trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Hands-On フレデリック・コンスタントが、定番のワールドタイマーをゼロから再構築

新しいムーブメント、新しいケースサイズ、改良されたデザイン。それでいて価格は100万円以下。

私は昔から、ワールドタイマーに特別な魅力を感じてきました。ひとつには、それが実用的な複雑機構であるということ。そして何より、文字や数字、さまざまな情報をひとつのダイヤルに凝縮しながら、それをきちんと機能するデザインとして成立させるという課題に、各ブランドがどう取り組むのかを見るのが好きだからです。うまくまとまったものは、本当に素晴らしいのです。だからこそ、今年のWatches & Wondersでフレデリック・コンスタントがクラシック ワールドタイマー マニュファクチュールをアップデートすると聞いたとき、興味をそそられました。

Frederique Constant Worldtimer

 ワールドタイマーに魅了されているのは、時計業界だけではありません。ワールドタイマー人気の高まりを示すひとつの指標として、数カ月前に“南米大陸クロワゾネダイヤルを備えた”パテック フィリップ Ref.2523 ワールドタイムがいくらで落札されたかを見ればわかるでしょう。さらに、各ブランドがこの複雑機構にさまざまなアプローチを試みていることも見逃せません。ベン・クライマーも昨秋ジュネーブを訪れアンデルセン・ジュネーブのワールドタイマーを絶賛し、その旅で最も気に入った時計だと評しました。しかし、私にとってワールドタイマーの大きな問題点は常に単純明快です。それは、きわめて高価であることです。

 ワールドタイム機能は歴史的に、各ブランドのなかでも貴金属製の最高級モデルに採用されることが多く、価格帯も数百万円から1000万円を超える水準が一般的でした。近年になってようやく、ノモス、オメガ、ブライトリング、IWCといったブランドがスティール製モデルを展開し始め、エントリー価格も数十万円台後半から100万円前後まで下がってきました。この問題に10年以上も取り組んできたフレデリック・コンスタントは、Watches & Wondersで発表されたクラシック ワールドタイマー マニュファクチュールによって、ついにその答えを見つけたのではないかと思います。しかも、価格は100万円をはるかに下回ります。

Fredrique Constant Worldtimer

 同社がワールドタイマーを手掛けてきた歴史はそれほど長くありません。フレデリック・コンスタントによれば、この複雑機構の歴史が始まったのは2012年。自社製ムーブメントの製造を始めてから数年後のことでした。そして当時発表されたクラシック ワールドタイマー マニュファクチュールは、42mm径のスティール製ケースにFC-718を搭載した、同ブランド初のワールドタイマーモデルでした。その後の10年間、ダイヤルカラーのバリエーションがいくつか加わったことを除いて、ほとんど変更はありませんでした。ネイビーブルーのカラーリングが登場したのは2016年で、次に大きな動きがあったのは2022年。初代の登場から10周年を迎えたこの年、フレデリック・コンスタントは記念モデル、ハイライフ ヴィンテージ ワールドタイマー マニュファクチュール エディションを発表しました。まず発表された10本限定モデルは、50分足らずで完売。その後、ブラックだったインデックスをブルーに変更した100本限定モデルも登場しました。

 今回気に入っているのは、新作ではサイズが小さくなったにもかかわらず、リューズの位置まで含めて、初代から続くシルエットがしっかりと受け継がれていることです。そして今回は、大きくふたつのアップデートが施されていますが、それらは密接に関係しています。まず、日付表示がなくなりました。これは目立った変更ですが、失ったもの以上に得たものが大きいと思います。日付表示をなくしたことで、ダイヤル外周を取り囲む文字情報がすっきりと整理され、ケース径を42mmから40mmへと小型化することも可能になりました。私からすれば、これは賢明な判断だと思います。私の細い6.5インチ(約16.5cm)の手首にもぴったりでした。普段は小さめのケースサイズを好みますが、この40mmでもちょうど良いサイズ感でした。42mmからのサイズダウンは、私のように小ぶりな時計を好む人を意識した変更だったのではないかと思います。

Frederique Constant Worldtimer

 今回は3つのバリエーションが用意されています。なかでも注目したいのが、新たなSS製の5連ブレスレットにネイビーブルーのダイヤルを組み合わせたモデルです。これまでストラップ仕様のみだったこの時計に、フレデリック・コンスタントが初めてブレスレットの選択肢を加えました。そのほか、ブルーのグラデーションダイヤルに交換可能なアリゲーターストラップを組み合わせたモデルと、88本限定のダイヤモンドセットモデル(ライトブルーのダイヤル、ベゼルに70個で計0.785ctのダイヤモンドを備え、交換可能なストラップ2本付属)も展開されます。

 もうひとつのアップデートが、新たに開発された自社製ムーブメント Cal.FC-719です。1988年から数えて、ブランドにとって35番目のマニュファクチュールムーブメントとなるCal.FC-719は、より長い主ゼンマイを収めた香箱と、改良された合金を採用することで、パワーリザーブは38時間から72時間へとほぼ倍増しました。一方、ムーブメントサイズは従来と同じで、直径30mm×厚さ7.05mm。ワールドタイムモジュール自体はわずか24個の部品で構成され、ムーブメント全体の厚みに加わるのも1.6mmにすぎません。これまでと同様、時・分表示とワールドタイム機構のすべての設定はリューズだけで行え、修正機構や防水性を損なうようなケースの開口部は一切ありません。

Frederique Constant Worldtimer

 地図についてお話ししましょう。このデザインは、緯度・経度線を描いた平面的な地球儀風のレリーフ地図で、厳密な意味での極投影やメルカトル図法ではありません。パテック フィリップのエナメルによる地図表現や、クリストファー・ウォードで見られる実際の地図投影法とは異なり、モンブラン オルビステラルムの表現方法に近いものです。また、これは全く新しい試みというわけでもありません。中央の立体地図は2012年からこのダイヤルデザインの核となっており、今回の新世代モデルでも、そのデザインを大きく方向転換するのではなく、引き続き主役の座に据えています。注目すべきは、日付表示のインダイヤルがなくなったことで、ダイヤル上の視覚的な重心を担う要素がほぼこの地図だけになり、以前よりもその役割が大きくなっていることです。

 もうひとつ注目したいのが、都市名を表示するディスクです。過去の一部のスペシャルエディション、たとえばフルブラックのグローブトロッター エディションでは外周に都市名の代わりに3文字の空港コードが表記されていました。しかし今回のモデルでは再び、都市名を表記しています。ケースが小型化したことを考えれば、都市名をフルスペルで表示するのは視認性の面で大きな挑戦ですが、それでもダイヤルが窮屈には感じられません。通常モデルはどちらも88万円、88個限定の宝石セットモデルは143万円(いずれも税込)です。

Frederique Constant Worldtimer

 この分野には確かに競合モデルが存在しますが、ほかのカテゴリーほど選択肢が多いわけではありません。価格が最も近いのはモンブランのスターレガシー オルビステラルムであり、セリタSW350-1をベースに自社製のワールドタイマー機構を組み合わせたムーブメント Cal.MB 29.20を搭載し、発売当時の価格は73万9000円(税込)でした。機械的に最も近い競合モデルは、2021年のジュネーブ・ウォッチ・デイズで発表されたブルガリ オクト ローマ ワールドタイマーでしょう。自社製ムーブメント Cal.BVL 257を搭載し、こちらもすべての操作をリューズだけで行えます。発売価格は102万3000円(税込)でした。この2モデルを比較すると、モンブランは価格が近いものの、ベースキャリバーを改良したものに頼っています。一方、ブルガリはフレデリック・コンスタントと同様に、専用の自社製ムーブメントを用いるアプローチを採っていますが、価格はかなり高くなります。しかし価格と自社製キャリバーの改良、特にパワーリザーブがほぼ2倍になったことを考慮すると、フレデリック・コンスタントが依然として優位に立っています。

Frederique Constant Worldtimer

 より手頃な価格帯に目を向けると、セリタSW330をベースに改良を施したJJ03を搭載するクリストファー・ウォードのC1 グランド・マルヴァーン ワールドタイマーは1485ドル(日本円で約23万6000円)、よりドレッシーなC1 ワールドグロウはレザーストラップ仕様で1995ドル(日本円で約31万8000円)からとなっています。バルチックの新作、ウール デュ モンドは、ゼロからワールドタイマーキャリバーを開発するのではなく、改良型GMTムーブメントであるソプロード C125を搭載し、レザーベルトで1495ドル(日本円で約23万8000円)、ブレスレットで1560ドル(日本円で約24万8000円)です。クリストファー・ウォードとバルチックはいずれも、フレデリック・コンスタントとは異なる発想に基づいています。既存のGMTムーブメントの設計をベースに改良することで価格を抑えており、ワールドタイマー専用ムーブメントをゼロから開発するアプローチではありません。この価格帯には、ファラーのワールドタイマーコレクションを加えることもできます。ジェームズは2019年にオリジナルのロシェを取り上げ、大型化が進むこのカテゴリーにおいて、39mm径ケースを真の異端児として称賛しました。その後、コレクションはロシェ II、フォックス、ソーンへと拡大し、いずれもセリタ SW331-2 エラボレを搭載し、価格は2000ドル(日本円で約31万9000円)をわずかに下回ります。このムーブメントもGMT用をベースとしたもので、GMT針の代わりに、都市ベゼルと対応する回転ディスクを用いることで、ワールドタイマーとして機能させています。

FC Worldtimer

 同じ価格帯に直接的な競合がほとんどなく、愛されてきた時計のデザインが大幅にアップデートされ、自社製ムーブメントまで改良されたことを考えると、今年のフレデリック・コンスタントのこの新作は、少し見過ごされているように思います。ダイヤモンドをあしらったモデルでさえ150万円以下で購入できます。求めるものに応じて価格帯は上下しますが、このモデルは、ワールドタイム機能、サイズ、デザイン、ムーブメントのバランスが非常によく、もともと競争力の高い価格設定にも十分な説得力があると思います。

ADVERTISEMENT