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Photos by TanTan Wang
ノモスは色から逸脱することはないブランドだ。しかし“カラフル”に傾倒することがこの業界ではしばしば一発芸になりがちなのに対し、同ブランドのダイヤルを扱う手法、つまり色だけでなく、彩度、テクスチャー、コントラストにおける多様性を私は常に気に入っている。鮮やかでファンキーな色が際立ついくつかの大型発表を経て、同ブランドは、それぞれ独自の個性を放つテトラの4つのモデルのシリーズで少しトーンを落ち着かせた。
これらはオーカー(Ochra)、テラ(Terra)、サルビア(Salvia)、バサルト(Basalt)の各リファレンスであり、これらが一体となって“テトラ オリジンズ”コレクションを形成している。このコレクションは、以前に登場した時計と同じくらい遊び心があるが、より彩度を落としたことでわずかに繊細さも加わった。私にとってテトラは、同ブランドのラインナップのなかでしばしば異質な存在のように感じられる。言うまでもなく、スクエアケースとアール・デコ調のラグは、このブランドのもっともユニークな(あるいは賛否両論を呼ぶ)デザインディテールだ。だが同時にこのラインはめったにアップデートされず、当初から選択肢がきわめて少ない。そのため、数カ月前にグラスヒュッテでこれらの4つのバージョンを見たとき、新鮮な息吹のように感じられたのだ。
さて、ブランドが自然からインスピレーションを得たとする、それぞれのカラーバリエーションの詳細を見ていこう。オーカーは古代エジプト工芸の温かい金色の顔料から着想を得ており、テラは淡いレンガのような赤色をとおして土の持つ素朴な雰囲気を想起させる。サルビアの落ち着いたグリーンは私に苔を、バサルトのブラックダイヤルは同名の火山岩をイメージさせる。しかしこれらのダイヤルをノモスらしくしているのは、スモールセコンドのインダイヤルに加えられた型破りな色のアクセントだ。オーカーでは秒目盛りが鮮やかな赤でプリントされ、秒針自体はベージュの背景に鮮やかな黄色だ。赤いテラのトーンは薄いラベンダーの対照的なインダイヤル、黄色の秒目盛り、そして鮮やかな青の秒針が特徴だ。サルビアは、おそらく最もオーソドックスに感じられるだろう。青のインダイヤル、黄色の目盛り、水色の秒針が組み合わされている。最後に、ストイックなバサルトのダイヤルはグレーのインダイヤル上で、鮮やかなフクシアカラーの秒目盛りと黄色の秒針によって明るいパンチを効かせている。
これらのテトラはスティールケースで“直径”29.5mm、ラグ・トゥ・ラグが40.5mmというミッドサイズを維持している。内部で駆動するCal.DUW 4001のおかげで、手巻き式であることもあり、ケースの高さは6.5mmとかなり薄いままに保たれている。これはケースに対して小さくも適切なムーブメントであり、シースルーバックいっぱいに広がり、ストライプと青焼きネジを披露している。このムーブメントは自社製だが、その構造はノモスの旧アルファ仕様のプゾー7001をベースとしており、ノモス独自のスウィングシステム脱進機を含む大幅なアップグレードがDUW化によってもたらされている。防水性は5気圧で、ブランドはこれを“スプラッシュプルーフ(防滴性能)”と呼んでいる。
身に着けると、テトラは手首の細い人(筆者も含む)に素晴らしくフィットする。私はスクエアウォッチは、同じサイズのラウンドデザインよりも大きく見える傾向があると感じており、直径29.5mmというきわめて小さいサイズが実際にはパンチが効いており、実生活では35-36mmの時計のように感じられる。もし手首がしっかりしてるならテトラはあなたには向かないかもしれないが、このスクエア型のケース形状はスペックが示すよりもはるかに威厳のある存在感を手首に与える。ノモスのより鮮やかなカラーウェイではこれを問題と感じなかったと思うが、これら4つのリファレンスの落ち着いた色調はダイヤルの効果が肌のトーンにかなり左右されるため、実際に試着する必要があることを認めざるを得ない。オーカーはほかの時計ではあまり見られない淡い黄色が、その最大の例かもしれない。
私はサルビアのグリーンがもっとも気に入るだろうと常に思っていたが、ブラックのバサルトの仕上げに心を奪われた。それはバサルトが4つのなかでもっとも汎用性が高いにもかかわらず、ダークなダイヤルと明るいインダイヤルのアクセントのコントラストが、もっとも遊び心を呼び起こすという事実に尽きるだろう。
4つすべてが確かに楽しい仕上げだが、バサルトはより巧みにそれをやってのけたのだ。私のコレクションにはユニークな形状のケースを持つ時計はあまりないが、テトラには長年愛着があったため、これらが限定ではないシリーズの一部として登場したことは喜ばしい。だがノモスよ、パワーリザーブインジケーター付きのテトラを復活させてくれないか? 一生のお願いだから。
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