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Hands-On グルーベル・フォルセイ バランシエール 3 ブルーを実機レビュー、そして「ボニクセン」入門

“チルな”グルーベル・フォルセイは実現可能だろうか。また、インディペンデントウォッチメイキング界で注目すべき新ブランドをご紹介する。

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ダブルトゥールビヨンやクアドラプル トゥールビヨン、そしてまるでSF建築のように立体的な構成を見せるムーブメント。ダブルトゥールビヨンやクアドラプル トゥールビヨン、まるでSF建築のような立体的な野心をもって組み上げられたムーブメント。グルーベル・フォルセイの時計を手にするたび、このブランドがいかに独自の道を歩んでいるかを改めて実感する。だが2023年にブランド史上最も控えめで、構造も最も理解しやすい入門モデルとして発表されたバランシエール 3には、どこかかすかな矛盾が常につきまとっていた。

Greubel Forsey Balancier 3 Blue

 3つのブリッジ、むき出しのテンプ、トゥールビヨンなし、そして派手な演出のないバランシエール 3は、スペックだけを見れば実に控えめな時計だ。しかし今回発表された新作を実際に着用して最初に感じたのは、控えめなグルーベル・フォルセイですら、なお圧倒的な存在感を放つということだった。技術的な魅力を巧みに際立たせつつ、それを新たな仕上げと見事に融合させたこのモデルは、スペック上はブランドでもっともシンプルな時計かもしれない。だが、決して単純な時計ではない。

 バランシエール 3は発表から3年を迎えた。この最新モデルでは、中央の大型ブリッジの湾曲した表面全体に、手作業でフロスト仕上げを施している。その結果、深みのあるマットな質感が生まれ、この複雑な曲面では機械加工では説得力をもって再現しにくい、際立った表情が生み出されている。この仕上げはムーブメント外周の1時と2時位置のあいだから、7時と8時位置のあいだにあるスモールセコンドまで連続しており、その周囲に配されたテンプブリッジと香箱ブリッジは、明るくポリッシュ仕上げされたチタン製で、光の反射と奥行きが織りなす見事なコントラストを生み出している。そしてブルーは複数の色調で使い分けられ、仕上げそのもの以上にブリッジを立体的に際立たせている。ムーブメントの基本構成は変わらず、ケースもコンヴェクスと同様にチタン製だ。ケース幅は41.5mmで、グルーベル・フォルセイがコンヴェクスの登場以来磨き上げてきた、手首のラインに自然に沿うフォルムを採用している。

 バランシエール 3を知っていれば、その中心にはグルーベル・フォルセイ自社製の可変慣性テンプが配されていることもご存じだろう。直径12.6mmのテンプには6本のゴールド製ミーンタイムスクリューが備わり、ダイヤル側で確かな存在感を放っている。ムーブメントはオープン構造で、282個の部品で構成され、高速回転する直列接続式のツインバレルによって72時間のパワーリザーブを実現している。基本的なレイアウトに変更はなく、時・分表示は宙に浮かぶようなセンターブリッジ上に配置され、スモールセコンドは固定インジケーターに対して回転するディスクで表示される。パワーリザーブ表示はムーブメント側に控えめに配されている。

 改めてムーブメントの仕上げに目を向けると、ここでグルーベル・フォルセイが成し遂げた偉業がいかに高度なものかを実感する。チタンはそもそもきれいな鏡面を出すのが難しい素材だが、湾曲した表面全体に均一な手作業によるフロスト仕上げを施しながら、磨き上げられた面取りとの境界をシャープに保っている。これは一見すると些細なディテールのように思えるかもしれないが、実際には、それこそがこの時計の真髄なのだ。本作の狙いはムーブメントを再設計することではなく、異なる装いを与え、ブランドのデザイン言語がどこまで幅を持ち得るかを示すことにあった。

Greubel Forsey Balancier 3 Blue
Greubel Forsey Balancier 3 Blue
Greubel Forsey Balancier 3 Blue

 コンヴェクスのケースは実際に着用すると圧倒的な存在感を放ち、その独特のスタイルはまさにグルーベル・フォルセイらしさを体現している。これはグルーベル・フォルセイ流のミニマルなデザインを纏ったモデルだが、随所に取り入れられたブルーのアクセントが、ブランドならではの高度なクラフツマンシップと仕上げとの対比をいっそう際立たせている。なかでもストラップの選択は印象的だ。グルーベル・フォルセイについて語る際に、時計のストラップだけに時間を割くのは少々違和感があるかもしれないが、この質感のあるラバーストラップは、他モデルに見られる従来のラバーストラップとは一線を画し、この時計をスタイリッシュに、そして現実世界に根付かせる上で大きな役割を果たしている。

Greubel Forsey Balancier 3 Blue

 本作は、グルーベル・フォルセイにとってもひとつの節目での発表となる。ステファン・フォルセイ(Stephen Forsey)氏が取締役を退任し、バランシエール コンヴェクス S²のキャリバーが2026年3月をもって生産終了を迎えたことで、ブランドはまさに新たな章へと踏み出そうとしている。16万スイスフラン(日本円で約3100万円)で22本限定生産となるこのモデルは仕上げ技術の革新を軸に、静かに、しかし意図的に、この転換期を記念するものであり、ブランドの今後の動向に注目する価値があることを示唆している。

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ボニクセンと新作“ネソンス ドゥンヌ モントル 4―ル・カルーセル”

 そしてその流れとして、先日グルーベル・フォルセイのマニュファクチュールを訪れた際、もうひとつ披露されたプロジェクトにも話は及ぶ。バランシエール 3とあわせて、同ブランドが長年支援してきた永遠の時財団(Time Æon Foundation)を通じ、新たなインディペンデントブランドのボニクセン(Bonniksen)の立ち上げを発表したのだ。残念ながら、同ブランド初のモデルとなるネソンス ドゥンヌ モントル 4―ル・カルーセル(Naissance d'une Montre 4 – Le Carrousel)を手に取ることはできなかったが、プレゼンテーションと完成版の設計図を見る機会は得られた。そのためこれから述べることは最終的な評価ではなく、期待感として受け止めて欲しい。

 ボニクセンは、ミシェル・ブーランジェ(Michel Boulanger)氏の弟子であるマキシマン・シャピュイ(Maximin Chapuis)氏とジェイソン・シェヴロラ(Jason Chevrolat)氏によって、今年ラ・ショー・ド・フォンで設立された。その名は、1892年にイギリス・コヴェントリーで“position equalizing karrusel(姿勢差を相殺するカルーセル)”の特許を取得したデンマーク人時計師であるフェーネ・ホニクセン(Bahne Bonniksen)に由来する。それはトゥールビヨンに代わる、堅牢な機構として考案された回転式レギュレーターだ。トゥールビヨンでは4番車がメインプレートに固定され、その周囲をケージが回転するのに対し、カルーセルでは回転するケージが独立した輪列によって駆動されるため、メインプレートに固定された歯車は存在しない。この機構は約20年にわたり天文台コンクールで活躍したが、第1次世界大戦によってイギリスの時計産業が別の生産へ転換すると、ほぼ姿を消してしまった。

 ブランパンが2008年にカローセル ヴォラン ユヌ ミニュット(Carrousel Volant Une Minute)でこの機構を腕時計として復活させ、小型化が可能であることを実証したことは注目に値する。だが、シャピュイ氏とシェヴロラ氏が目指すような試みはこれまで誰も行っていなかった。5500時間を超える研究開発を経て、さらにボニクセン家の子孫の協力も得ながら、彼らが現在計画しているのは40mm以下の腕時計に、ラ・ショー・ド・フォンの職人たちが考案、成形、組み立てたすべての部品をラ・ショー・ド・フォンの作り手たちが設計・成形・組み立てし、完全な手作業で作り上げるカルーセルを、40mm未満の腕時計に搭載することだ。

Bonniksen
Bonniksen
Bonniksen

 図面には、逆さにした4分の3プレートのムーブメント、チャプターリング上の12時位置にオフセンターで配置された時針と分針、現代的な英国スタイルの洋梨型の針、そして偉大な科学観測用の懐中時計を彷彿とさせる大きな中央秒針が描かれていた。また、偏心配置された開口部からはカルーセル機構そのものを眺めることができ、それはかつて約1時間を要した回転をわずか30秒に短縮する。全体は2枚のドーム型クリスタルで縁取られ、奥行き感を演出する。

 グルーベル・フォルセイは、姿勢誤差に対する解決策のひとつである傾斜トゥールビヨンで名声を確立した。だが現在は、永遠の時財団(Time Æon Foundation)を通じて、歴史がトゥールビヨンの代替機構として提示したカルーセル機構の復活に力を注いでいる。最終的な判断を下すには時期尚早だが、このプロジェクトは野心的で魅力的に思えるし、その日披露されたもののなかで、私が今後もっとも注目していきたいものだ。

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