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Photos by Shota Akiyoshi
我々が知っていること
先日、HODINKEEとウォッチズ・オブ・スイスが共催したイベントにて発表されたクロノグラフ1 – 1975 リミテッドエディションは、ポルシェデザインがこの度ラインナップに加える最新作である。ブランドの代表的なクロノグラフとして知られ、長年愛されてきたあの1本を踏襲しつつ、今回はブラックコーティングが施されていない点が特徴的だ。ブラックコーティングは1972年当時においては革新的なもので、結果としてクロノグラフ1はポルシェデザインというブランドの理念を体現する象徴的存在となった。だが実はポルシェデザインは1975年に、コーティングなしのステンレススティール製バージョンも展開していたのである。
1975 リミテッドエディションは、コーティングなしのヴィンテージ仕様に着想を得たモデルである。ただし、ステンレススティールではなく、現代版ではガラスビーズでブラスト加工を施したチタン製ケースを採用しており、これは明らかなアップグレードであるだけでなく、歴史的な意味合いも込められている。というのも、ポルシェデザインが初めてチタンケースの腕時計を発表したのは1980年のことだったからだ。なお、このチタン製ケースと仕上げは、本作以前に登場した現代版クロノグラフ1(911 S/T エディション)にも採用されていた。ただしその2023年モデルは、新型ポルシェ911 S/T(992世代)のオーナーでなければ購入できなかった。
さて、少し立ち返ってみよう。ポルシェデザイン クロノグラフ1は、フェルディナント・アレクサンダー “ブッツィ”・ポルシェ(Ferdinand Alexander "Butzi" Porsche)が初めてデザインした腕時計である。彼はポルシェ911のデザインを手がけた人物としても知られている。HODINKEEの読者であれば、この事実は基礎知識として押さえていることだろう。ただし、クロノグラフ1のヴィンテージから現行まですべてのバリエーションを熟知している愛好家は、それほど多くはない。
本日発表された本モデルは、マットブラックのダイヤルに際立つホワイトのアクセントが映える、クラシックなスタイルに仕上げられている。ガラスビーズでブラスト加工を施したチタン製のケースとブレスレットは、かつてのブラックコーティング仕様のクロノグラフ1よりもさらにインダストリアルな印象を与えている。内部には、ポルシェデザイン製Cal.WERK 01.240を搭載。COSC認定を受けたフライバッククロノグラフムーブメントである。ケース径は40.8mm、厚さは14.15mmで装着感に優れ、視認性と日常使いのバランスが取れたサイズ感となっている。フライバッククロノグラフ機能は、クロノグラフを楽しむうえで実用的かつスマートなオプションだ。曜日と日付の表示窓はドイツ語と英語に対応しており、このディテールはブランドのルーツに対する明確なオマージュである。
ブレスレットのフォールディングクラスプにはファイン・アジャストメント機構とポルシェデザインのロゴを備え、ケースバックには同ロゴと“1975”の文字、さらに350本限定のシリアルナンバーが刻まれている。
ポルシェデザイン クロノグラフ1 – 1975 リミテッドエディションは、ウォッチズ・オブ・スイス(HODINKEEの親会社)とブランドとの新たなパートナーシップとともに発表された。本モデルはウォッチズ・オブ・スイスのソーホー旗艦店にてお披露目され、今後同社がアメリカにおけるポルシェデザインの唯一の正規販売パートナーを務めることとなる。
世界限定350本のこのクロノグラフ1はすでに販売が開始されており、価格は9650ドル(日本円で約145万円)である。
我々の考え
ポルシェデザイン、そしてとりわけクロノグラフ1への強い愛着を我々HODINKEEが抱いていることは、もはや周知の事実だろう。我々自身が手がけた2024年版のクロノグラフ1 リミテッドエディションは、1972年のブラックコーティング仕様のオリジナルを理想的な形でアップデートすることを目指し、必要な部分だけを現代的に改良したモデルだった。そしてこの1975 リミテッドエディションも、同じ設計思想に則って生まれている。ただし今回は、ややニッチながらも根強い人気を持つヴィンテージの仕様に目を向けているのだ。正直に言って、このモデルの登場をポルシェデザインの愛好家は待望していたことだろう。欲しいものはすべてそろい、不要なものは何ひとつない。そんな1本に仕上がっている。
単なるトリビュートデザインや復刻を超え、1975はチタン製のケースとブレスレット、COSC認定のフライバッククロノグラフムーブメントといった仕様によって、さらに1歩踏み込んだ仕上がりとなっている。より堅牢で、軽く、そして高性能。これは、もしF.A.ポルシェが今日クロノグラフ1をデザインしたならば、まさにこうなっていたであろう1本である。
現代版クロノグラフ1は、単に伝統やヴィンテージトレンドに便乗したモデルとして不当に評価されがちである。だが、時計とクルマを本当に愛する者が、ほんの1歩だけ踏み込んで見てみれば、このアイコニックなデザインに対するていねいなアップデートによって、現代のクロノグラフとして非常に完成度の高い1本に仕上がっていることがわかるだろう。拡張し続けるクロノグラフ1ファミリーにおいて、この1975は最もクリーンで、最も日常使いしやすいモデルかもしれない。クルマの購入も特別なロゴも不要。ただ優れたデザインと現代的な利便性だけが、ここにある。
基本情報
ブランド: ポルシェデザイン(Porsche Design)
モデル名: クロノグラフ1 – 1975 リミテッドエディション(Chronograph 1 – 1975 Limited Edition)
型番: 6041.8.02.002.10.2
直径: 40.8mm
厚さ: 14.15mm
ケース素材: ガラスビーズブラスト加工を施したチタン製
文字盤色: マットブラック
インデックス: ホワイト
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタン製ブレスレット(ガラスビーズブラスト加工)、ファイン・アジャストメント機構付きチタン製クラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: ポルシェデザイン WERK 01.240
機能: 時・分・秒表示、デイデイト表示、フライバッククロノグラフ
直径: 30mm
厚さ: 7.9mm
パワーリザーブ: 48時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
クロノメーター認定: COSC認定
価格 & 発売時期
価格: 9650ドル(約145万円)
発売時期: 販売中
限定: 350本限定
詳細はポルシェデザインの公式サイトをチェック
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