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私の住むロンドンで、1年のうちで最大級の時計イベントのひとつであるBritish Watchmakers' Dayが開催された。2026年3月7日の10時から19時まで開催されたこの1日限りのイベントには、1850人もの時計愛好家たちがウエストミンスターにあるリンドリー・ホールに詰めかけ、英国を代表する人気ブランドやクリエイティブなブランドの時計を実際に手に取ることのできる貴重な時間を楽しんだ。出展した48ブランドの多くが当日限定の特別モデルを発売し、なかでもクリストファー・ウォードの新作、ロコ 7326はわずか24分で完売した。フロリダから飛行機で駆けつけ、朝4時から並んで限定10個のうちの1個を手に入れたオーナーには特別な賛辞を送りたい。
ご想像のとおり、会場ではスタジオ・アンダードッグを身に着けている人を多く見かけた。
2026年のショーは、昨年と比較していくつかの点で進化が見られ、そのすべてが人の流れや、当日の全体的な進行を改善するのに役立っていた。まず、各ブランドが製造できる限定モデルは50本までとされたことで、ひとつの時計に大勢の人が殺到する可能性が低くなった。次に、昨年の2セッション制から3セッション制に変更された。そして最後に、開場時間が1時間延長された。
その結果、当日は終始、チケット完売となった各セッションを通して、一貫したペースで適切な人の流れを維持することができていた。ブランドのテーブルが来場者で賑わっているときでさえ、時計を手に取って見ることができ、会場内を自由に動き回ることができた。これは例年と比べて大幅に改善された点だ。それにもかかわらず、2回目と3回目のセッションが始まる1時間前にはすでに行列ができていた。何と言えばいいだろうか? ロンドンの人々は本当に時計が好きなのだ。そしてリストチェックに関しても、この街はまたしても期待を裏切らなかった。
各セッションとも、リンドリー・ホールを囲んで通りまで行列ができていた。
24分で完売したクリストファー・ウォードのロコ 7326。
時計を買い逃した人のために、ロコのコースターも用意されていた。
イベントのベストウォッチ候補として早くも名前が挙がったのが、ジェームズ・ダウリング(James Dowling)氏が着けていたホワイトゴールド(WG)製のチャールズ・フロッドシャム ダブルエスケープメント。イギリス国内でも、そう毎日お目にかかれるものではない。
ラグジュアリーウォッチのエントリーモデルとしては、ファーラーの36mm径のスリー ハンド シリーズⅢ(Three Hand Series III)が挙げられる。ラ・ジュー・ペレ G101を搭載してわずか925ポンド(日本円で約19万円)という価格は、まさに驚異の隠れた名作だ。
アピア(Apiar)のGen 1.1 アンダーグラウンド。地下鉄路線図にインスパイアされたダイヤルと3Dプリントされたチタンケースが特徴的だ。
エイドリアン・バーカー(Adrian Barker)氏本人の手首から、クリストファー・ウォード C60 トライデント ルミエール “グリーン フィフティーン”×バーク&ジャックを拝見。
バーカー氏は発表されたばかりの、ローズゴールド製のパルミジャーニ・フルリエ トンダ PF アガベ・ブルーを撮影していた。
スタジオ・アンダードッグからイベント限定モデルは登場しなかったものの、リチャード・ベンク(Richard Benc)氏は発表されたばかりのTime+Tideとのコラボレーションモデル、バーント・ペパロニ(Burnt Pepperoni)を身に着けていた。
スタジオ・アンダードッグのブースでは、来場者がグァバ(Guava)の針を合わせる体験ができた。これは英国にある、ブランドの組み立てを行う場所“ザ・ドッグハウス”を訪れた人だけが手に入れられるモデルだ。
すべてはスタジオ・アンダードッグの時計師であり、ザ・ドッグハウスの発表キャンペーンの主役でもあるサム(Sam)氏の見守るなかで行われた。
この彼は、私よりもずっと手が安定している。
そしてその人物こそ、カスタムのメテオライトダイヤルを備えた私物のロレックス オイスター パーペチュアルを着けたクリス・アレクサンダー(Chris Alexander)氏/@thedialartistだった。
3つ並んだスタジオ・アンダードッグのトートバッグ。ブランドのトートバッグがなければ、時計イベントとは言えないのだろうか?
パテック フィリップ 5033P アニュアルカレンダー ミニッツリピーターは、ある意味予想外の発見だった。だが、我々の友人であるマイク・ウッド(Mike Wood)氏の手首で目撃した(そう、彼はヴィンテージロレックス以外に、このような時計も所有しているのだ)のだから、驚くにはあたらないのかもしれないが。
クリストファー・ウォードのCEOであるマイク・フランス(Mike France)氏のようなおなじみの顔ぶれも、ゲストに混じって談笑したり、ビデオに登場したりと積極的に交流していた。
Time & Tideのアンドリュー・マカッチェン(Andrew McUtchen)氏も同様だった。
2回目のセッションが始まっても、人々の勢いは衰える気配がなかった。
ほどなくして、バーク&ジャックのポップアップコーヒースタンドでコーヒーを調達する時間になった。
“Drink coffee talk watches(コーヒーを飲んで、時計の話をしよう)”。
コーヒーブレイク中は、Oracle Timeが主催する時計がテーマのクイズに挑戦する絶好の機会だった。
これを情熱と呼ばずして、何を情熱と呼ぶだろうか。
クロックは、ポーリンのダズル・クロック(Dazzle Clock)から。
シンクレア ハーディング(Sinclair Hardings)のジョン・ハリソン シー クロック(John Harrison Sea Clock)まで、さまざまな種類が展示されていた。
ミッドサイズのロイヤル オークはいつも私の目を引くが、それがロジャー・スミス(Roger Smith)氏の手首にあるとなればなおさらだ。
ヴァーテックス(Vertex)は、今日の英国時計業界における真の柱である。このモデルはブロンズ 36 ブラック(Bronze 36 Black)だ。
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト。予想外でありながら、大いに歓迎すべき発見だった。
ウィリアム・ウッド(William Wood)は、時計の展示会でいつも素晴らしいディスプレイを披露する。
そして、最近熱心な時計コレクターであることが判明したラッセル・クロウ(Russell Crowe)についての展示まであった。彼の多彩なコレクションについては、こちらで詳しく読むことができる。
これこそが、時計を安全に持ち運ぶ方法だ。
The Strap Tailorのデイビッド・リチャーズ(David Richards)氏が着用していた、思わずズームしたくなるチューダー サブマリーナー “スノーフレーク”。
ブレモン スーパーマリンのブラウンの色合いは、実物で見るとより美しい。
ミスター・ジョーンズ(Mr Jones)の“ショート・フューズ(Short Fuse)”。
クリストファー・ウォードは、チームメンバーの数人で考案した“Ticked Off(怒れる)”という名のおもしろいゲームを見せてくれた。
もちろん、同ブランドのトゥエルブはチーム内でも人気のモデルだった。
アノマの創設者、マッテオ・ヴィオレ=ヴィアネロ(Matteo Violet-Vianello)氏。
そして、時計ジャーナリストのスカーレット・ベーカー(Scarlett Baker)氏が着用していたアノマ A1 スレート(Anoma A1 Slate)。
アノマは、デザイン第一だ。
ただのG-SHOCKではない。
英国版GQのマイク・クリステンセン(Mike Christensen)氏が所有する英国ブランド、スプリット・ウォッチ(Split Watch)のユニークピース。
色という点では、マーロー(Marloe)のモラー 310(Morar 310)は遊び心のあるユニークなタッチに満ちている。
一方、サテン仕上げを施したケースを持つグレーのオメガ シーマスター プラネットオーシャンは、ステルスな雰囲気を醸し出している。こちらはフラテッロ(Fratello)の編集者、ベン・ホッジス(Ben Hodges)氏の手元。
この小振りなフランク ミュラーのWG製ギャレは、英国におけるコレクターの多様な趣味を実によく表している。
495ポンド(日本円で約10万円)という価格で、バンフォードのメイフェアシリーズに勝るものを見つけるのは難しいだろう。
時計はさておき、最高のシングルウォッチケース賞は誰の手に?
アーケンもまた、ファンに愛されるにふさわしい。
そして創設者のケネス・ラム(Kenneth Lam)氏は、実に紳士的な人物だ。
ここで現代の時計から少し離れて、クリスティーズのトム・ヒープ(Tom Heap)氏が所有する、信じられないほどクリーンなロレックス デイトジャスト Ref.1601を見よう。
ロジャー・スミスのブースでは、コーアクシャル脱進機の金属製レプリカが展示されていた。
手描きのシリーズ6のイラストと共に。
コーアクシャル脱進機の模型もあった。この写真はロジャー・スミスの時計師が操作しているところ。
ちなみに、彼は古いブロンズ製のクリストファー・ウォードを身に着けていた。
ロジャー・スミスの向かい側では、ブレモンが最新作であり限定モデルである、アルティチュード MB メテオ "フィリックス・ザ・キャット(Altitude MB Meteor 'Felix The Cat')を発表していた。
このショーで個人的に気に入ったのは、エドワード クリストファー(Edward Christopher)のリップル(Ripple)のミラーダイヤルだ。
コレクション全体に2000年代を彷彿とさせるレトロな雰囲気があり、2026年の今、見事にマッチしている。
ヴィンテージでは、珍しいシルバーケースのロイ キング(Roy King)が目撃された。個人的には、もっと語られるべきブランドだと思う。
これは、ほかではまずお目にかかれない1本だろう。2024年のH.モーザーとスタジオ・アンダードッグのコラボレーションに携わった関係者のためだけに作られた“クルー・エディション”で、着用しているのは同社のマグナス・スワン(Magnus Swann)氏だ。
重要なチーム写真のためにポーズをとるスタジオ・アンダードッグのマグナス、ジョージ(George)、リチャードの3人(残念ながら、ほかのチームメンバーは参加できなかった)。
ボークロフト(Beaucroft)の創設者、マット・ハード(Matt Herd)氏は自身のブランドのシーカー 37mm(Seeker 37mm)を着用。
ティモール(Timor)は、クラシックなフィールドウォッチの分野で、きわめてコストパフォーマンスが高い。
そして、遊び心という点では、ミスター・ジョーンズに真に太刀打ちできるブランドはほとんどない。
我々の友人であるTime+Tideはピザをテーマにした、スタジオ・アンダードッグとの最新のコラボモデルを披露。
パッケージも完璧だ。
最後に、1日の終わりにニコラス・ボウマン=スカーギル(Nicholas Bowman-Scargill)氏が私を呼び、彼の手元にある特別なものを見せてくれた。それは彼がカスタムオーダーした18Kイエローゴールド製のブランズウィック(Brunswick)で、針も同じくソリッドゴールド製だ。
また来年、ここで会おう。
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