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Hands-On ロレックス サブマリーナー デイト デスク クロック Ref.909010LNを実機レビュー

これこそ真のサブ(デスクのための)だ。そしてその中身を知れば、あなたはきっと驚くだろう。

Photos by James Stacey

ジェームズ・ステイシーと私は、親会社であるWatches of Switzerland(ウォッチズ・オブ・スイス)とのイベントを共同で主催するためロンドンへ行った。我々のどちらも大西洋を渡るのは数年ぶりだったため、イギリスチームは(WoSが所有する)新しい巨大なボンド・ストリートにあるブティックを案内してくれると申し出てくれ、我々は喜んで応じた。そして今ジェームズと私の両方を代表して言うと、そこで我々はカタログ外のクレイジーな宝石をセットしたピースや、ロレックス認定中古時計のヴィンテージピース(やあ、COMEX サブマリーナー)に驚かされることを期待していた。しかし最初にブティックに入ったとき、受付のガラスケースのひとつに我々のどちらも目を離すことができない、完全に奇妙なものが置かれていたのだ。それはサブマリーナーのデザインをした光輝くデスク クロックだった。

Rolex Submariner Desk Clock On Table

 一体これはなんなのだ?

 あとでわかったことだが、数ヵ月前にロレックスは静かに新しいロレックス サブマリーナー デイト デスク クロック Ref.909010LNをリリースしていた。ロンドンで過ごした週末や帰国後も、実機でこれを見たことにまだ興奮が冷めやらない。カフリンクスや小さなアクセサリーが販売されているこのロレックスの時代でさえ、デスク クロックはまったく新しい。見慣れたデザインの外観に、明らかに薄く時刻表示のみのクォーツムーブメントを搭載しただけのモダンなデスク クロックや壁掛け時計を超えるものをつくっているブランドは、ほんのわずかしか存在しない。

 サブマリーナー デイト デスク クロックは、ロレックスの典型的な904Lステンレススティール(SS)ではなく、業界で使用されるより一般的な316LSSにセットされた半球形のケースに収められている。それは小さな円形の台座に、何の制約も受けずに設置されており、カーブした“裏蓋”はオーナーが好きな角度にクロックを配置できるように意図されている。リューズもねじ込み式の裏蓋もなく、外装ケースが2部構造となっていることを示すのは面取りされた継ぎ目だけだ。

TanTan Looking at clock

このクロックに興奮している我々に向けられた視線の数といったら...

 クロックの前面は世界で最も認知度の高いデザインのひとつだが、今回は80mmと誇張された直径だ(ラグ・トゥ・ラグは適用外)。現代のすべてのサブマリーナーと同様に、光沢のあるブラックラッカーダイヤルをアプライドインデックスが囲んでいる。インデックスはクロックのフォーマットのためにかなり拡大されているが、依然としてロレックス独自の夜光素材であるクロマライトを充填している。ロゴ、Swiss Madeのテキスト、そしてミニットトラックはすべてホワイトでダイヤルにプリントされているが、注目すべきことに時計に通常見られるいくつかのテキストは欠落している。“Oyster Perpetual Date”の文字列、1000ft/300mの深度定格、そして“Superlative Chronometer Officially Certified”だ。このクロックでは、これらのどれも該当しないからだ。

 いくつかのほかのディテールは時計に忠実だ。見返しにはあの独特でモダンな、そして繰り返し用いられる“ROLEX”モチーフが刻印されており、シリアルナンバーがそのパターンのなかの6時位置に刻まれている。それを囲むのは、私が今まで見たなかで最も大きなセラミックベゼルだ。ブラックのロレックス独自素材であるセラクロム製で、すべての標準ベゼルマーキングと12時位置の夜光ドットを備えている。奇妙なことにベゼルは固定されており、純粋にサブマリーナーの美学をサポートしているにすぎない。象徴的なメルセデス針は残っており、秒針は通常のクォーツムーブメントよりも速く動くがその動きはぎこちなく、機械式ムーブメントを搭載していないことが明らかだ。最後になるが、決して軽視できないのがデイトウィンドウとそのサイクロップレンズだ。私は最初にこれを見たとき少し混乱した。なぜノーデイトのサブマリーナーをクロックデザインに使用しなかったのか? なぜクロック上で手動で修正しなければならない要素を導入したのか? そして、リューズはどこにあるのか?

Rolex Submariner Desk Clock Slanted Shot
Rolex Submariner Desk Clock Inside the Case
Rolex Submariner Desk Clock Side shot

 この時計を実際に開けるには、あの丸い台座から時計の前面を優しくひねり、ひねりが限界に達したと感じたら台座から外側へ引き出す。3つのスプリング式ボールベアリングが削り出された3つの溝をガイドすることで、ふたつのパーツを分離する際に感じる抵抗感は驚くほど滑らかだった。これはきわめてロレックスらしく、満足のいく体験だったと思う。写真で見るとわかるが、ベアリングは最終的なへこみが削り出されるまで溝を進み、クロックを台座に“ロック”し、それ以上の回転を防ぐ。断言できるが、これは今まで私が手に取ったモダンなデスク クロックのなかで間違いなく最も密度が高く重厚なものだ。

 しかしついにクロックをこじ開けてムーブメントを見たとき、デイトウィンドウの意味がようやくわかった。本作の内部には、新しいロレックスのアナログ・デジタルクォーツであるCal.8335が収められている。これは幅広くストライプが施され、面取りされた“ケースバック”に誇らしげに刻印されているように、セキュラーカレンダー(永久カレンダーを超越した長期カレンダー)ムーブメントだ。そしてケースバックの左下には、特に背の高いチューブを備えるリューズが鎮座していた。私のロレックスについての人生で1度も言ったことのない体験だが、リューズを引き出すと上部のLCDが点灯する。ディスプレイに属する情報は一列のみで、現在の日付・月・年(ヨーロッパ式)だ。時刻を真夜中過ぎに設定すると、時計のダイヤルのデイトウィンドウが軽いクリック音と共に前方にジャンプするのを感じる(そして聞くことができる)。同時に、裏側のLCDが翌日を反映するように更新される。

Crown Shot

リューズを引き出すと、背面のLCD(液晶ディスプレイ)が点灯する。

Milled Channel

クロックをベースに固定するための、ボールベアリング用に削り出された溝。

Rolex Submariner Desk Clock Unboxed

 セキュラーカレンダー機構は、パーペチュアルカレンダーからのステップアップを反映している。従来のパーペチュアルカレンダーがうるう年を考慮に入れる一方で、グレゴリオ暦のために100年ごとに手動で修正が必要だ。一方、セキュラーカレンダーは2400年までの100年サイクルを考慮に入れる。これはバッテリー交換を除いて、このクロックが毎月正確な日付を前面に表示し続けることを意味し、約400年間にわたるのだ。そしてもし時刻を真夜中過ぎに逆に戻すと、デイトウィンドウは徐々に戻り前日を反映する。

 というわけで、これがサブマリーナー デイト デスク クロックだ。これを見てから数日経つが、私には依然として現実離れした感覚だ。もし初見でロレックスのブティック外でこのクロックを紹介されたとしたら、本物だと言えなかったかもしれない。しかしロンドンのブティックの最前線に鎮座していることで、それはまさに現実だったのだ。ああ、価格を言うのを忘れていた。希望小売価格150万8100円(税込)だ。そう、本作は正規のスタンダードなサブマリーナーと同じくらい高価だ。これは正気ではない。しかしボンド・ストリートにあるブティックではこのクロックに正式なウェイトリストがあると聞いた。

LCD Display and caseback

 この時計について今までにないほど疑問が湧いているが、今やこのクロックについて残された大きな疑問は、なぜサブマリーナーなのか、そして数あるもののなかでなぜセキュラーカレンダークロックを開発したのかだ。それは単に、ロレックスはロレックスだからと言って両方の好奇心を片付けるのは簡単だろうが、私は新作のこのふたつの要素がどこか矛盾していると考えている。一方では、単にサブマリーナーのデイトウィンドウを毎月の調整なしにクロック上で正確にするためだけに、アナログデジタルのセキュラークォーツムーブメントを作るのは信じられないほどロレックスらしい手法のように見える。

 しかしもう一方では、象徴的なダイバーズウォッチをデザインの基盤としながらも、それに付随する防水性や機能する逆回転防止ベゼルを持たないことは、プロフェッショナルラインから直接取り出したデザインとして純粋に機能よりも形態を優先しているとして際立つ。私はブランドがもっとエレガントなシルエットを中心にデスククロックをデザインして、もっと空間になじむようにするのだろうと思っていた。セキュラーカレンダーのデイデイトや、タイムオンリーの1908年モデルを想像できるだろうか?

 ロレックスがデスククロックにこれほど強烈なアプローチを試みたのは今回が初めてであるため、今後、さらなるバリエーションが登場する可能性が高いと確信している。私はスカイドゥエラーと、その年次カレンダーとGMTを表示するダイヤルがいつか注目を浴びるのを見ることができるようにと、ただ願っているだけだ。