解、知識、つながりが深まるにつれて、自分の時計を作りたいという思いが強くなっていった。彼は機械工学を熟知し、独自の美学を持つという完璧なバックグラウンドを持っていたのだ。見習いとして働いていたあと、ウォルターズ氏は家に帰り、時計のデザインをするのが日課となった。趣味である釣りのためにデザインされた潮流探知時計、G-SHOCKの精神を受け継いだスケートボードのホイールと同じ素材の時計、さらにはモダンでミニマルなデザインの航空機用計器のリデザインなど、彼は想像力をフル回転させた。

 そうした設計を実現するための手段としてマリン インスツルメンツを設立したのだ。

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我々がなぜ気に入ったか

60年代から70年代にかけて流行したスキンダイバーは、水中での手軽な使用、特にスキンダイビングなどの大きな水圧がかからないような水上スポーツ向けに設計されたものだ。防水性は重視されなかったため、ケースは厚く頑丈なものとは違って、コンパクトでバランスの取れたものとなっている。スキンダイバーは装着性が重要視されたのだ。ダイバーズウォッチのようなデザインでありながら、ダイバーズウォッチほどの高いスペックではなく、薄いケースと風防のために浸水しやすいというアイデンティティクライシスもあって、悲しいことに70年代後半には人気がなくなってしまった。

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 しかし、ウォルターズ氏の最初の時計はデザインの欠点なしにその美学を蘇らせた。マリン インストルメンツのスキンダイバーは、200mの防水性能を誇りながらスキンダイバーシリーズの腕時計の特徴である無駄をそぎ落としたサイズ感はそのままに、つけやすい仕上がりになっている。マリンは、着用感を第一に考え、完全に派生的なものとは一線を画すデザイン言語を導入した、モダンなマイクロブランドだ。「白と黒で、これだけのことができます。私の作品にはあまり色をつけません。グレースケールを使っています」と彼は語る。そして、モノクロームでありながら驚くほど高い視認性を実現しているのだ。スキンダイバーは、200本の“ポーラー”ダイヤルと300本のスタンダードダイヤルを生産する予定だ。

watch details
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 また、クラシックなスキンダイバーの利点は価格にもあった。ダイビングに特化した兄貴分たちよりも安価で、そのぶん、多くの人が手にすることができたのだ。マリン インストルメンツはスキンダイバーを10万円以下(※原文は895ドル)で市場に投入することで伝統を守り続ける。彼は、この時計が10万円(※原文は1000ドル)以下であることで、多くの人々にとって“スマートで手の届く”ものになることを確信していると言う。

 価格を抑えるために、当初はアジアで設計・製造する道を探った。しかし多くの業者から、その価格帯とデザインで彼のスキンダイバーのビジョンを実現するのは無理だと言われた。そこでスイスに渡ったのだ。

watch crown

 その声に応えたのが、プライベートブランドメーカーであるロベンタ・ヘネックス(Roventa Henex)だった。ウォルターズ氏の厳しい要求に応える時計を作ってくれたのだ。スイス製のSW200-1、200m防水、既製品にはないデザイン、そのすべてが10万円(※原文は1000ドル)以下で実現したのである。このカテゴリーでは腕時計を初めて手にする人もベテランのコレクターも価値を求めてマイクロブランドに注目してきた。SW200-1は、どんな時計職人で簡単に修理でき、その信頼性は実証済みだ。それがコストを抑えることにもつながっている。

watch details
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次に来るもの

ウォルターズ氏は、マリン最強の時計を作るためにさらに努力を重ねている。「次の時計としてはクロノグラフ、GMT、ダイバーズなどを考えました。でも、全部やろうと思っています。派手にやろうってね」。そして、そのみっつをひとつの時計で実現しようとしている。つまりダイバーズ クロノグラフ GMT、彼はそれをフィールドマスターと呼んでいる。

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フィールドマスターの構想

 そんななか、時計を身につけた姿を見たいと考えた。雪道の旅でテストにかける前に、彼に確認した。彼の答えは?

 「濡らしてもいいし、擦っても大丈夫。そういうことに耐えられるように作ったんです」

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マリン インストルメンツの詳細は、同社のウェブサイトをご覧ください。

Watch photography: Spenser Heaps