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Business News 中古時計価格が3年ぶりに四半期ベースで上昇。ロレックスとパテック フィリップが牽引

【ニュース】モルガン・スタンレーとウォッチチャーツのレポートによると、中古時計の価格は全体として上昇したが、関税と小売価格の引き上げを背景に、その勢いは長く続かない可能性がある。

米国による輸入時計への関税が引き金となり、小売価格の値上げが相次いだ。その影響でパテック フィリップやロレックスの中古価格が急騰し、中古時計市場全体の価値は3年以上ぶりに四半期ベースで上昇に転じたと、モルガン・スタンレーとウォッチチャーツ(WatchCharts)が報告している。

 13四半期連続で下落していたスイス時計のセカンダリーマーケットは、今年第3四半期に前期比1.5%の価格上昇を記録し、ついにプラスへと転じたと両社のデータで明らかになった。これは関税や需要減速、原材料費の高騰といった逆風に直面してきた業界にとって、歓迎すべき兆しである。しかしデータを詳しく見ると、その内情は一様ではなく、トップブランドとそれ以外のブランドとのあいだで明確な差が生じていることが分かる。

 セカンダリーマーケットの価格は、多くの時計メーカーにとって重要な指標となっている。これは市場のセンチメント(動向)やブランドの評価、さらには特定モデルやデザインに対する購買意欲を反映するからである。ウォッチチャーツが提供するオーバーオール・マーケット・インデックス(総合市場指数)は、取引量の多いモデルの価格を基準化することで、消費者がどのように、そしてどこに大切なお金を使うかという判断を通じて、時計市場全体の強さや弱さを示すことができる。

Sources: WatchCharts, Morgan Stanley Research 

 この回復を主導したのはロレックスとパテック フィリップの堅調なパフォーマンスであり、両ブランドだけでウォッチチャーツのオーバーオール・マーケット・プライス・トラッカー(総合市場価格)における市場全体の、約3分の2を占めている。なかでも際立っていたのはパテック フィリップで、第3四半期の中古市場価格は前期比3.9%上昇し、2022年初頭以来もっとも強い伸びを記録した。ロレックスも1.3%の堅調な上昇を示しており、デイデイトやデイトジャストといったクラシックコレクションの強さが支えとなった。

 しかしデータによると、バリューリテンション(価値維持率、以下VR)の指標は異なる傾向を示している。主要モデルの小売価格が上昇したことで、中古市場での価格が示す価値の維持水準はむしろ低下しているのだ。ロレックスはいまなお、小売価格を大きく上回る水準で安定して取引されている唯一のブランドであり、そのVRは+15.7%を記録している。一方、パテック フィリップの全体的なVRは、米国での小売価格が15%引き上げられた影響でマイナス圏(-4.7%)に転じた。ただし、アクアノートやノーチラスといったスポーツモデルは依然として高いプレミアム価格を維持している。

 主要な時計グループ別に見ると、セカンダリーマーケットでのパフォーマンスはまちまちだったことがデータから分かる。

  • ロレックス グループ: ロレックス(+1.3%)とチューダー(+1.4%)の堅調な動きに支えられ、四半期ベースで+1.3%と、スイスの主要グループのなかで最も高い伸びを記録した。
  • スウォッチ グループ: オメガ(+2.0%)が主導し、全体では+0.5%と小幅な改善を見せた。ただし、ブレゲ(-3.4%)やブランパン(-4.1%)の不調が一部これを相殺している。オメガの強さにもかかわらず、グループ全体の前年同期比では依然として4.7%のマイナスとなっている。
  • リシュモン: 価格下落は続いているものの、そのペースは鈍化し、四半期ベースでは-1.7%にとどまった。カルティエ(+0.5%)は引き続き堅調で、ヴァシュロン・コンスタンタンも3年以上ぶりに+0.2%とわずかながらプラスを記録した。一方で、IWC(-3.2%)、A.ランゲ&ゾーネ(-3.3%)、ジャガー・ルクルト(-5.2%)などでは弱含みが続いている。
  • LVMH: 下落率は-1.0%とやや落ち着きを見せた。タグ・ホイヤー(+1.5%)が小幅に反発し、ゼニス(-0.4%)は安定を保ったが、ウブロ(-2.8%)は引き続き低調だった。モルガン・スタンレーによると、LVMHはセカンダリーマーケットで確固たるシェアを持つブランドが不在であることから、長期的なパフォーマンスはほかのスイス勢に遅れを取っているという。

 全体的に価格が回復傾向にある一方で、連続する小売価格の値上げにより、多くのブランドでVRは低下し続けている。データによれば、追跡対象の9ブランドのうち、パテック フィリップ、カルティエ、オメガ、チューダー、IWCの5ブランドが第3四半期に追加の値上げを実施したという。こうした傾向は、より多くの購入者を中古市場へと向かわせているが、一方で地域ごとの価格格差や需要の持続可能性に対する懸念も高まっている。

 2次市場の価格が上向きに転じたことは明るい兆しではあるものの、その持続性には依然として疑問が残る。需要の高まりは、小売価格の引き上げやスイス製品に対する米国の39%の関税によって一時的に押し上げられた可能性がある。小売価格と中古価格の動向の差が広がっていることからも、業界がこうした新たな現実に適応しようとするなかで、マーケットの変動は今後もしばらく続くとみられる。