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Breaking News ロレックス Ref.6062(イエローゴールド製)がリファレンス史上最高額を記録。約9億4000万円で落札され、過去3番目に高価なロレックスとなる

この個体は“ユニコーン” デイトナ Ref.6265を3位の座から押し出し、2017年にリファレンスの記録を樹立した“バオ・ダイ”をも打ち破った。

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“皇帝”が王座を追われた。モナコ・レジェンド・グループがロレックス Ref.6062の記録的な価格を樹立し、ある個体がバイヤーズプレミアムと付加価値税(VAT)込みで533万ユーロ(日本円で約9億4000万円)で落札されたのだ。この価格は、この時計を史上3番目に高価なロレックスとした。記録は依然として、2017年にフィリップスで1775万ドル(当時のレートで約20億円)で売却されたポール・ニューマン個人の“ポール・ニューマン” デイトナが保持しており、次いで昨年フィリップスで505万スイスフラン(現在のレート約9億6600万円)で売却された、おそらくユニークピースであるレインボー デイトナが続いている。これは、今回の結果がリファレンス記録を樹立したことを意味し、ベトナム最後の皇帝のために特別に製作された有名な“バオ・ダイ” ロレックスの記録を塗り替えた。

Yellow Gold Rolex ref. 6062

 モナコ・レジェンド・グループのロレックス Ref.6062はイエローゴールドケース、光沢のあるブラックダイヤル、そしてダイヤモンドインデックスを特徴としており、同様の構成で知られている3本の時計のうちの1本で、“バオ・ダイ”といくつかの類似点がある。バオ・ダイも2017年にフィリップスで売却され、以前は約120万ドル(日本円で約1億8000万円)もの差がある506万ドル(現在の相場で約7億6800万円)というRef.6062の記録を保持していた。今回、97%の落札率で2860万ユーロ(日本円で約50億4000万円)の売上の一部となったこの結果は、関税による米国の不確実性にもかかわらず、予想されていたよりも強力な市場を示している。

Bao Dai

2017年の売却時の“バオ・ダイ” ロレックス。

 モナコ・レジェンド・グループの時計が、実際は有名なバオ・ダイではないかという混乱がオンラインで一部見られたが、そこには明らかな違いがある。詳細としては、最新の個体ではすべての奇数位置のアワーマーカーにダイヤモンドインデックスが、バオ・ダイでは偶数位置にダイヤモンドがあしらわれている。また、バオ・ダイはカレンダーにふたつの英語表記のデイデイトディスクを持っていたが、MLGが出品した個体は英語とフランス語の両方を持っていた。しかし両者とも同じようにエイジングしており、これは両方がかなり以前からその状態であったことを示唆している。両方の時計を見た会場のコレクターによると、MLGの個体のほうが状態がよかったため激しい入札を促したという。

Rolex 6062

 会場での入札は300万ユーロ(日本円で約5億2800万円)からスタートした。フロアと電話からの関心により、瞬く間に350万ユーロ(日本円で約6億1600万円)を超えた。オークションハウスのすべてのスペシャリストが電話入札者を抱えていたが、入札はすぐに誰の追いつく能力も超えていった。電話の向こうにいるダヴィデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏のクライアントが5万ユーロずつ入札を重ねるにもかかわらず、最前列中央に座っていたイタリアの入札者が10万ユーロ単位で入札を進める意向を示し、強力な動きを見せた。イタリア人の入札者からの微妙なジェスチャーが、パルメジャーニ氏が400万ユーロ(日本円で約7億円)のマークを超えるまで入札を進めた。その時点でバオ・ダイの記録をすでに超え、未知の領域に足を踏み入れていたため、会場の入札者はより多くの時間をかけ始めた。

Yellow Gold Rolex ref. 6062

 戦術は逆転し、会場の入札者が5万ユーロ進めて415万ユーロ(日本円で約7億3000万円)とした。その後、電話の入札者が入札の意思を示し(編注;オークション用語で“threw the paddle”)、最後の10万ユーロの増額に戻り、425万ユーロ(日本円で約7億5000万円)の落札価格で勝利を収めた。バイヤーズプレミアムとVATが加算され、総支払額は533万ユーロ(日本円で約9億4000万円)となった。

Paul Newman Daytona

記録を打ち立てたポール・ニューマン デイトナ。

 記録上では、これは確かにリファレンスの記録であり、“ユニコーン” デイトナをロレックス記録リストの3位の座から押し出した(その時計は2018年にフィリップスで593万7000ドル、当時のレートで約6億5000万円)で売却された)。しかしインフレ調整をすると、“バオ・ダイ”は今日のドル換算で約660万ドル、日本円で約9億9900万円)、“ユニコーン”は775万9000ドル(日本円で約11億7400万円)に相当する。

 私はアンダービッダー(編注;惜しくも競り負けた2番手の人)に入札価格に対するインフレの影響について尋ねたが、彼は、特にユーロで入札している場合、インフレは会場では考慮されない要因だと答えた。比較は難しいのだ。2017年から2018年にかけてスイスフランはかなり弱く、そして米ドルは過去数年間でより不安定になっている。重要なのはその数字が会場でどのように感じられるかだと彼は述べ、“バオ・ダイ”が市場に戻れば、再び記録を取り戻すだろうと付け加えた。