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我々が知っていること
トリローブが何やら大きな動きを見せている。このフレンチブランドは、近年で最も大きな刷新と言える新作トランテ=ドゥ(Trente-Deux)を発表。ブランドのシグネチャーであるダイヤルを備えた、インテグレーテッドブレスレット仕様のスポーツウォッチである。時刻表示はこれまでと変わらず、分表示の開口部、スモールセコンドのインダイヤル、そして12時位置のポインターに合わせて回転する外周の時表示ディスクによって構成されている。ケースとその内部は、いずれも完全に新設計だ。
まず目を引くのは、トランテ=ドゥがインテグレーテッドブレスレットを採用している点だが、実のところ、ブレスレットの採用自体がトリローブにとって初となる。ケース側面から一体型ラグの落ち込んだ部分まで伸びる、長く面取りされたラインと、ポリッシュ仕上げのセンターリンクにより構成されたこのブレスレットは、サテン仕上げの表面とのコントラストが印象的である。加えて、これもブランド初となるクラウンガードを装備しており、スポーティな印象を高めている。ケースサイズは直径39.5mmで厚さ10.15mm、ラグ・トゥ・ラグは46.18mm。ベゼルには鏡面仕上げの稜線とマイクロブラスト仕上げの溝があしらわれたフルーテッドデザインを採用し、サファイアクリスタル風防には多層ARDURの反射防止コーティングが施されており、プッシュボタン式のリューズはフルーテッド仕様だ。
このブレスレットとともに発表された最も重要な成果は、ブランド初の完全自社製ムーブメントの搭載だ。設計、開発、機械加工、製造、装飾、組み立てのすべてを、パリに新設されたトリローブの工房内で一貫して行っている。ちなみに少し興味深い話をすると、この新工房は以前、ジャガイモの加工工場だったとのことだ(本当の話で、改装前には数百kgのジャガイモの残骸を片づける必要があったという)。
まあ、その話はさておき、本題に戻ろう。重要なのは、ダイヤル側に見られるいくつかのサーキュラーデザインが、裏側では興味深く角張ったプレートと対照的になっている点だ。このプレートは一部がスクエア状で、大型のオープンローターを搭載している。仕上げは主に伝統的なフレンチスタイルで、サテンやグレイン仕上げが中心となり、テンプ受けやカバープレートなどのエッジには面取りが施されている。CEOのゴーティエ・マッソノー(Gautier Massonneau)氏によれば、このプレートは輪列の“見栄えの悪い部分”を隠すために設計されており、仕上げの粗を隠すためではないという。というのも、この特異な表示機構ゆえに一般的な(そして見た目に美しい)輪列とは異なるため、このように覆ってしまったほうがむしろ美観として優れているというわけだ。
トランテ=ドゥには、ブラックとブルーの2種類のダイヤルバリエーションが用意される。ダイヤル中央部はサンレイ仕上げが、時・分表示用ディスクはグレイン加工が施され、数字はパッドプリントで表現されている。スモールセコンド用ディスクにはアズラージュ装飾とクル・ド・パリ仕上げを組み合わせており、ギヨシェ仕上げのサーキュラーチャプターリングにはサテンと鏡面仕上げが施されている。小売価格は、どちらのカラーも1万6500ユーロ(日本円で約285万円)だ。
我々の考え
時折、トリローブが現代の時計市場においていかに若いブランドであるかを忘れてしまう。同ブランドは、ゆっくりと着実でありながら創造性に富んだアプローチを取っている。時刻表示の方法からブランドストーリーテリングに至るまで、控えめながらも確かな自信がにじみ出ており、成熟した姿勢で製品そのものをしっかりと支えている。しかしその控えめさゆえに、今回のリリースがいかに見事であるかを見落としてしまうかもしれない。今回のジュネーブ・ウォッチ・デイズで実機を見る機会に恵まれ、何枚か写真も撮影した。詳しい所感については、近日公開予定のHands-On記事に譲りたい。
ひとつだけ先に言っておくと、このブレスレットは驚くほど装着感がよい。編集部のアンディと(リミテッドエディション部門を率いる)ジェフ・ヒラルドとともに試着してみたのだが、それぞれ手首のサイズが異なるにもかかわらず、3人全員に快適にフィットした。新たなブレスレットデザインを生み出すというのは、ほとんど不可能に近い挑戦だ。しかしこのブレスレットはありがちなアイコニックデザインの模倣とは異なる。ブランドのシグネチャーダイヤルと興味深い新ムーブメントとが合わさることで、この若きフレンチブランドの新作はきわめて魅力的な提案となっている。
基本情報
ブランド: トリローブ(Trilobe)
モデル名: トランテ=ドゥ(Trente-Deux)
直径: 39.5mm
厚さ: 10.15mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤色: ブルーまたはブラックのマットサンレイ仕上げ
インデックス: パッドプリントの数字、時・分表示用のグレイン加工ディスク。スモールセコンド表示にはアズラージュ装飾とクル・ド・パリを組み合わせたディスクを採用し、サーキュラーチャプターリングにはギヨシェ仕上げ、そしてサテンと鏡面仕上げが組み合わされている
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット、トリローブのロゴが刻印されたダブルフォールディングクラスプ付き
ムーブメント情報
キャリバー: 自社製のX-Nihilo
機能: 時・分・秒表示
直径: 35.2mm
厚さ: 7mm
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 34
クロノメーター認定: なし
追加情報: 自社製ムーブメント搭載、納品日または対面での引き渡し日から24カ月間の保証付き
価格&発売時期
価格: 1万6500ユーロ(日本円で約285万円)
発売時期: 発売中
限定: なし
詳しくはこちらをご覧ください。
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