タグ・ホイヤーからカレラクロノグラフExpo 2025 大阪リミテッドエディションが登場

クイック解説

去る7月30日（水）、タグ・ホイヤーより現在開催中の大阪・関西万博にフィーチャーしたカレラが発表された。ドーム型風防や、その内側に沿って盛り上がるフランジの形状からカレラグラスボックスがベースとなっているようだが、ホワイトを基調とした印象的なカラーリングからディテールまで本作では各所に手が加えられている。

　まず目を引くのは、レギュラーモデルのカレラグラスボックスには見られない、透明感のあるホワイトのオパラインダイヤルである。そこには、EXPO 2025 Design System（アナログとデジタル、現実と仮想の境界を超えた一貫した体験を提供することを目的としたデザインルール）のカラーパレットであるレッド、ブルー、グレーが、あえて統一感を持たせずにランダムにプリントされている。このダイヤルは、同デザインシステムにおけるコアグラフィックをイメージしたものと思われる。さらに、これまで立体的なアプライドインデックスが配置されていた箇所には、ドット状のプリントインデックスが用いられ、ダイヤル全体はフラットかつポップな表情に統一されている。

　サブダイヤルにはグレーのオパライン仕上げが施され、そこを回る針にはラッカー仕上げが採用されている。時・分針にはロジウムコーティングとファセット加工が施され、ポリッシュ仕上げによって美しい光沢が際立つ。針のセンターにはホワイトのスーパールミノバ®︎が充てんされ、暗所での視認性も確保されている。日付表示は12時位置に設けられ、その直下には“CARRERA”および“TAG HEUER”のロゴがブルーでプリントされている。フランジにはタキメーター表示が配されており、デザイン上のアクセントにもなっている。

　またケースバックには、Expo 2025の公式キャラクターであるミャクミャクの姿がある。“EXPO2025”の文字とともに、本作のエクスクルーシブ感を高めてくれるポイントだ。なお、裏蓋のふちにはxxx/125とシリアルも刻印されている。ムーブメントにはCal.TH20-00が搭載されており、約80時間のパワーリザーブに2万8800振動/時で駆動。時計自体は100mの防水性能を備えている。

　本作は125本限定で、タグ・ホイヤーのブティック、公式オンラインブティック、正規販売店にて販売されている。価格は108万9000円（税込）だ。

ファースト・インプレッション

ホワイトのレザーストラップまで含む真っ白なキャンバスの中央（ダイヤル）に、Expo 2025において象徴的なコアグラフィックを落とし込んだ潔いデザインの限定モデルだ。カレラグラスボックスの特徴であるベゼルレス構造により、その存在感はより強まっている。なお今回のデザインシステムでは、3Dによる立体的な造形と2Dのフラットなルックの共存がひとつのテーマとされている。特にこのモデルのダイヤルにおいては、“2D”の感覚が強調されているようだ。従来のカレラグラスボックスからインデックスやサブダイヤルの意匠を変更した点も、その印象を後押ししている。

　カレラならではのモータースポーツ由来の男らしい空気感やスポーティなテイストは、本作からはあまり感じられない。限定モデルだからこそ可能となった大胆なデザインだと思うが、クリーンかつアート色が強く非常に新鮮な印象を受けた。しかし本作はあくまで従来のカレラファンに向けたものではなく、Expo 2025に合わせた“お祭り的”なモデルだ。すでにグラスボックスを所有しているなら、従来モデルとの細部の違いを比較してみるのも一興だ。

　なお一見すると派手な印象を受けるデザインではあるが、グレーとブルーの配分が巧みに効いており、“お祭り”モデルながら手に取ってみると意外にも落ち着いた印象を受けそうだと感じた。最も象徴的なミャクミャクは裏蓋にひっそりとあしらわれており、Expo 2025終了後も節目節目で身に着けられそうである。また単純にホワイト基調のカレラグラスボックス自体が貴重であるため、夏らしい爽やかなカレラを求めているなら検討してみてもよさそうだ。