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我々が知っていること
ロンドンを拠点とする独立系ブランド、あえて言うならマイクロブランドのアノマが、ひと味違うA1シリーズの第3弾を発表した。2024年に登場した初期のブルーダイヤルモデルや、今年3月に公開されたスレートを覚えている読者もいるだろう。どちらも光の当たり方によって形を変えるかのような、鋭角的かつ有機的な不思議さを併せ持つケースデザインが特徴である。そして今回登場したのがA1 オプティカルだ。新改良されたダイヤルは、視覚的な錯覚をさらに強調している。
今回はこれまでの2作に見られた構造的なダイヤルから一転、より強烈な印象を放つ仕上がりとなっている。ダイヤル全体には、わずかにずれた50個の三角形が彫り込まれており、それぞれがダイヤモンドドラッグ彫刻によってひとつひとつていねいに刻まれている。その結果、アノマをほかと一線を画す存在にしている独自の魅力、見る者を魅了する視覚効果が生まれた。これはつまり時計の世界だけでなく、その枠を超えたインスピレーションを洗練された形で取り込む能力である。創業者であるマッテオ・ヴィオレ=ヴィアネロ(Matteo Violet-Vianello)氏は、オプ・アートの分野で知られるブリジット・ライリー(Bridget Riley)氏やフェルッチョ・ガルド(Ferruccio Gard)氏から影響を受けたと語っている。
この種のダイヤルは、通常であればプレス加工やレーザーエッチング、あるいはプリントで仕上げられることが多い。しかしA1 オプティカルに施された線はすべて、金属ベースにひとつずつ彫り込まれたあとでサンドブラスト処理を施し、手作業でポリッシュすることで輝きを与えている。このひと手間により、腕の動きにあわせて光を捉え、歪ませる独特の表情が生まれるのだ。なおダイヤルのカラーバリエーションは、シルバーとカッパーの2色が用意されている。
これまでのA1シリーズと同様、オプティカルにも三角形のステンレススティール製ケースが採用されている。そのフォルムは未来的でありながらもどこか自然な印象を漂わせており、まるで自然の力で滑らかに磨かれたかのような質感である。ケースサイズは幅38mm、高さ39mmで、ラグを廃した設計により、装着感は37mmほどに収まる。また厚さ9.45mmのケースは、わずかにカーブを描いたケースバックによって手首に快適に沿うように設計されている。
内部には、これまでのモデルと同様に信頼性の高いスイス製自動巻きムーブメント、セリタSW100を搭載。時計には細かなシボ感のあるグレーのイタリアンレザーストラップが組み合わされている。
今回の発売を記念して、アノマはオプティカルアーティストのアダム・フューラー(Adam Fuhrer)氏とコラボレーションし、ダイヤルパターンに着想を得た新たなアート作品を制作した。A1 オプティカルの最初の300本(シルバーとカッパーそれぞれ150本)にはシリアルナンバーが刻まれており、ナンバー付きのアートが同梱される。これらの作品はペンプロット方式で描かれており、1点ずつわずかに異なるユニークな仕上がりとなっている。
価格は2200ポンド(日本円で約44万円)に設定され、注文受付は2025年8月7日14時(グリニッジ標準時)にスタート。納品は今年の10月を予定しており、初回300本(ナンバリング付き)の生産のあとには、シリアルナンバーなしも順次展開される予定だ。
我々の考え
アノマは現代の時計市場において、これまで存在しなかった独自のポジションを築き上げた。その意味でも、このオプティカルのダイヤルはA1シリーズにふさわしい第3作目であると言える。スレートは初代A1と比べると基本的にダイヤルカラーの変更にとどまっていたが、今回は同じモデルとケースデザインを踏襲しつつも、まったく新しいダイヤルを導入した点を高く評価したい。A1オプティカルはアノマのこれまでの展開を洗練されたかたちで発展させた1本であり、この若手ブランドが今後もアートや建築からの影響を積極的に取り入れていくことを強く示している。
オプティカルは商業的にリスクの高い製品であるが、この姿勢も称賛に値する。オリジナルのA1は2024年に登場すると同時に話題を呼び、私のInstagramのフィードでも頻繁に目にするようになった。だが、今回のように光学芸術に着想を得た同心三角の彫刻ダイヤルは、よりニッチで難易度が高く、アピールできる市場は限られてくるだろう。それでもアノマはこうした領域をうまく切り開いており、今回のリリースはその独自性をさらに深めた。この、よりクリエイティブなダイヤルが市場にどう受け入れられるのか、非常に興味深いところである。
視覚的な複雑さを備えながらも、仕上げには洗練さが感じられる。実機に触れる機会はまだないが、A1 スレートのダイヤルは仕上げが実に美しかったのを覚えているので、今回も同様の完成度が期待できる。三角形のパターンは、装飾過多に見えかねなかったが、写真を見る限りでは、魅力的でありながら過剰にならない絶妙なバランスを保っているように思えた。自分でも信じがたいが、むしろ節度さえ感じられる。
最後に、このリリースの知らせを受けたときの第一印象は、スレートを初めて見たときとまったく同じだった。“すごくクールだけど、アノマのふたつ目のケースデザイン”の知らせはいつ来るんだ?”と。とはいえ、このブランドはまだ誕生からわずか1年あまりしか経っていないことを自分に言い聞かせなければならない。新しいケースデザインを生み出すにはそれ相応の時間が必要であり、アノマには惜しみなく与えるつもりである。おそらく私が次なるものをこれほどまでに待ち望んでいるのは、それだけA1の完成度が高かったからだ。この価格帯で、ゼロから設計された独自のデザインに出合える機会は極めてまれであり、アノマがこれからどこへ向かうのか、今から楽しみでならない。とはいえ、この新作A1 オプティカルへの期待がそれによって少しでも損なわれることは決してない。
基本情報
ブランド: アノマ ウォッチ(Anoma Watches)
モデル名: A1 オプティカル(A1 Optical)
直径: 39×38mm
厚さ: 9.45mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: 彫刻仕上げのシルバーまたはカッパー
インデックス: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: 18mm幅、グレーのシボ入りイタリアンレザーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW100
直径: 17.2mm
厚さ: 4.8mm
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 28
※すべての時計に2年間の保証が付属
価格&販売時期
価格: 2200ポンド(日本円で約44万円)
販売: 2025年8月7日14時(グリニッジ標準時)より販売開始、納品は2025年10月を予定、ナンバリング付きの初回300本が出荷され、ナンバリングなしモデルはその後順次展開予定
限定: 生産数自体に制限はなし、最初の300本(シルバー150本、カッパー150本)には個別のシリアルナンバーが付与
詳細および予約については、アノマ ウォッチの公式サイトをご覧ください
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