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Business News 米国とスイスが関税交渉で合意 ― スイスの時計メーカーに安堵をもたらす

【ニュース】関税率を15%に引き下げる変更は、スイス政府とビジネスリーダーによるワシントン訪問を受けて、他国との歩調を合わせたものである。

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スイスは、米国が課していた高率の関税の引き下げを勝ち取り、課税に苦しんでいたスイス時計産業に歓迎すべき安堵をもたらした。ホワイトハウスとスイス政府は、関税が8月に課された39%から15%に引き下げられると述べた。この39%の関税はスイスの時計メーカーに大きな打撃を与え、先進国で最高水準の関税発効前に、一部の最大手ブランドは時計を米国に出荷しようと急いだのち、値上げに踏み切っていた。

 スイス政府は金曜日、ソーシャルメディアプラットフォームXへの投稿で「スイスと米国は、米国の関税が15%に引き下げられるという解決策を見い出すことに成功しました。建設的な取り組みをしてくれたトランプ米大統領に感謝します」と述べた。米通商代表のジェイミソン・グリア(Jamieson Greer)氏はCNBCのインタビューで、スイスの製薬および金精錬部門の企業が米国に工場を建設することになる合意が“実質的に”成立したと述べた。

 スイス経済大臣ギィ・パルムラン(Guy Parmelan)氏は、金曜日にベルンで開かれた記者会見で、この合意はここ数日で達成されたホワイトハウスとの協議における“新たなダイナミクス”によって成立したと語った。スイス時計協会会長のイヴ・ブグマン(Yves Bugmann)氏はAWP(スイスの経済通信社)に対し、今回の合意は業界に救済をもたらし、「39%という基準がもたらした不確実性の波のあと、私たちに少しばかりの安心感を与えてくれます」と述べた。米国はスイスの時計輸出にとって最大の単一国市場であり、出荷量の約20%を占めている。

 この政策変更は、ロレックスCEOのジャン・フレデリック・デュフール(Jean-Frédéric Dufour)氏、リシュモン会長のヨハン・ルパート(Johann Rupert)氏、そしてブライトリングを傘下に収めるプライベート・エクイティ企業パートナーズ・グループの代表者らを含むスイスのビジネスリーダーグループによるホワイトハウス訪問に続くものだ。参加者によると、同会談は両国の経済関係と友好関係の強化を目的としており、交渉ではなかったと述べたこの会合には、スイスの金精錬および商品取引業界のトップエグゼクティブも含まれていた。

 スイスのパルムラン大臣は今週木曜日、ワシントンD.C.でグリア米通商代表らと会談し、合意形成に向けて“きわめて前向き”と評された協議を行った。最終的な合意は、スイス製品に対する米国の輸入関税を、日本や欧州連合を含む他の時計生産国や地域と並び、15%にするものだ。パテック フィリップ、オメガ、ジャガー・ルクルトといったスイスのブランドは高関税の影響を相殺しようと、米国での価格を数%から最大15%まで引き上げてきた。スイスの時計メーカーの価格圧力をさらに高めているのが、スイスフランが対米ドルで急激に上昇していること、そして高級時計の主要部品である金の価格が1オンス(編注;約28g)あたり4000ドル(日本円で約60万円)を超える過去最高値にまで高騰していることだ。

スイスのビジネスエグゼクティブは今月初め、トランプ米大統領と面会した。

 今回の関税緩和は、ルパート氏が率いるスイスのラグジュアリーコングロマリットであるリシュモンの予想を上回る上半期の業績に続くものだ。リシュモンは、宝飾メゾンのカルティエやヴァン クリーフ&アーペル、そしてヴァシュロン・コンスタンタン、A.ランゲ&ゾーネ、IWCなどのスイスの時計ブランドを所有している。

 ルパート氏は金曜日、リシュモンの業績について議論するためのメディア向け電話会議で、米国とスイスの貿易関係について「誤解は解消されました」と述べた。スイスは夏のあいだに関税協定が締結される予定だったと言われていたが、スイスのカリン・ケラー=ズッター(Karin Keller-Sutter)大統領と、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領との電話会談で合意が成立しなかったため、それは頓挫していた。

 ルパート氏は39%という関税率について「スイス全体にとって壊滅的な打撃となる可能性がありました」と述べた。同じ電話会議でリシュモンの幹部は、会計年度上半期における関税による財務上の影響は約5000万ユーロ(日本円で約90億円)に上ると述べた。もし関税が39%のまま維持されていた場合、「下半期にはさらに大きな影響が出ると予想していました」と、リシュモンCFOのブルクハルト・グランド(Burkhart Grund)氏は語った。

 リシュモンの財務報告は、中国での売上が改善し、米国が引き続き堅調であったため、金融アナリストの予想よりも良好であった。そのスペシャリスト ウォッチメーカーズ部門の売上高は、第1四半期に8%減少したあと、第2四半期には実質為替レートベースで3%増加した。「予想外の上振れはスペシャリスト ウォッチメーカーズ部門からもたらされました」と、フォントベル銀行のスイス株式調査責任者を務めるジャン・フィリップ・ベルチ(Jean-Philippe Bertschy)氏は述べ、この結果を受けてリシュモン株に対する推奨を“ホールド”から“バイ”に格上げした。

 「ジュエリー部門はもっとも楽観的な予想さえも上回り、競合他社を大幅に凌駕する並外れた業績を達成しました。これはカルティエ、ヴァン クリーフをはじめとするブランドの永続的な魅力と価格決定力を強調するものです」とベルチ氏はレポートで述べた。

 リシュモンの時計部門における業績改善、中国市場の安定化の兆候、そして新たな関税協定は、コストと消費者需要の圧力に苦しんできたスイスの時計ブランドと業界全体にとって、状況改善への道を開くものである。