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クイック解説
ロジェ・デュブイから世界的なタトゥーアーティスト、Dr.Wooとのコラボレーションモデルとなるエクスカリバー モノトゥールビヨン Dr.Woo エピソード IIIが登場した。
ロジェ・デュブイでは、ハイパー オロロジー™というイデオロギーを掲げて以降、単なる高級時計製造(オートオルロジュリー)という枠を超え、伝統的な時計製造技術と現代的な素材、大胆なデザインやコンセプトを融合させたアヴァンギャルドなタイムピースをリリースしている。本作は、まさにそんな同ブランドらしい新作だ。ロジェ・デュブイは、唯一無二のシングルニードルタトゥー(編注;その名のとおり、1本の針で彫るタトゥースタイル)で知られるアーティスト、Dr.Wooと手を組み、天空の旅・宇宙の旅をテーマとした独創的な世界観を時計を通して表現。Dr.Wooとのコラボレーションは2021年に発表されたエクスカリバー Dr.Woo モノトゥールビヨンから始まり、2023年にはエクスカリバー Dr.Woo モノバランシエが登場し、今作で第3作目となる。
新作のデザインは2023年8月にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって存在が確認された、地球から3100万光年先にある渦巻銀河がインスピレーションソースとなった。さらにサファイアクリスタルのダイヤルとケースバックには、Dr.Wooの象徴である宇宙船やスパイダー、神秘的な記号言語が緻密にメタライズ加工(非金属の表面を金属化する技術)やレーザーエングレービングで刻まれ、メッセージ性に富んだデザインが随所に宿る。
Dr.Wooとのコラボレーションモデルではこれまで宇宙を旅する宇宙船は象徴的に用いられてきたが、新作においても登場。本作ではサファイアクリスタルに描かれた。クリスタル上の3Dガルバニック加工により描かれた宇宙船は、その星形の軌跡とともにピンクゴールドのメタライズ加工が施され、さらにその軌跡には“WE COME IN PEACE(私たちは平和のために来た)”というメッセージもあしらわれている。
10時位置にはDr.Wooを象徴するスパイダーがレーザーエングレービングでさりげなく彫られており、ブラックインクを充填して表現された。さらにサファイアクリスタルの9時位置には、メタライズ加工を施したピンクゴールドの星雲を配置し、10時と11時のあいだには“ブラックホール”へと続く入口を表す渦巻状のパーツをレイアウト。ステンレススティールにピンクゴールド加工を施したこの部品は、レーザーエングレービングで繊細なパターンが施される。そして時計を裏返してケースバックに現れるのが “ブラックホール”だ。シースルバックに用いられるサファイアクリスタルの一部(ちょうどダイヤルの10時と11時にあたる部分)がぽっかり穴が空いたようになっており、そこに吸い込まれるようにサファイアクリスタル上では一部にメタライズ加工を施した渦巻き形のチェッカーボードパターンがデザインされている。
ケースバックの外周部分には、「Let’s work together to uncover the mysteries of the cosmos and unlock the secrets of the universe. To whoever finds this message, know that we are seekers of knowledge and explorers of the unknown.(宇宙の神秘を解き明かし、世界の秘密に光を当てるため共に歩みましょう。このメッセージを見つけた方へ、私たちは知識の探求者であり未知の探検者です。)」という文章が緻密に表現されている。宇宙の果てに存在するかもしれない、未知の生命体に向けたメッセージだ。
ケースは18Kピンクゴールドとチタンを組み合わせた42mm径。ムーブメントは約72時間のパワーリザーブを誇り、ジュネーブ・シールを取得した自社製Cal.RD515を採用。7時位置に配されたフライングトゥールビヨンは、軽量なチタンケージとミニマルな3本アーム構造を特徴とする。また香箱を覆うカバーには惑星モチーフの転写が施され、ムーブメントの動きとともに銀河の視点が変化する仕掛けが盛り込まれた。
ブティック限定28本という希少性と、先端技術と芸術性が絶妙に交差する深遠な世界観を併せ持つ本作は、ロジェ・デュブイの持つオートオルロジュリーとDr.Wooの独創性が結実した、まさに“ハイパー オロロジー™(前衛的で革新的な高級時計づくり)”を体現したタイムピースといえよう。価格は2667万5000円(税込)となっている。
ファースト・インプレッション
Photo by Kyosuke Sato
エクスカリバー モノトゥールビヨン Dr. Woo エピソード IIIと名付けられた本作は、第3作目にふさわしい進化を感じさせる出来栄えだ。第1作目も今作と同様、エクスカリバー モノトゥールビヨンがベースとなっていたが、第1作ではDr. Wooとのコラボレーションデザインはサファイアクリスタルのダイヤルに描かれたメタライズ加工によるモチーフとソリッドバックのケースバックにレーザーエングレーブされたモチーフに留まっていた。
第2作のエクスカリバー Dr.Woo モノバランシエでは、時・分表示のみのスケルトンウォッチをベースに、ダイヤルとシースルバックに用いたサファイアクリスタルへのメタライズ加工によるモチーフに加えて、ベゼルやフランジ、そしてカーフレザーストラップにもDr.Wooを象徴する幾何学的な言語があしらわれるようにデザイン領域が拡大した。
そして第3作目では、独創的なデザインが香箱カバーやトゥールビヨンキャリッジにも取り入れられ、そして今作が初となるブレスレットのセンターリンクにレーザーエングレービングが施されるなど、さらに表現の場が拡大された。特に注目すべきは10時と11時のあいだに設けられた“ブラックホール”へと続く入口を表す渦巻状のパーツの存在だろう。これによりDr.Wooの独創的な世界観が、時計のなかでまさに立体的に表現されるようになった。
第1作目のエクスカリバー Dr.Woo モノトゥールビヨン。
第2作目のエクスカリバー Dr.Woo モノバランシエ。
既存のアートピースでは、彫金やエナメル、ギヨシェ装飾、あるいはジェムセッティングなどを通じて、時刻を表示する時計の機能的な側面とは別の世界を表現するのが一般的だ。だがアートピースの本懐とは、独自の世界観やストーリー、芸術性を時計を通してユーザーに見せるところにこそある。そういった意味では間違いなく本作は、ロジェ・デュブイ流のアートピースと言っていいだろう。
こうしたアートピースの世界において、価格の話をするのは愚の骨頂かもしれないが、ジュエリーがぎっしりあしらわれたハイジュエリーモデルや、繊細なエナメル装飾が施されたメティエダールモデルなど、手仕事を通じた表現というのは多くの時計好きにとってなじみ深いもので、価格の裏付けとしてもわかりやすい。そうした既存のアートピースと比べると、このロジェ・デュブイとDr.Wooとのコラボレーションモデルにおける表現技法や世界観は、いわゆる伝統的な手仕事とは結び付かないこともあって、少々わかりにくいと感じている人は少なくないかもしれない。
だが、このコラボレーションは3作も続いているのだ。この事実は、それだけロジェ・デュブイとDr.Wooが作り出す独創的な世界観に魅力されるファンがいることの証明だろう。世の中には彼らが表現する独創的な世界に値段に糸目をつけない熱心なファンがいるのだ。そうしたファンを魅了するアートピースの世界の奥深さに筆者は驚きを禁じ得ない。それと同時に、回を重ねるごとに表現の領域を拡大し続けるDr.Wooとのコラボレーションモデルが、今後どこまで表現を拡大していくのか、非常に楽しみでもある。
Photo by Kyosuke Sato
基本情報
ブランド: ロジェ・デュブイ(Roger Dubuis)
モデル名: エクスカリバー モノトゥールビヨン Dr.Woo エピソードIII(Excalibur Monotourbillon Dr.Woo Episode III)
型番:DBEX1125
直径: 42mm
厚さ: 12.7mm
ケース素材: 18Kピンクゴールド×チタン
文字盤色: ピンクゴールドメタライゼーションを施したクリスタル
インデックス: 中央にスーパールミノバが入ったピンクゴールドプレート製のアワーマーカー(ポリッシュ仕上げ)
夜光: ホワイトゴールド製の時・分針、アワーマーカーにスーパールミノバ
防水性能: 10気圧(100m)
ストラップ/ブレスレット:18KPG×チタン製ブレスレット、一体型チタンバックル(クイックリリースシステムと交換可能)
ムーブメント情報
キャリバー: RD515
機能: 時・分表示、7時位置にフライングトゥールビヨン
直径: 16mm
厚さ: 6.9mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 19
追加情報:ジュネーブ・シール取得
価格&発売時期
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