trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Editors' Picks 夏にこそおすすめしたい腕時計【2024年】

夏真っ盛り。これから夏を謳歌しようという人に向けて、5本の時計をおすすめしよう。

夏が来るとよく“夏におすすめの時計”、“サマーウォッチ”という言葉がタイトルに入った記事が目につくようになるが、何をもって季節と時計を結びつけるのかは実はなかなかの難題だ。季節感を時計のデザインで感じる人もいれば、そのシーズンならではのアクティビティにマッチする時計を選ぶ人もいる。もちろん、気候に合わせた快適さを求める声もあるだろう。今回はHODINKEE Japanのエディターに夏におすすめしたい腕時計というテーマでおすすめの1本を出してもらったが、それぞれ好みも異なるためにバラバラの5本が集まった。ただし選出にあたっては、高温多湿の(しかも熱帯化が進行しつつある)日本の夏に合わせてひとつだけ条件を出させてもらっている。それがこれだ。

多少の水濡れにも安心な、10気圧以上の防水性能を持っていること

 必ずしも全員が水辺のアクティビティに興じるわけではないが、最近増えているゲリラ豪雨や、じっとりと濡れそぼつ手首の汗ぐらいには耐えられるような時計が望ましいだろう。安心して個性豊かな5本の腕時計をチェックして欲しい。


タグ・ホイヤー カレラ スキッパー
By Masaharu Wada

夏にぴったりの腕時計というテーマを聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは高い防水性能を備えたダイバーズウォッチではないでしょうか。いつもなら僕もそうなのですが、今回は違いました。なぜなら登場して以来ずっとつけたいと思っていた夏時計があるからです。それがこのタグ・ホイヤーのカレラ スキッパーです。もちろん今回のテーマの10気圧防水をクリアする100mの防水性能を誇るモデルです。

我らがベン・クライマーが所有するオリジナルのホイヤー スキッパー Ref.7754。

 オリジナルのホイヤー スキッパー Ref.7754は、1968年にヨットレース用クロノグラフ、いわゆるレガッタクロノグラフとして開発されました。ホイヤーと聞くとモータースポーツにインスパイアされたモナコやオータヴィアを思い出しますが、そのユニークなデザインと希少性から、ホイヤーファンのあいだで根強い人気を誇るモデルです。最大の特徴は、その独特な外観です。スキッパーのデザインには、前年度のアメリカズカップで優勝した伝説的な船、イントレピッド号のカラーパレットが取り入れられ、鮮やかで象徴的な配色が施されています。

 ここで僕がご紹介するカレラ スキッパーは、ユニークなオリジナルデザインが2023年に発表されたカレラ グラスボックスコレクションに落とし込まれたモデルです。深い海を連想させる深みのあるメタリックなブルーのメインダイヤルに、9時位置の12時間積算計ダイヤルはイントレピッド・ティールが3時位置の15分レガッタカウンターはイントレピッド・ティール、ラグーングリーン、レガッタオレンジの3色に分けられています。

 鮮やかなカラーは、間違いなく真夏の太陽の下で非常に映えると思います。個人的に特に気に入っているのは、ダイヤルの端にある傾斜部分のスケールです。スタンダードモデルではタキメーターが採用されていますが、このモデルはヨットウォッチであるため、数字ではなくミニッツマーカーが使用されている点が魅力的です。なお、一見するとツーカウンターのようですが、6時位置にはスモールセコンドが配されています。

 カレラ スキッパーのスティール製ケースは直径39mm、厚さ13.9mm、ラグトゥラグも46mmのため、より多くの手首にフィットするサイズ感となっています。グラスボックスのドーム型サファイアクリスタル風防はヴィンテージカレラのドーム型プラスチック風防を思い起こさせるデザインでありながら、ベゼルレス構造で真新しさも感じさせます。ヴィンテージからインスピレーションを受けながらも、復刻ではなく現代的なウォッチとしてうまくまとめられているように感じました。時計の内部には、タグ・ホイヤーの自動巻きCal.TH20-06を搭載。パワーリザーブも約80時間が確保されていて、申し分ないスペックです。

 スキッパーの歴史的なつながり、文字盤のデザイン、装着性のよさ、夏の海辺のアクティビティにもぴったりの性能を備えた個人的に今年一番おすすめのサマーウォッチです。

価格: 94万6000円(税込) その他の詳細はタグ・ホイヤー公式サイト


G-SHOCK フロッグマン MRG-BF1000R
By Yusuke Mutagami

大前提としてだが、G-SHOCKは基本スペックとして20気圧防水を備えている。僕もG-SHOCKの防水性能には信頼を置いていて、愛用のGA-2100を渓流釣りや海辺のアクティビティに頻繁に持ち出しているがまったく壊れる気配はない。しかしサマーウォッチとして特におすすめするなら、G-SHOCKのなかでも唯一ダイバーズウォッチに分類され、ISO規格をクリアした200m潜水用防水を備えるフロッグマンを選びたい。

 実は恥ずかしながら、フロッグマンという時計にきちんと向き合ったのは2023年5月発売のMRG-BF1000を撮影で扱ったときだった。もちろん存在は知っていたものの、僕自身はダイビングのライセンスを持っているわけでもないし手元のG-SHOCKで十分だと思っていた。しかし撮影にあたって沖縄の海に持ち出し、潜水するモデルの手首で潮を浴びて光るフロッグマンを眺めていたとき、不意に言いようのないロマンを感じたのだ。水中作業時に邪魔にならないよう考案された左右非対称のケース、ウェットスーツの上からでも巻けるよう長くとられたストラップ、海のなかでも視認性を損なわない高輝度の夜光など、それまでリリース情報としてしか認識していなかったスペックがリアルな環境下で輝いて見えていた。

 この年はほかにもマッドマスターやマッドマンを撮影で泥にまみれさせ、過酷なラリーカーの運転で着用し、富士五湖の湖畔で丸洗いしたりしたのだが、やはりMASTER OF Gは過酷な環境下においてその魅力を最大限に発揮していた。ゆえにこの夏、マリンスポーツや河辺でのレジャーに興じる予定があるのなら、お持ちのG-SHOCKから1歩踏み込んでフロッグマンを試してみて欲しい。

 僕は実際に着用し、チタン装甲の堅牢さと軽さ、デュラソフトバンドのしなやかな着用感を体験しているからこそMR-G フロッグマンをプッシュしたい。70パーツ以上に分割、研磨が施された外装もきりっと引き締まった立体感があり、ダイビング中でも思わず覗き込みたくなる美観と存在感を放っている(直近のジェイソン・ヒートンの記事でも注意喚起がなされていたが、海中では時計に気を取られすぎると生死にかかわるのでほどほどに)。

 当然だがフロッグマンはMR-Gに限らない。今年は久々のアナログモデルとして、高耐久のコンポジットバンドを取り付けたGWF-A1000CおよびGWF-A1000XCも出ているし、デジタル表示のロングセラーモデル(僕も先日購入した)GWF-1000は発売から15年経つがまだまだ販売を継続していく予定だという。60万円近い高級機に挑戦する前に、これらのモデルでフロッグマンとは何かを知っておくのもいいと思う。

 さて、おすすめの夏時計ということでMRG-BF1000Rを紹介したが、同時にこのモデルは僕がずっと欲しい時計でもある。その後発表されたイエローの限定モデルであるMRG-BF1000E、レッド×ブラックのチタンバンドモデルことMRG-BF1000Bも試してみたが、やはり沖縄の海の色を思わせるブルーが忘れられない。すでに持っている、もしくは購入したという人は、ぜひ僕に逆レビューしておすすめして欲しい。

価格: 59万4000円(税込) その他の詳細は、G-SHOCK公式サイト


シチズン プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m
By Yuki Matsumoto

夏におすすめしたい腕時計と聞いて真っ先に思い浮かんだのが、こちらのシチズン プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200mだ。実は先月、色違いのスティール製ゴールドメッキモデルを手に入れ、今はほぼ毎日着用している。だが少々フェミニンな雰囲気なので、今回はブラックモデルを選出した。

 このプロマスターは、ドレスウォッチしかない私のコレクションにバリエーションを増やしたいと思い手に入れた、初めてのスポーツウォッチだった。昨年アメリカ市場に投入されてからずっと気になっていたが、今年の春に実機と対面する機会があり、その瞬間に欲しいと感じた。その決め手はケース径36.5mmという小ぶりさと、光発電エコ・ドライブという手軽さにある。防水性能は200mと、ISO規格をクリアした本格的なダイバーズウォッチ仕様であり、水場でも安心して使用できる。

 36.5mmではやや物足りないと思う方もいるかもしれないが、意外にもつけてみると大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感を提供してくれる。11.6mm厚とケース径に対してはやや厚めだが、65gという軽さにより長時間の装着でも疲れにくい。また、逆回転防止ベゼルとその厚みにより、手首に乗せた際に存在感を放つため、小ぶりながらも男性がつけても違和感を感じない。

 一番のおすすめポイントは、2015年に登場したプロマスター ダイバー 44mmの魅力をそのままに36.5mmへとコンパクトにダウンサイズしている点だ。なお今でも44mmモデルは併売されている。ブラックとオレンジで塗り分けた時・分針や、4時位置にあるねじ込み式リューズと日付、刻みが一部入った逆回転防止ベゼル、ウレタンストラップに至るまで、顔立ちは44mmモデルとほぼ変わらない。

先月購入したゴールドメッキモデル。

 本格的なスペックを持つダイバーズウォッチはケース径が大きくなりがちだとわかってはいるものの、いかんせん44mmは大きすぎると感じていたユーザーも多かったはず。本作は体格のいい男性から私のように手首が細い女性まで、幅広い層の人たちが気軽に着用できる。特にオールブラックの意匠と文字盤のテクスチャーはマッシブさを強く感じる。36.5mmという小径サイズであれ、デザイン次第でバルキーに感じられるため、小さすぎはちょっと...と線を引いている男性にもぜひ一度チャレンジして欲しいのだ。

 私はひと足お先に、ゴールドメッキの新たな相棒とともに夏を満喫している。

価格: 4万5100円(税込) その他の詳細は、シチズン公式サイト


IWC インヂュニア・オートマティック 40 Ref. IW328904(チタン)
By Kyosuke Sato

夏の強烈な日差しに映える爽やかなカラーのダイヤル、存在感を主張するケースデザインやサイズなど、手首の露出が増える夏にこそ選んでみたい時計はいくつかある。だが、筆者が夏に最も欲しくなる、そして最もおすすめしたいと思っているのはチタンウォッチだ。

 理由はいくつかあるが、ひとつにはチタンが汗に強いということが大きい。夏は汗をかく機会が非常に増えるが、チタンは耐腐食性が高いため汗や塩水にも強く錆びる心配が少ない。そして軽量というのもおすすめの理由だ。よく知られているように、チタンはステンレススティールよりも約40%軽い軽量な金属だ。夏はいつもより活動的になるという人は少なくないと思うが、軽い時計は快適さを保つためにも重要。長時間の着用でも苦にならない重さというのはポイントが高い。ほかにもチタンは熱伝導性が低いという特性も備えているため、金属部分が皮膚に触れても不快な熱さを感じにくいのも魅力といえる。

 こうしたチタンの持つ優れた特性が注目され、近年ケースやブレスレットにチタンを用いた時計がブランド各社からリリースされるようになった。本格ダイバーズウォッチのスペックを持つチューダー ペラゴス 39やダイバーズではないものの30気圧と高い防水性を持つゼニス デファイ リバイバル シャドウなど紹介したい魅力的な時計がたくさんあるが、筆者が特におすすめしたいのはIWC インヂュニア・オートマティック 40のチタンモデル、Ref.IW328904だ。

 IWCはなんと言っても時計業界におけるチタンウォッチのパイオニアだ。1970年代後半から1980年代にかけてポルシェデザインと提携してさまざまなチタンウォッチを手がけたことで、IWCは他社に先駆けて独自のノウハウを獲得してきた。インヂュニア・オートマティック 40ではグレード5のチタン製のケースとブレスレットを採用している。チタン特有のマットグレーの外観を持つが、同時に表面の非常に細かいところまでサンドブラスト、サテン、ポリッシュとさまざまな仕上げが入念に施されており、SSにも引けを取らないほどその質感は高い。

 ケースは40mmと大き過ぎず小さ過ぎずのほどよいサイズ感で、ラグからラグまで長さも45.7mmと、細い手首の人でもフィットする人間工学に優れたスタイルを持つ。チタンモデルの実機にはまだ触れられてはいないが、SSモデルは以前撮影のために借りて試したことがあり、腕なじみがよかったことを覚えている。

 優れたスペックを備えているところもこの時計の大きな魅力だ。リューズやケースバックはねじ込み式で、10気圧防水を確保していて普段使いするのには十分な数字が確保されているし、ラチェット式自動巻き機構を組み込んだムーブメント Cal.32111はパワーリザーブは120時間(5日間)もある。またインヂュニアの伝統を受け継ぎ、軟鉄製インナーケースが組み込まれており、4万A/mまでの耐磁性能を備えている。インナーケースありにも関わらず10.7mmと厚みが抑えられているのも推したいポイントだ。カテゴリー的にはスポーツウォッチに属するが、ダイバーズウォッチほどカジュアルでもないので比較的どんな格好でも合う。夏はもちろん活躍するだろうが、1年を通して頼れる相棒になってくれることだろう。

価格: 221万6500円(税込) その他の詳細は、IWC公式サイト


ロンジン ロンジン レジェンドダイバー 39mm
By Yu Sekiguchi

最近、時計好きの方の好みがどんどんシンプルなもの、ドレス寄りのものに偏ってきているような雰囲気を感じている。僕もまたその一人だけれど、ヴィンテージウォッチはもとより現行品であってもこの日差しのなかでそのような時計をつける気にはなかなかなれない。改めて、夏につける時計としていまの気分に合うものを考えてみたところ、条件としては以下を設定するに至った。

  1. 防水性が10気圧以上であること
  2. コマのデザインに特徴のあるエレガントなブレスレット
  3. ケース径が40mm以下

 さらに、少しでも炎天下での不快感を軽減させるためにケース素材にチタンやカーボンを用いたもの、という項目も加えようと考えたが、あまりに選択肢をせばめるので、やめた。さて、それで最もおすすめしたいモデルはロンジンが昨年リリースしたロンジン レジェンドダイバー 39mmなのだが、これは伝説的なダイバーズを本当にうまくモダナイズした時計だと思う。

 レジェンドダイバーを語る際、真っ先にあがる特徴が「コンプレッサーケース」で、元々はエルヴィン・ピケレが1955年に特許を取得した防水ケースに端を発するものだ。現在も同じケースを採用しているのだろうとつい誤解してしまうのだが、コンプレッサーケースとは水深に伴ってケースにかかる水圧によって裏蓋が圧迫され、Oリングへの圧力を高めて防水性を担保する仕組みを持ったもので、現在のロンジンはこれを採用していない。外観上はふたつのリューズが目立つので、これをもってコンプレッサーケース、と思いがちだがそうではなく過去の事実に紐づくものなのだ。

 さて本作で最も喜ばしいアップデートはデイト表示がなくなったことだろう…などと言うつもりはない。僕はデザイン的にまとまりがあるかどうかを大事にしているので、デイトがあっても全体の邪魔をしていなければ気にならない。ただし本作はそれ以上に、シンメトリカルデザインが強調されたことが魅力であり、その意味でデイトをなくしたことは素晴らしい判断だったと言えるだろう。42mmからのサイズダウンに伴って、文字盤上の数字のフォントも単に小さくしただけではなく微妙にシェイプを変えている点には正直心を打たれた。筆記体の“Automatic”は参照元となったRef.7042のフォントをそのまま用いている。

ロンジン レジェンドダイバー 39mmの着用イメージ

 このようにデザイン面のアップデートはおすすめできる最大のポイントなのだが、あまりスポーティ過ぎずエレガントなパッケージに仕立てたことこそ、実はあなたに耳打ちしたい。20〜16mmまではっきりとテーパードするライスブレスレットはかなりヴィンテージ感を加えているものの、マットなラッカー仕上げの文字盤が放つモダンさとのコントラストには新しさを感じる。ダイバーズウォッチの規定でもある回転ベゼルは、どちらかというとマイノリティであるインナータイプを堅持し、これみよがしなツール感を抑えてあくまで品よく大人らしいスタイルに寄与してくれる。

 そうそう、人におすすめするのだからスペック面ももちろん重要なので、その点も抜かりない1本だ。300m防水のISO 6425準拠、かつCOSC認証を得た自動巻きムーブメントまで備えている(しかも約72時間パワーリザーブ!)。こうした点はあなたの背中を押してくれる材料になるだろう。何にしても、この見た目とライスブレスの着用感にこそ響く人が多いと僕は思うけれど。

価格: 51万400円(税込) その他の詳細は、ロンジン公式サイト