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Photos by TanTan Wang
今回ポルシェデザインは、代表作であるクロノグラフ 1の新しい(そして限定の)エディションを発表した。このモデルは定評あるデザインを踏襲しながら、ケースとダイヤルのディテールに改良を加えた新たなバリエーションのひとつだ。外観上の変更は控えめだが、本作の発表は、ジュネーブから約170km離れたスイスのグレンヒェンに新設されたポルシェデザイン・タイムピーシーズ ファシリティ(Porsche Design Timepieces facility)のオープンとも重なる。
ポルシェデザインは、そのウォッチメイキングの歴史において複数の象徴的なブランドが様々に関与してきた背景もあり、時計の世界できわめて魅力的な存在だ。1972年に発表されたクロノグラフ 1は、当初オルフィナ社によってポルシェデザインとのダブルネームで製造された。その数年後、このオーストリアのデザインスタジオはIWCを通じて自社デザインの時計を生産するようになり、その多くは今日でもコレクターズアイテムとして人気を博している。
1998年にIWCとの関係が終了すると、ポルシェデザインは直前に傘下に収めたエテルナのライセンスのもとで時計を製造するようになる。この体制は2014年まで続き、同年、スイス・ゾロトゥルンで自社名義での生産に移行するためにポルシェデザイン・タイムピーシズAGが設立された。そして今回、ついにグレンヒェンへと拠点を移した。私はそのオープニングに合わせてスイスの新しい施設を訪れたのだが、まさに象徴的なことに、その場所はかつてのエテルナ本社ビルであり、モダンな施設として全面改装された場所だった。
ジュラ山脈の麓に正式な拠点を構えた目的は、少なくとも現時点では、製造を完全に内製化することではないようだ。この新しい施設で私が見た時計製造の工程は、製造済みのキャリバー、ケース、ダイヤルを組み立てる作業だった。現在10人の時計師が働くスペースで行われていたが、残念ながら写真撮影は許可されなかった。そのため、今のところCNCマシンが並ぶフロアなどはなく、見られたのはカスタマイズ用のプレートやケースバックに使う数台のレーザー彫刻機くらいだった。ポルシェのオーナーがドイツの工場まで車を受け取りに行くように、今ではスイスを訪れて、まさにその愛車に合わせたビスポークウォッチをデザインできるようになったのだ。
一般に公開されているスペース(組み立てや部品保管のエリアを除き、建物のほとんどはオフィスだった)は、まさにそうした体験を中心に設計されている。1階はポルシェデザインのミュージアムになっており、もちろん時計に焦点が当てられている。その先には顧客が次の時計をカスタマイズ(色、ストラップ、ステッチなど)するための小さなデザインスタジオへと続いている。
新作のクロノグラフ 1 オールチタン ナンバード エディション。
新しい施設について尋ねると、チームはここでの将来の可能性を強調した。長年の開発と建設を経て正式にオープンしたことは、時計部門に多額の投資を行う未来への礎となるものだという。ポルシェデザイン・タイムピーシズ マニュファクトリ(Porsche Design Timepieces Manufactory)のCEOであるロルフ・バーグマン氏は、自社スペースを購入し、もはや大家に縛られることがなくなったことで、ブランドとして異なる考え方をする自由を得たと熱弁した。長期的な視点での意思決定が可能になったのだ。
そして驚くべきことに、ポルシェデザインが毎年送り出す時計の大半はクロノグラフ 1ではなく、ビスポークのカスタマイズプログラムによるものだという。それでもなお、ブランドはクロノグラフ 1がもたらすフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェとのつながりやそのレガシーの正統性ゆえに、このモデルをコレクションの重要な柱と見なしている。「私たちは今、約50年の時を経て、クロノグラフ 1の正当な評価を取り戻すための準備を進めています」と、ポルシェ・ライフスタイル・グループのタイムピーシズ ビジネス ユニットのディレクターであるゲルハルト・ノバク氏は私に語ってくれた。「そしてこれが、次章への第一歩なのです」。
発表されたばかりのクロノグラフ 1 オールチタン ナンバード エディションは、ポルシェデザインにとって、コーティングを施さないビーズブラスト仕上げのチタンでクロノグラフ 1 を表現した2作目にあたる。ほとんどのブランドがクラシックモデルにひねりを加えるためにフルブラックの外観を導入するのに対し、ポルシェデザインはその逆で、クロノグラフ 1が誕生当初からフルブラックのコーティングで知られていた。サイズは直径40.6mm×厚さ14.15mmと従来どおりで、ケースは10気圧の防水性能を備える。ダイヤルにはクラシックな6-9-12時位置のクロノグラフカウンター、モダンなポルシェデザインのロゴ、そしてドイツ語と英語のバイリンガル表示のデイデイトが配されている。
時計の内部には、Cal.Porsche Design WERK01.140を搭載している。これはバルジュー製のムーブメント Cal.7750の構造とレイアウトをベースに、コンセプト社が製造したカム式クロノグラフムーブメントだ。もしこのモデルに、フライバック機構が追加されたWERK 01.240が搭載されていたら、より魅力的だっただろう。もっとも、ポルシェデザインはあえてそのキャリバーの使用を限定的にしているのだと思われる。現行のポルシェデザインの時計すべてと同様に、このクロノグラフ 1もCOSC認定を受けており(ダイヤルに記載)、ブリッジとローターはブラックに仕上げられ、ポルシェデザインのロゴがあしらわれている。
手首に着けてみると、このポルシェデザインはがっしりとした丸みを帯びたシルエットとラグを覆うデザインのおかげで、大きく感じられるものの着け心地は快適だ。ブレスレットも同じくビーズブラスト加工を施したチタン製で、とてもしなやかだ。リンクには大きめのネジが使われ、クラスプには工具不要のマイクロアジャスト機能が備わっている。ケースはほかの現行モデルとほとんど同じであるため、その装着感に驚きはないだろう。すでに別のバリエーションを試したことがあるなら、本作の装着感も十分に想像できるものだ。美しさにおいて革命的とは言えないが、この新作は楽しく、そして紛れもなくポルシェデザインらしい1本に仕上がっている。
このモデルは数量限定ではなく、年間生産本数が1000本に制限されている。価格は8250ドル(日本円で約130万円)。ポルシェデザインを象徴するモデルの新たなバリエーションとして、時計コレクターとカーマニアの双方にアピールし続けるだろう。
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