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我々が知っていること
ある日、Time+Tideの創設者アンドリュー・マカッチェン(Andrew McUtchen)氏からメッセージが届き、ドレスウォッチを発表するという知らせを受け取ったときの驚きを想像して欲しい。“アウトバックの王者たち”(と私は彼らを勝手に呼んでいる。なにせファーラン・マリのアウトバック エレジーやゼニスとの3本のコラボなど、多くの注目プロジェクトを手がけてきたチームなのだから)が、まさかドレスウォッチを発表するとは思ってもみなかった。しかしながら、Time+Tideがこの新たな領域に踏み込む第1歩として選んだ、デニソンとのコラボレーションモデルは実に見事な仕上がりである。
デニソンについてはこれまでにも何度か取り上げてきた。最初はブランド紹介の記事で、最近では我々の友人ジョン・リアドン(John Reardon)氏が率いるコレクタビリティ(The Collectability)とのコラボレーションについても紹介した。ブランドの背景を知りたいのであれば、まずはそこから読み進めるとよいだろう。今回の新作ウォッチは、ほかのモデルと同様、縦37mm×横33.5mmのクッション/TV型ケースに、厚さ6.05mmのプロポーションを採用している。ムーブメントはスイス製クォーツのロンダCal.1032だ。しかしTime+Tideは、ダイヤルという大きく開かれたキャンバスを、見事なマルケトリー(寄木細工)の傑作に変えてみせた。
デニソンはこれまでも天然石をダイヤル素材として使用してきた実績があり、マザー・オブ・パール(今回使用されている)も技術的には天然の宝石に分類される。マルケトリー技法もマザー・オブ・パールの使用も、どちらもデニソンにとっては初の試みだ。このアイデアを出したのは同ブランドのデザイナー、エマニュエル・ギュエ(Emmanuel Gueit)氏。彼はオーストラリア産のマザー・オブ・パールを細長いレクタンギュラーピースに仕立て、それらを手作業でダイヤルに象嵌する構想を描いた。その結果、濃淡のあるトーンが手首の動きに合わせて光を受けてきらめき、ヴィンテージドレスウォッチを思わせる魅力的な雰囲気を醸し出す。それは最近になってマカッチェン自身が(本人も驚いたことに)夢中で掘り下げているというジャンルでもある。
新作デニソン×Time+Tide “デートナイト”は、モレキン(Molequin)社製のスエードストラップ(オプションでホワイトレザーも選択可能)が取り付けられている。注文方法には注意しておきたい。販売はアメリカ東部時間で2025年8月27日8時(日本時間で2025年8月27日22時)からの24時間限定で、オンラインにて受付が開始される。最初の200本は7〜14日以内に出荷され、残りの注文分は11月初旬に発送予定となっている。この販売期間を過ぎると、本モデルはメルボルン、ロンドン、そして近日ニューヨークにオープン予定のTime+Tide Watch Discovery Studiosの3店舗でのみ取り扱われる予定だ。価格は税込、そして関税・手数料込みで995ドル(日本円で約14万7000円)である。
我々の考え
1000ドル(日本円で約15万円)を切る価格でこのコラボレーションモデルを手にできるというのは、率直に言ってとても印象的だ。確かに、最近のコレクタビリティ(The Collectability)とのコラボモデルよりも価格は上がっているが、デニソンはこれまでこの価格帯ではなかなか見られなかったダイヤルクラフトによって確かな価値を加えている。デニソンはストーンダイヤルといった特徴を武器に、かつては高額あるいはきわめて限定的な生産体制のもとでしか手に入らなかった仕様を、より多くの消費者が手にできるようにしている新興の小規模ブランドのひとつである。
今回の時計を見て思い出したのが、ショパールのL.U.C. クアトロ スピリット 25だ。あちらはストローマルケトリーを採用したダイヤルが特徴で、両者は技法に共通点がある。とはいえ、価格やウォッチメイキングにおける哲学がまったく異なる2本であることは言うまでもない。この時計には、アルベール・グレーズ(Albert Gleizes)のキュビスム(特に1910年代の風景画)を思わせる要素があり、あるいはより正確に言えばリオネル・ファイニンガー(Lyonel Feininger/少し時代を下った作品“ゲルメローダ”を見てもらえばわかるように)の作風をイメージさせるところもあって、個人的にかなり魅力を感じている。デニソンは、アノマやそのほかのデザイン志向のブランドと同様に、優れたデザイン性を持つ時計を手ごろな価格で手に入れたいという購入者に対し、有力な選択肢を提示している。
基本情報
ブランド: デニソン×Time+Tide(Dennison×Time+Tide)
モデル名: “デートナイト”('DateNight')
直径: 縦37mm×横33.5mm
厚さ: 6.05mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: マザー・オブ・パールマルケトリー
インデックス: なし
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: モレキン社製のスエードストラップ、オプションでホワイトレザーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: スイス製クォーツのロンダ Cal.1032
バッテリー寿命: 60から90カ月
精度: 月差-10から+20秒
追加情報: ケースバックにはロンドンのTime+Tide Watch Discovery Studiosが描かれており、イラストはブランドのオーストラリアスタジオマネージャーであるアレックス・ヒンドリー(Alex Hindley)氏によるもの
価格&発売時期
価格: 税込、関税、手数料込みで995ドル(日本円で約14万7000円)
発売時期: アメリカ東部時間で2025年8月27日8時(日本時間で2025年8月27日22時)より、https://datenight.timeandtidewatches.com/ にて24時間限定でオンライン販売。この期間を過ぎると、メルボルン、ロンドン、ニューヨークのTime+Tide Watch Discovery Studios限定販売となる
限定: なし、しかし在庫に限りあり
詳しくはこちらをご覧ください。
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