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Hands-On ニバダ グレンヒェン F77 マークII 、 ヴィンテージデザインを昇華させた進化形

従来のモデルとほぼ同じサイズ感ながらプロポーションが洗練され、いくつかのディテールもアップデートされたニバダ グレンヒェン F77 マークII。群雄割拠の一体型ブレスレット市場に再びその名を刻む。

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ニバダ グレンヒェン F77は2023年に再ローンチされたモデルであり、近年の同ブランドにおけるその他多くの製品と同じく、ブランドの豊富(そして私が思っていた以上に奥深い)で興味深いアーカイブから着想を得た、ヴィンテージピースに比較的忠実な37mm径のオマージュモデルだ。オリジナルは1977年に登場しており、ほぼ同時期に登場した一体型ブレスレットを備えるスポーツウォッチのひとつであった(もっとも、それらのほとんどは成功を収めるには至らなかった)。

 同様に、マイクロブランドから大手ブランドの予期せぬ新作に至るまで、ほとんどすべてのブランドがブレスレット一体型ウォッチを再投入しているようである。HODINKEEでF77を取り上げたのは今回が初めてだが、これはIBF(一体型ブレスレット疲れ)のせいだ。しかし新作である、わずかにサイズアップされたF77 マークIIの登場により、この度ようやく記事で取り上げる機会を得た。

Nivada Grenchen F77 Mark II

左がメテオライトダイヤルのF77、右が天然ブラックオニキスダイヤルのF77 マークII。

 F77には、優れた一体型ブレスレットウォッチとして期待される特徴が数多く備わっている。鋭角的ながらも流れるようなフォルム、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが組み合わさった外装、そして洗練されながらもやや工業製品的な質感がきちんと表現されている。私のなかでオリジナルのF77への興味が再燃したのは、ニバダ グレンヒェンがメテオライト(隕石)、アベンチュリン、ラピスラズリといった天然素材のダイヤルを、ステンレススティール(以下、SS)製のケースで展開すると知ったときだった。そしてメテオライトを用いたブラックセラミックバージョンが(短期間ながら)存在していたと知った際には、さらに心を奪われた。しかしそのモデルはすぐに完売し、自分は完全にFOMO(見逃しによる後悔)に苛まれることとなった。ケース径37mm、日付表示ありのモデルが厚さ12.6mmで、日付なしのモデルがで12.1mmというスペックは(ジャンボ ロイヤル オークやノーチラスほどのエレガンスには及ばないにせよ)バランスがいいように思えた。そして何よりオリジナルモデルの1360ドル(日本円で約20万円)という価格設定は非常に魅力的であった。

Nivada Grenchen F77 Mark II

 1mmのサイズアップは遠目にもすぐにわかるものであることに加え、新作であるF77 マークII(下の写真は18Kイエローゴールドプレート仕様のモデル)にはひと目で従来モデルと識別できる特徴がいくつか見られる。このモデルはゴールドプレート仕様と標準的な316L SS仕様の両方が展開されているが、現在ゴールドバージョンは完売している。どちらのモデルもダイヤルに天然ブラックオニキスを使用し、それぞれのケースカラーに合わせたアプライドインデックスとプリントによるミニッツトラックが配されている。最も明らかな違いはドーフィン針の採用と、夜光が施されていない点である。

Nivada Grenchen F77 Mark II

 アベンチュリン、メテオライト、そしてラピスラズリと同様に、天然オニキスの採用もまた、興味深い提案といえるだろう。特にオニキスは、ロレックスのようなブランドのヴィンテージモデルにおいては高額なプレミアムがつく要素として知られているからだ。ブラックのラッカーのような仕上がりは、針やインデックスの多様な反射を生み出す(特にドーム型の風防の内側で反射する場合に顕著だ)。マークIIのゴールドモデルはブレスレット仕様で1760ドル(日本円で約26万2000円)、標準的なSSモデルで1560ドル(日本円で約23万2000円)と、ゴールドはSSモデルに対して200ドル(日本円で約3万円)のプレミアムがついている。

Nivada Grenchen F77 Mark II

 厚さ12.2mmのケースは、少なくとも上面のバランスにおいてオリジナルのF77と比べて着用感に大きな違いは感じられない。ご覧のとおり、平置きにするとかなり厚みがあるように見えるが、それは何よりも新しくなったクラスプによるものである。……と、少し話が先走ってしまったようだ。美観についての話に戻ろう。

Nivada Grenchen F77 Mark II

 オリジナル(あるいは再ローンチされた)のF77は、メテオライトダイヤルとの組み合わせが実に見事である。これは決してお世辞ではない。酸によってエッチングされたメテオライトのウィドマンシュテッテン模様は自然光のもとで輝き、316L SS製のケースと美しく調和している。37mm×12.1mmというサイズ感はヴィンテージ寄りの印象だが、実際に手首に乗せてみると現代的に感じられた。ここでも少し話が逸れたが、個人的に、優れた一体型ブレスレットウォッチにはサテンとポリッシュを組み合わせた仕上げが必要であり、しかもその比重はサテン仕上げのほうに置かれるべきだと考えている。このジャンルに参入したばかりの新興ブランドによく見られる間違いのひとつは(デザインが陳腐であったり単調であったりすることに加えて)、ポリッシュ仕上げを多用しすぎてしまい、結果としてチープでプラスチックのような外観になってしまっているというものだ。ポリッシュ仕上げというのは、ほかの仕上げとのコントラストがあってはじめて際立つのだ。

Nivada Grenchen F77 Mark I

 ここでひとつお詫びをしなければならない。F77の“マーク I”バージョンの特徴のひとつである夜光を撮影し忘れてしまった。このモデルには、夜光塗料を塗布したスティック針、秒針の一部に塗られたわずかなスーパールミノバ、そして外周部に配置されたドット状の夜光が備わっている。この仕様はある意味、非常にヴィンテージ的だ。つまり、役に立つほどの夜光があるわけではないが、確かに存在しているといった程度のものである。たとえばニバダ グレンヒェンが公開しているこの写真を見て欲しい。

Nivada Grenchen F77 Mark I

 下の写真に写っている余分なコマに惑わされてはいけない。時計のサイズに大きな違いはないが、横から見ればいくつかの違いがすぐに目に入る。まず、F77 マークIIのラグには穴が開けられ、ブレスレットの着脱がより簡単に行えるようになった(F77およびマーク IIは、ブレスレットではなくベルクロまたはラバーストラップ仕様からも選ぶことができる)。ラグはより鋭角に落ち込むようにデザインされており、それによって面取りされたラグの輪郭がより明確に見え、ケースが手首によりしっかりとフィットするようになった。さらにマーク IIには新しいマイクロアジャスト式のクラスプが採用され、ブレスレットの長さ調整を小さなピン穴で行う必要がなくなった。唯一の難点は、このマイクロアジャスト機構の追加によってクラスプ側の重量と厚みがわずかに増し、全体のバランスに微妙な変化が生じてしまったことだ。

Nivada Grenchen F77 Mark II
Nivada Grenchen F77 Mark I
Nivada Grenchen F77 Mark II

 両モデルとも、最近発表されれたアクアマーと同じソプロード製の自動巻きムーブメントP024を搭載している。ケースバックには世代間でわずかな変更が加えられており、最も顕著なのはフォントの違いだ。なおF77の両バージョンはいずれも100mの防水性能を備えている(ダイビングに特化したアクアマーは200mと、防水性能の面で差別化されている)。

Nivada Grenchen F77 Mark I
Nivada Grenchen F77 Mark II

 ここにあるふたつのモデルのうち、個人的には迷わずマークIのメテオライトダイヤルを選びたい(実際に、この原稿を書きながら購入の寸前までいったほどだ)。それはひとえに魅力的なダイヤルに引かれたからであり、そして正直に言えばブレスレット付きのゴールドトーンの時計は少々派手すぎると感じてしまったからである。とはいえ、アップデートされたマークIIの快適な装着感は否定しようがない。

Nivada Grenchen F77 Mark I

 すべてを加味すれば、F77 マークIIのアップデートされたケースデザインとマイクロアジャスト機構を考慮すると、たとえ200ドル(日本円で約3万円)高くてもこのバージョンを選ばない理由を見つけるほうが難しい。ギョーム・ラディト(Guillaume Laidet)氏が率いる現在のニバダ グレンヒェンにおける強みは、単にコストパフォーマンスの高さだけではない。仮に現行モデルが自分の好みに合わなかったとしても、将来的にF77 マークIIのバリエーションが続々と登場するであろうことが、ほぼ確実であるという事実こそが魅力なのだ。

Nivada Grenchen F77 Mark II

ニバダ グレンヒェン F77はブレスレット仕様で1360ドル(日本円で約20万2000円)から、そしてF77 マークIIは1560ドル(日本円で約23万2000円)からの価格設定となっている。詳しくは、ニバダ グレンヒェンの公式ウェブサイトを参照。