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Introducing ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター フュチュール・アンテリウール

ヴィアネイ・ハルター氏とのコラボレーションは、もう出尽くしたと思っていた。ところがルイ・エラールが、アンティコアに着想を得た限定モデルを発表した。ふたつのムーブメントを搭載し、手ごろな価格も魅力だ。これは注目せずにはいられない。

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我々が知っていること

スチームパンクやインダストリアルなデザインに着想を得た時計は、今、特定のコレクター層のあいだで確実に注目を集めている。その勢いを知るには、日本の大塚ローテックの時計が近年大きく評価を高め、最近の二次流通市場での販売価格も上昇していることを見ればよい。だが、スチームパンク的なレトロフューチャーの時計製作において、ヴィアネイ・ハルター(Vianney Halter)氏が先駆者であり元祖であることに疑いの余地はない。

 ハルター氏が手がけたオリジナルのアンティコアは、アメリカ人グラフィックデザイナーのジェフ・バーンズ(Jeff Barnes)氏とともに構想し、1998年に発表された永久カレンダーである。現代の独立系時計製作の歴史において、きわめて重要な作品だ。SF映画やテレビ、文学から影響を受け、なかでもフランスの作家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)から強い着想を得たハルター氏は、フュチュール・アンテリウール(Futur Antérieur)と呼ばれる時計コレクションのなかで、独自のデザインコードを確立した。このフランス語の時制は未来完了形を指し、未来のある時点から振り返ったときに、すでに起きていることを表す、過去の美学や工業デザインを取り入れながら未来を見据える姿勢を表している。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

 フランス生まれのハルター氏は、今もスイスのアトリエを拠点に、自身の名を冠した並外れた時計を作り続けている。一方、近年は数多くのブランドや同業の時計師とのコラボレーションにも、とりわけ積極的に取り組んできた。マッセナ・ラボやベーレンス(Behrens)、カナダの独立系宝飾商で宝石鑑定士のアレクサンドル・ボーレガード(Alexandre Beauregard)との協業に加え、9月にはジュネーブ・ウォッチ・デイズで注目を集めたブルガリ オクト フィニッシモ  ヴィアネイ・ハルター 限定モデルも発表。ハルター氏は、自身の技術とひと目でそれとわかるデザイン言語を生かし、数々の成功を収めたコラボレーションを実現してきたのだ。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

オリジナルのアンティコア・パーペチュアルカレンダー。

 2020年以来、ハルター氏はルイ・エラールとたびたび協業してきた。ルイ・エラールは1928年創業のスイスの独立系ブランドで、アラン・シルベスタイン(Alain Silberstein)氏やコンスタンティン・チャイキン(Konstantin Chaykin)氏とのコラボレーションでも知られる。そしてこの度、両者が新たな取り組みを発表した。アンティコアの時代を色濃く感じさせる限定シリーズでありながら、ルイ・エラールのデザイン力と生産技術を生かし、手の届きやすい価格を実現した時計だ。新作、ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター フュチュール・アンテリウールは間違いなく大きな注目を集め、伝説的な時計師とその作品群について人々の話題を呼ぶだろう。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

 ひと目でアンティコアらしさがわかるのは、異なるサイズのポートホール型ダイヤルをふたつ配した、厚みのある円形のステンレススティールケースだ。ハルター氏のシグネチャーであるイエローゴールド仕上げのリベットが、それぞれの立体的なダイヤルベゼルとリューズに打ち込まれている。左上の小さなダイヤルは秒を表示し、右下の大きなダイヤルは時・分を示す。どちらのダイヤルも粒状のテクスチャーを施したベースプレートに、数字、インデックス、ミニッツトラックを囲むヘアライン仕上げのリングを組み合わせ、面取り部分にはポリッシュ仕上げを施している。

 ルイ・エラールによれば、両側にねじ込み式ではないリューズを備え、防水性能は50mである。ケースは幅38mm、高さ44mm、厚さ8.85mmと装着しやすいサイズに収まっている。側面はヘアライン仕上げ、エッジはポリッシュ仕上げだ。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

 フュチュール・アンテリウールが薄型を実現できたのは、クローズドケースバックの内側にセリタ製の自動巻きムーブメントをふたつ収めたためだ。それぞれのSW100は独立して2万8800振動/時(4Hz)で駆動し、ケースの両側にはそれぞれのムーブメントに対応するリューズが設けられている。パワーリザーブはいずれも約38時間。一方のムーブメントがブルースティール製の秒針を動かし、もう一方が同じくブルー仕上げの時分針を駆動する。ダイヤルの分目盛りとアラビア数字は、オリジナルのアンティコアを強く思わせる。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

 それぞれのダイヤルはサファイアクリスタルで覆われ、コラボレーターの名が立体的なアーチ状に刻まれている。右上にはルイ・エラール、左下にはヴィアネイ・ハルター氏の名が配される。造形的なケースには、上下に回転して手首へのフィット感を調整できる、ハルター氏らしい可動式ラグを採用。可動式ラグに取り付けるストラップの幅は20mmで、どちらのモデルにもダチョウ革のストラップとSS製ピンバックルが付属する。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

Image courtesy Louis Erard

 このコラボレーションモデルには、“シルバー”バージョンに加え、“ゴールド”バージョンも用意。ゴールドモデルはゴールドカラーのダイヤルにブラックのダチョウ革ストラップを組み合わせ、シルバーダイヤルのモデルにはブルーのダチョウ革ストラップが付属する。

 いずれも各178本の限定生産で、価格は各137万5000 円(税込)だ。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

Image courtesy Louis Erard

 なおフュチュール・アンテリウールのゴールドとシルバーを両方収めた限定ボックスセットも用意される。78セット限定の“デュオセット”には木製のディスプレイボックスが付属し、価格は275万円(税込)だ。

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我々の考え

ありきたりなコラボレーションが多い時計界にあって、フュチュール・アンテリウールはひときわ目を引く存在である。ハルター氏を一躍有名にした初期デザインに驚くほど忠実な時計を生み出したのだ。アンティコアは、ハルター氏独自の時計製作とデザインの表現を切り開いた、ハイウォッチメイキングのパーペチュアルカレンダーだった。一方、このルイ・エラール版は時刻表示に機能を絞ったシンプルな3針時計でありながら、オリジナルが掲げたレトロフューチャーのメッセージを受け継いでいる。シグネチャーであるイエローゴールド仕上げのリベットや、サイズの異なるポートホール型ダイヤルを、無駄をそぎ落としたインダストリアルな仕上げとともに見せる手法は、まさにハルター氏ならではだ。一方で、腕に着けるとしっかりとした作りが感じられ、繊細すぎる印象はない。ケースの製作に67個もの部品を用いながらスリムでコンパクトなプロファイルにもかかわらず、自信に満ちた存在感がある。可動式ラグも頑丈そうだ。

The Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur

 何年も前に初めてハルター氏の時計を知ったとき、その独自性と芸術性を理解するのに時間がかかったことは認めざるを得ない。だが、ハルター氏の後進たち、とりわけ大塚ローテックの魅力的な時計に触れたことに加え、ヴィアネイ・ハルター氏とともに手がけたあの驚くべきブルガリ オクト フィニッシモを最近実際に見る機会があり、すっかり魅了されてしまった。

 ハルター氏の世界に触れてみたいなら、着け心地がよく、実に愛らしいフュチュール・アンテリウールは、150万円以下で手に入る魅力的な選択肢だ。


基本情報

ブランド: ルイ・エラール(Louis Erard)
モデル名: ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター フュチュール・アンテリウール ゴールド(Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur Gold)/ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター フュチュール・アンテリウール シルバー(Louis Erard x Vianney Halter Futur Antérieur Silver)
型番: 22243AA01.BOA02(ゴールド)/22243AA07.BOA05(シルバー)

直径: 38mm×44mm
厚さ: 8.85mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: シルバー/ゴールド
夜光: なし
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: ブラックのダチョウ革(ゴールド)/ブルーのダチョウ革(シルバー)


ムーブメント情報

キャリバー: ともにセリタ SW100
機能: 時・分表示、スモールセコンド
直径: 17.2mm
厚さ: 4.8mm
パワーリザーブ: 約38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: ともに25
クロノメーター: なし
追加情報: 自動巻きムーブメントをふたつ搭載


価格 & 発売時期

価格: 各137万5000円、ゴールドとシルバーのボックスセットは275万円(ともに税込)
限定: あり、世界限定178本/ボックスセット78組

詳しくはこちらをご覧ください。

Photos by Andy Hoffman