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我々は今、大ヒットとなる秋のオークションが開催目前だ。このあいだ我々はフィリップスの“Decade One”オークションのきわめて詳細なプレビューを公開した。これは、この秋のオークションの注目を支配するだろう。しかしほかのオークションハウスも堅実なオークションを開催している。まずは、最近発表されたいくつかの驚くべきニュースを取り上げたい。
Photo courtesy of Phillips
フィリップスは12月にニューヨークで開催されるオークションで、伝説的な映画監督であるフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)氏のために特別に製作されたF.P.ジュルヌ×フランシス・フォード・コッポラ FFCを出品すると発表した。FFCモデルはジュルヌ氏がコッポラ氏から、時を知らせるために手と指を使った時計師がいたことがあるかと尋ねられたことから生まれた友情の賜物だ。その結果生まれた、クリエイティブな表示を持つこの時計は、ジュルヌのVIPにとって最も需要の高いピースのひとつとなっている。しかしフランシス・フォード・コッポラ氏が自身の個人的な時計を売却するのはかなり驚きだ。
Photo courtesy of Phillips
彼はまた、プラチナ製のF.P.ジュルヌ クロノメーター・レゾナンス(2009年に妻エレノアからコッポラ氏に贈られた)といくつかのピースも売却している。私はオンラインで、所有者であり、それに対して完全な権利を持つコッポラ氏が時計を売却することに対して、得るものも失うものもない人々からネガティブなコメントが奇妙な数寄せられているのを見た。しかしフランソワ・ポール・ジュルヌ氏はこの売却に承認の印を与え、「映画製作における彼の芸術的な傑作を創造する資金を提供するために、フィリップスを通じたこの時計の売却を全面的に支援することを誇りに思います」と述べている。
だがそのオークションはもう少しあとに開催される。まず、ジュネーブでいくつかのオークションが開催されるからだ。それでは、さっそくその出品物を見ていこう。
サザビーズ
サザビーズからは通常の“Important Watches”オークションと、ブレゲ創業250周年を記念したテーマ別オークションの2本立てで開催される。両方とも11月9日に行われ、Important Watchesオークションが最初に始まり、メルセデス・グライツのロレックス オイスター(我々が以前記事にした)と、鳥居をモチーフにしたカルティエ ミステリークロック No.6がヘッドラインを飾る。
この神社の鳥居をモチーフとしたクロック(Shinto Shrine clock)は信じられないアートピースだ。我々はそれを頻繁に口にするが、これはまさにそのとおりである。1923年から1925年のあいだに、カルティエと時計師モーリス・クーエ(Maurice Coüet)は、それぞれ異なる建築フォルムに基づいた6点のミステリークロックからなる記念碑的な“ポルティコシリーズ (Pendules Portique Mystérieuses)”を製作した。面取りされたロッククリスタルの“ダイヤル”とダイヤモンドがセットされた針、そしてブラックエナメルとゴールドのバンド付きの台座と柱頭を持つ2本のロッククリスタルの柱から形成された“ポルティコ”シリーズ、そしてこの鳥居に吊り下げられたクロックはまさに驚くべきものだ。ロットの推定落札価格は300万スイスフランから500万スイスフラン(日本円で約5億7000万~9億5000万円)。この推定落札価格のクロックを最後にいつ見たか思い出せないが、その価値は十分にあると感じる。
モノプッシャーを備えたパテック Ref.130。Photo courtesy Sotheby's
フィリップスと同様に、サザビーズもウェンガー社製ケースを備えたファーストシリーズのパテック フィリップ Ref.2499を出品している。推定落札価格は競合時計に比べてやや高い(100万スイスフランから200万スイスフラン/日本円で約1億9000万〜3億8000万円)が、(フィリップスの、入札を誘うために意図的に低い価格とは異なり)サザビーズはより妥当な推定落札価格を反映していると思う。もし私が(無限の資金で)入札するならば、シャンパンダイヤルを備えたユニークピースのパテック Ref.130を狙うだろう。ブレゲ数字と、モノプッシャーが特徴だ。実機は見ていないが、紙面上では、私が見たなかで最も魅力的なRef.130のひとつだ。ブラックダイヤルを備えたカルティエ ベニュワールも興味深い。
夜のオークションでは、サザビーズが“Celebration of Breguet's 250th Anniversary”で、時計製造史において最も重要な名前のひとつを祝う。このオークションにはきわめて歴史的に重要な時計がいくつかあり、その来歴は1968年にジョージ・ダニエルズ(George Daniels)がブレゲのために作ったクロックから、1827年に英国王ジョージ4世に売却された時計にまで及ぶ。
その王室の時計に次いで重要なのは、1809年に製作されたこのピースだ。ナチュラルエスケープメント、4分間トゥールビヨン、巻き上げインジケーター(Wind Indicator)、スモールセコンド、そしてピストンで作動する観測用の秒表示(本質的に初期のクロノグラフ)が特徴だ。これはまた、ブランドの過去の(そして最近復活した)腕時計のインスピレーションとなった。ナチュラルエスケープメントを搭載したブレゲの8本の4分間トゥールビヨンのうち、3本は(エルサレムのL.A. Mayer Museumにある2本を含め)美術館に収蔵されている。推定落札価格は35万スイスフランから70万スイスフラン(日本円で約6600万から1億3300万円)だ。
オークションにはきわめて特別な懐中時計もいくつかあり、個別にすべてを見るのは難しい。しかしブレゲ、または彼の工房で製作されたどの時計も、ほかの時期に見つけるのは信じられないほど難しいため、歴史的関心のある人にとっては素晴らしい機会だ。より現代的なコレクターのための特注の腕時計もいくつかある。
もちろん、ブランドの象徴的なタイプ XXモデルもいくつかある。そのなかでも、ルイ・ブレゲが創業した航空会社に納品されたゴールドベゼルを持つ、現在確認されている2本のうちのひとつや、珍しいブレゲのダイバーズウォッチなどがある。しかしいつか手に入れたいと常々願っていた時計であるブレゲ “エンパイア”に比べると、やや魅力は薄い。
クリスティーズ
クリスティーズの11月10日のオークションはサザビーズよりもロット数が多く、最高価格帯のトップエンドは少しモダンだ。トップロットのうちふたつはリシャール・ミルからの珍しい出品で、ブシュロンとポロ選手パブロ・マクドノー(Pablo MacDonough)のためのユニークピースだ。ティファニーのサインが入ったパテック フィリップ ノーチラス Ref.5711Pと同様に、私はこれらのロットに強い感情を持っているとは言わないが、それらがかなりよい結果を出すと確信している。
ブレゲ数字を備えたパテック Ref.3970。Photo courtesy Christie's
より興味深いのは、“ブレゲ”ダイヤルを備えた第2世代のパテック Ref.3970のセットがオークションに登場していることであり、最初のセットと同様に4つのロットに分割されている。パテックは2006年11月、ジュネーブでパテック フィリップ サロンを再オープンした。これを祝うために、パテックはこれらのセットを4つ製作したが、今回開催されるオークションのあとに残る完全なセットはふたつだけかもしれない。これらは当時のパテック収集家へのファンサービスであったことは確かであり、パテック Ref.3970に求めるものが正確に詰まっているため、どのような価格で落札されるか興味がある。また、これらは封がされている(クリスティーズは、封のなかにエキゾチックレザー製ストラップが付属されているため、輸出するにはいずれにせよ封を開けなければならないと注意している)。それぞれの推定落札価格は40万スイスフランから60万スイスフラン(日本円で約7600万から1億1400万円)だ。
パルススケールを備えたロレックス Ref.6239。Photo courtesy Christie's
同じ推定落札価格帯にあるのはオリジナルオーナーからの出品、パルススケールのダイヤルを備えたロレックス デイトナ Ref.6239 だ。これはデイトナ収集家にとっての希少価値の高いモデルであり、多くの人がそれを手に取り詳細に調査することを考えると、これは高値で取引される可能性がある。ダイヤルに多くのパティーナがある、真鍮製ムーブメントを搭載しているプラチナ製F.P.ジュルヌ クロノメーター・レゾナンス、そしてオマーンのスルタンのために製作されたハンジャールのサインが入ったパテック ノーチラスが、私の目を引いたトップエンドのロットを締めくくる。しかしベイヤーのサインが入ったノーチラス Ref.3800や、ヴェルガ・ミラノ(Verga Milan)が販売したパティーナのあるロレックス クロノグラフなど、ほかにも興味深いオプションがたくさんある。宝飾的なものが欲しいならば、ルビーがあしらわれたユニークなロイヤル オークか、ルビーとダイヤモンドをあしらったオーデマ ピゲの美しくセットされたスクエアウォッチを手に入れることができる。
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