ADVERTISEMENT
我々が知っていること
9月はA.ランゲ&ゾーネのファンにとって幸先のよいスタートとなった。今回、同ブランドは新作リミテッドエディションを2本発表し、そのなかには秒に取り憑かれたようなリヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドの第4弾も含まれている。この新しいバリエーションは、モデルを特別な存在たらしめる技術的な実力を維持しながら、ホワイトゴールド(WG)ケースとサーモンとは呼ばないピンクゴールド(PG)ダイヤルという新しい組み合わせを採用している。
リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドのデッドビートセコンドに歩調を合わせていない人のために、ここでリンク付きの簡単な沿革を紹介しておこう。オリジナルのRef.252.025は2016年にプラチナケースとシルバーダイヤルで登場し、限定100本であった(Hands-on記事はこちら)。続く2017年にはシルバーダイヤルを備えたPG製のRef.252.032が、同じく限定100本で発売。さらに第3弾として2019年には、WGケースとブラックダイヤルを組み合わせたRef.252.029が登場し、こちらは非限定モデルであった。
今回の最新作、Ref.252.056は2016年の初代モデルやその後継モデルと基本仕様は変わらない。直径39.9mmのケース(今回は750WG製)は厚さわずか10.6mmで、防水性能は30m。ブラウンのアリゲーターストラップにWG製バックルを組み合わせている。
ここではまさに“壊れていないなら直すな”という状況だといえる。というのも、リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドは、A.ランゲ&ゾーネというブランドにあってもなお技術的驚異と呼べる存在だからだ。温かみのあるピンクゴールドダイヤルの下には手巻きのCal.L094.1が収められており、ルモントワールスプリングを備えたコンスタントフォース脱進機によってデッドビートセコンドを実現している(つまり秒針はスイープせず、1秒ごとにカチッと刻む)。複雑機構を単純化して説明するなら、このスプリング式ルモントワール(ランゲ自社製)はコンスタントフォース脱進機の一部であり、主ゼンマイから脱進機へ一定量のエネルギーを供給することで、大きく主張する秒針を正確に進めているのである。
それだけではない。リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンドには“ゼロリセット”と呼ばれる奥の手がある。これは時刻を合わせる際に秒針を強制的に60秒位置へリセットする機構で、リファレンスタイム(たとえばHODINKEEアプリのクロック機能)に時計を合わせる作業をより容易にしてくれる。機能面を締めくくる要素として、分表示と時表示が重なる部分に小さな三角形の開口部があり、これは手巻きの42時間パワーリザーブの残量が少なくなったことを知らせるインジケーターとなっている。
A.ランゲ&ゾーネ リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド Ref.252.056は限定100本で、価格は関税をめぐる不安定な状況を反映してか、約11万ユーロ(日本円で約1910万円。日本での正規価格は要問い合わせ)前後と発表されている。
我々の考え
私は2019年の最後のSIHHで、ランゲがブラックダイヤルを備えたWG製の252.029を発表したときにそこに居合わせたのを覚えている。これらはまさに特別な時計であり、古典的な魅力と先進的なウォッチメイキング技術を見事に融合させている。時・分・秒の表示が重なるこのデザインは、クロノメーターへのラブレターのように感じられる。そして秒針のシャープなリセットを体験する前からそう思わせるのだ。実際、このダイヤルデザインは18世紀にドレスデンの時計師ヨハン・ハインリッヒ・ザイフェルト(Johann Heinrich Seyffert)が製作したクロノメーターNo.93に由来し、視認性を重視している。
2019年以降、このフォーマットはほとんど変更されていないが、価格は上昇している(これは基本的にすべての時計に当てはまる。もっとも今回のリファレンスはリミテッドエディションであるが、以前のものはそうではなかった)。そして今回は、ソリッドで温かみのあるPG製ダイヤルを備えた姿を見ることができる(同社のダイヤルとしては4作目となる)。ブラックダイヤルのクールでほとんど無機質ともいえる感覚も好みだが、ランゲがつくるPG(いわゆるサーモンに近い色合い)には本当に魅力的な何かがある。
新しい1815 トゥールビヨンと並んで、A.ランゲ&ゾーネはジュネーブの祭典をただ見送るのではなく、ザクセンの本拠地でもちょっとした祝祭を演出しようとしたようだ。
基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)
モデル名: リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド ホワイトゴールド(Richard Lange Jumping Seconds)
型番: 252.056
直径: 39.9mm
厚さ: 10.6mm
ケース素材: ホワイトゴールド750
文字盤色: ソリッド750ピンクゴールド
インデックス: プリントスケール
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ダークブラウンのアリゲーター製ストラップ、WG製バックル付き
ムーブメント情報
キャリバー: L094.1
機能: 時・分・秒の独立表示、ゼロリセット機能付きジャンピングセコンド、パワーリザーブインジケーター
直径: 33.6mm
厚さ: 6.0mm
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 50
追加情報: 手作業での組み立て&仕上げ、ジャーマンシルバー製の地板とブリッジ、手彫りによるテンプ受け
価格&発売時期
価格: 11万ユーロ前後(日本円で約1910万円。日本での正規価格は要問い合わせ)
限定: あり、100本限定
詳しくはこちらをご覧ください。
話題の記事
No Pause. Just Progress GMW-BZ5000で行われた継承と進化
Introducing ゼニス デファイ エクストリーム クロマに新たなふたつの限定モデルが登場
Introducing ヴァシュロン・コンスタンタンが36.5mmの新型トラディショナル・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーを3本発表