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Editors' Picks 2025年上半期の腕時計トレンド、新作モデルと注目ヴィンテージを三越ワールドウォッチフェアからお届け

日本橋三越本店で開催されている第28回「三越ワールドウォッチフェア」の会場から、2025年上半期の時計シーンを振り返る。周年記念モデルから最新トレンドを象徴する話題作、そして会場ならではの希少なヴィンテージピースまで。

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2025年もあっという間に半分以上が過ぎ、今年の時計業界を象徴する話題作や、節目を迎えたブランドの新作が次々と登場しています。まさに今は、周年記念モデルや最新のトレンドを感じさせる作品を振り返る絶好のタイミングです。

 そんな中、1998年にスタートした日本最大級の時計フェア「三越ワールドウォッチフェア」が、今年は7月30日(水)から8月26日(火)まで開催されています。会場では、ここでしか見られない特別展示や希少なヴィンテージピースが披露され、HODINKEE Japanでも現地からライブ配信を実施しました。

 この記事では、節目を迎えたブランドの新作から、今年のトレンドを体現する話題作、そして三越ワールドウォッチフェアならではの今注目したい魅力的なヴィンテージウォッチまで、幅広くご紹介します。


アニバーサリーイヤーを迎えるブランドの注目モデル
ヴァシュロン・コンスタンタン - パトリモニー ムーンフェイズ・レトログラード・デイト

今年は、いくつものブランドが大きな節目の年を迎える一年です。その中でも、特に印象深いのがヴァシュロン・コンスタンタン。1755年の創業以来、今年でなんと270周年を迎えました。

 そんなヴァシュロン・コンスタンタンからは、今年に入ってすでにいくつかの新作が発表されていますが、とりわけWatches & Wonders 2025で注目を集めたのが、シルバートーンのダイヤルをベースに、7時位置にマルタ十字をあしらったモデルたちです。このマルタ十字の繊細なラインの重なりが、見る者の視線を自然と引き寄せます。

 また、ムーブメントにはコート・ユニークと呼ばれる特別な仕上げが施されています。独立した各ブリッジに繊細なラインが描かれており、複数のブリッジにわたって一筆書きのように流れるラインが継ぎ目なく続くことで、まるで流れるような一体感のある模様を形成しているのが特徴です。

 このコート・ユニークは、ヴァシュロン・コンスタンタンが長年大切に保管してきたヘリテージ・アーカイブの中から発見されたもので、実に約1世紀前に同社によって生み出された歴史ある装飾技法です。その高い精度と統一感を実現するためには、非常に緻密な設計と手作業による調整が求められ、本技法の完成までには500時間以上もの時間が費やされたといいます。

 270周年という節目にふさわしく、ヴァシュロン・コンスタンタンの伝統を受け継ぎながら、現代の技術で昇華させた渾身のモデルに仕上がっています。

 価格: 809万6000円(税込)

 本作についての詳細は、記事「ヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナル&パトリモニーからブランド270周年記念モデルが登場」をご覧ください。その他の詳細は、ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ。

ブレゲ - クラシック スースクリプション 2025

ブレゲにとっても、今年は大きな節目の年です。ブランド創業から数えて、ついに250周年を迎えました。これまでに4つの新作モデルが年初から登場しており、発表のたびに大きな話題を呼んでいますが、その先陣を切ったのがクラシック スースクリプション 2025です。創業者アブラアン-ルイ・ブレゲが開発した懐中時計に着想を得たモデルで、一本の針だけで時刻を示す独特の表示方式が特徴です。

 直径40mm、厚さ10.8mmのケースには、250周年を記念して同ブランドのために特別に開発された新素材ブレゲゴールドを採用。デザインもオリジナルの懐中時計に倣い、あえて象徴的なコインエッジ装飾を排し、柔らかな曲線を基調とした造形です。ダイヤルは美しいホワイトのグランフー・エナメル製で、12時位置にはクラシカルな筆記体のブレゲロゴ、6時位置にはシークレットサインが刻まれています。

 ムーブメントは、新開発の手巻きキャリバーVS00。中央に大きな香箱を配し、その左右対称に輪列を配置するレイアウトも、オリジナルの懐中時計モデルに基づくものです。表からも裏からも、ブレゲならではの美意識と伝統的なクラフツマンシップを感じ取ることができます。

 新素材をはじめ、ブランド創業250周年モデルの開発を主導しているのは、2024年10月にCEOへ就任したグレゴリー・キスリング氏です。本作についてのインタビューの中で彼は、「過去をコピーするのではなく、そこから学び、未来の発明へとつなげていく。それがブレゲの使命なのです」と語りました。その言葉どおり、これから登場する新作への期待が一層高まります。

 価格: 757万9000円(税込)

 本作についての詳細は、記事「ブレゲ クラシック スースクリプション 2025、創業250周年を記念して誕生した特別な1本(編集部撮り下ろし)」をご覧ください。その他の詳細は、ブレゲ公式サイトへ。


2025年のトレンドを感じさせるモデル
A. ランゲ&ゾーネ 1815 34mm

Watches & Wonders 2025では、A. ランゲ&ゾーネから複雑機構を搭載したミニッツリピーター・パーペチュアルや、同ブランドの特別な素材であるハニーゴールドを採用したオデュッセウスなど、数々の新作が発表されました。いずれも注目度の高いモデルでしたが、その中でも今年最大のサプライズとなったのは、これまでで最も小径サイズの34mmケースを採用した1815でした。

 ここ数年のトレンドとして、小径モデルの人気が高まっていますが、その多くは直径39mmから、小さくても36mm程度。ランゲからさらに小径のモデルが登場したことは、多くの時計ファンにとって予想外でした。

 ラウンドケースに6時位置のスモールセコンド、そしてアラビア数字インデックス——ファンなら誰もが一目で1815とわかるお馴染みのデザインです。サイズをぐっと縮小しながらも、このモデルが持つ端正なバランスとクラシカルな魅力は、見事にそのまま受け継がれています。

 ケースの厚みはわずか6.4mmと非常に薄く、同ブランドのサクソニア・フラッハ(6.2mm)に次ぐスリムさを誇ります。A.ランゲ&ゾーネの魅力は、どの価格帯のモデルであっても例外なく施される美しい仕上げにありますが、本モデルもその例に漏れません。ケースバックからは、グラスヒュッテ・ストライプが美しく引かれた4分の3プレートや、熟練職人の手による繊細なエングレービングが刻まれたバランスコックを鑑賞することができます。

 直径34mmというサイズは、数値的にもかなり小ぶりで、実際に手に取ってみてもそのコンパクトさをはっきりと感じます。しかし、女性はもちろん、僕のように手首が15.5cmと細めの方や、ヴィンテージウォッチを愛する方にとっては、むしろ理想的なサイズだと思います。

 価格: 要問合せ

 本作についての詳細は、記事「34mmのA.ランゲ&ゾーネ 1815を実機レビュー」をご覧ください。その他の詳細は、A.ランゲ&ゾーネ公式サイトへ。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド Ref.Q713216J

ここ数年に見られる時計トレンドは、小径サイズだけにとどまりません。今年の新作で特に印象的だった要素のひとつが、高品質なブレスレットと、それがもたらす優れた着用感です。細部まで丁寧に作り込まれたブレスレットは、見た目の美しさだけでなく、長時間の装着でも快適さを保ち、時計全体の完成度を一層引き上げています。

 そんな今年、さまざまなブランドから登場したブレスレット付きの新作時計の中で、僕が個人的に最も惹かれたモデルのひとつがレベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンドRef.Q713216Jです。1931年誕生のスポーツウォッチを起源とし、その後ラグジュアリーモデルへと進化してきたレベルソは、誰もが知るアイコニックなスクエアケースウォッチ。本作の特徴は、ピンクゴールド製ケースと一体化したかのように見えるミラネーゼブレスレットです。トーン・オン・トーンのダイヤルと見事にフィットしています。

 レザーストラップや5連リンクのブレスレットに見慣れていたレベルソが、ブレスレットの素材とデザインを変えるだけで、ここまで印象を一新するとは思いませんでした。ブレスレットは、ピンクゴールド製の2本のワイヤーを使用し、その全長は合計で16m以上にも及びます。このワイヤーを熟練の職人が一点一点緻密に編み込み、しなやかさと耐久性を兼ね備えたミラネーゼブレスレットに仕上げられています。

 このミラネーゼブレスレットの最大の魅力は、その美しい見た目はもちろん、前述の通り優れた着用感にあります。しなやかに手首へ沿いながら快適さを保ち、さらに剣先を尾錠に引き通して手首回りに合わせる構造となっているため、無段階でサイズ調整が可能です。ほとんどの人の手首に自然に馴染み、コマを外したりカットしたりする必要がないのも大きな魅力です。ブレスレットの時計は誰かとシェアするのが難しいですが、この時計ならそれを叶えることができます。

 価格: 642万4000円(税込)

 本作についての詳細は、記事「ジャガー・ルクルト 話題のミラネーゼリンクブレスを備えたレベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」をご覧ください。その他の詳細は、ジャガー・ルクルト公式サイトへ。


過去の名品たち
フランク ミュラー - エンデュランス GT スプリットセコンド クロノグラフ

ここでご紹介するのは、1995年に製作されたフランク ミュラーのエンデュランス GT スプリットセコンド クロノグラフ 7000REN ACです。これは、フランク・ミュラー氏の初期の作品のひとつにあたります。

 現在のコレクションは、トノー型ケースを中心に展開されており、ラウンドケースのモデルはほとんど見かけなくなりましたが、初期のコンプリケーションモデルには、むしろラウンドケースが多く採用されていました。本作もそのひとつで、直径39mmのスティール製ラウンドケースに、スプリットセコンド・クロノグラフが搭載されています。

 この数年、独立時計師やインディペンデントブランドの存在感が一層高まり、腕時計の世界でも特に注目されるジャンルとなっています。今でこそフランク ミュラーは、時計愛好家に限らず一般の方々にも広く知られるブランドですが、その礎を築いたフランク・ミュラー氏は、1990年代という早い時期から独立時計師という存在を世に知らしめ、このジャンルのブームを牽引した立役者のひとりです。

 現在は、特にシンプルなタイムオンリーのインディペンデントウォッチが人気を集めていますが、1990年代当時は少し様相が異なっていて、それだけでなく、本作のようなコンプリケーションや、独創的な時刻表示を採用した時計も多く見られたのが印象的です。当時のインディペンデントウォッチには、機能面でもデザイン面でも挑戦的な姿勢がより色濃く表れていたように感じます。

671万円(税込)

クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ - サテライト・デュ・モンド MKII

クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウからは、1996年に発表された同ブランド初の腕時計モデルであるサテライト・デュ・モンド MKIIをご紹介します。

 オランダ出身の独立時計師、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウは、1974年に天体の動きを取り入れたクロックを初めて制作して以来、天文コンプリケーションを搭載したクロックや腕時計で広く知られています。彼の手がけた作品には同氏の名を冠したものだけでなく、ヴァン・クリーフ&アーペルのミッドナイト・プラネタリウム ポエティック・コンプリケーションやレディー・アーペル・プラネタリウムなどもあります。

 サテライト・デュ・モンド MKIIは、1992年のバーゼル・フェアでメディユ・ドール(金賞)を受賞した置時計「ペンデュル・バリアブル」の機能やデザインをベースにして作られた一本です。直径39mmの18Kローズゴールド製ラウンドケースに、中央には時刻表示のダイヤルを配し、その外側には太陽と月を示すリング、さらに外周にはオランダ語で記された世界の主要24都市名が並びます。太陽と月の位置はワールドタイムのように表示され、時針と太陽表示が常時連動しているのが特徴です。

 モデル名に「MKII」とあるため前身モデルの存在を想像させますが、実際には当時、MKI(レディスモデル)、MKII(メンズモデル)、そしてMKIII(クロノグラフモデル)の3種類が同時に販売されていました。今回、日本橋三越本店で販売されるMKIIは、発表当初の一般的な時計に見られるラグではなく、ヒンジ式ラグを採用した特別仕様となっています。さらに、ケースバックには「Christiaan van der Klaauw Joure」の文字が筆記体で刻まれており、これが後期生産の個体であることを示しています。

 加えて、この個体は日本橋三越本店にて認定中古品として販売されるもので、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ本人が自らリファービッシュを手掛けたことがわかっています。この時計について調べを進めるうちに、さまざまな事実が明らかになってきましたが、同店を通じて直接本人に話を聞く機会も得られるかもしれません。

 価格: 990万円(税込)

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第28回 三越ワールドウォッチフェア

 第28回を迎える今年のテーマは「時をめぐり、想いを馳せる」。2025年7月30日(水)から8月26日(火)まで、日本橋三越本店 本館6階ウォッチギャラリーで開催されます。

 さらに、本館1階ステージでは、8月13日(水)から会期終了まで「Grand Seiko Fair」が同時開催。ここでは、高精度スプリングドライブムーブメントを搭載したエボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.をはじめ、注目の新作モデルが数多くラインナップされます。

日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリー

住所: 〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1丁目4−1
営業時間: 午前10時~午後7時
電話: 03-3241-3311(大代表)

Photographs by Yusuke Mutagami and Masaharu Wada