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スイスで最も歴史のある新聞(そして最も信頼を集めている新聞のひとつ)によると、パテック フィリップは世界最古の時計販売店であるチューリッヒのバイヤー・クロノメトリー(Beyer Chronometrie)と契約を結び、2027年からチューリッヒの有名なバーンホフ通りにある同店のスペースを引き継ぐことになったという。この事業売却と、現在パテック フィリップのブティックが入っており、今後はパテックのサロンへと改装される予定のバーンホフ通り31番地におけるリース権の取得について『Neue Zürcher Zeitung(NZZ/ノイエ チュルヒャー ツァイトゥング)』が最初に報じた。バイヤー・クロノメトリーの店舗は2026年末に閉店し、このスペースのリース権は建物の所有者であるUBSが保有している。
チューリッヒを拠点とするバイヤー・クロノメトリーは正規販売店として、パテック フィリップと世界最長の関係を築いており、そのタイムピースを1842年頃から販売してきた。この関係は、フィリップ・スターン(Philippe Stern)が同ブランドの経営を率いていた時代にさらに強固なものとなった。ダイヤルに“Beyer”とのダブルネームが入った時計は珍しいものではなく、スターンはブランドが誇るパーペチュアルカレンダー Ref.3940のうち最初の25本を、ダイヤルに美しい書体でシリアルナンバーと“Beyer”のサインを入れて販売することにした。最近、そのうちの1本がオークションに出品され、このリファレンスの最高記録となる60万スイスフラン(落札日のレートで約1億2200万円)で落札された。
チューリッヒにあるバイヤー・クロノメトリーの店舗。Photo courtesy Beyer Chronometrie
昨年、オーナーのルネ・バイヤー(René Beyer)氏が61歳の若さで急逝したことは、時計業界に大きな衝撃を与えた。我々HODINKEEは2018年にルネ・バイヤー氏に取材し、バイヤー時計博物館のコレクションを紹介してもらったことがある。その際、彼は一族とパテック フィリップだけでなく、ロレックスやジョージ・ダニエルズらとの関係についても語ってくれた。バイヤー氏は真の時計愛好家であった。
彼の死後、会社の経営は妹のミュリエル・ツァーン-バイヤー(Muriel Zahn-Beyer)氏に引き継がれた。しかし2023年にヨルグ・ブヘラ(Jörg Bucherer)氏が亡くなった時と同じく、バイヤー氏にも妹にも後継者がおらず、ロレックスがブヘラの正規販売店ネットワークを買収したように、バイヤーも売却されるのではないかという憶測が広がっていた。だが今回、この動きは、実は何年も前からその枠組みが準備されていたことが明らかになった。
故ルネ・バイヤー氏。
ツァーン-バイヤー氏は『NZZ』に対し、「兄は早い段階から会社の将来について考え始めていました」と語っている(HODINKEEによる翻訳)。彼女によれば、兄にとってパテック フィリップが関わる今回の決断は、「長年にわたって育んできたパートナーシップの当然の帰結であり、会社、従業員、そしてチューリッヒ市に対する彼の責任感の表れ」でもあったという。彼女はNZZへのコメントのなかで、パテック フィリップがすでに2024年の段階で、バイヤーの少数株式を非公開で取得していたことも明かした。
『NZZ』によれば、買収の条件は非公開とされるが、最大のニュースはバイヤーという小売店そのものが幕を閉じることかもしれない。パテック フィリップは、ブヘラのケースのように会社を存続させるのではなく、店舗を閉鎖して大規模なパテック フィリップ サロンとしてリニューアルオープンする計画だ。これにより、同社は266年の歴史に終止符を打つことになる。このサロンはジュネーブ、ロンドン、パリに次ぐ、パテック フィリップにとって4番目のものとなる。
ジュネーブのパテック フィリップ サロン。Photo courtesy Patek Philippe
この動きはある程度予想されていた。というのも、いかなる買収であれ、バイヤーとパテック フィリップあるいはロレックスとの不安定な関係に影響を及ぼす可能性が高く、両ブランドはいずれも共有フロアでの販売形式から脱却するよう進めているためだ。例えばニューヨークのヴェンペ(Wempe)は、ロレックスが5番街に旗艦店をオープンすることを決定したあとに、ロレックスの正規販売権を失ったが、その空いたスペースを埋める形でパテック フィリップから“ブティックステータス”を付与された。今回の動きにより、バイヤーの従業員の約3分の2が影響を受けることになる。しかし同社は9カ月前に発表したことで、その対象となる従業員が再就職先を見つける時間が生まれることを期待している。なお、時計博物館とその収蔵品は今回の売却には含まれておらず、ツァーン-バイヤー氏はチューリッヒ市内の別の場所への移転を計画しているとのことだ。
より詳しい報道は『NZZ』をご覧ください。
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