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Bring a Loupe 壊れたマルコ クロノグラフ、ゴールドのロレックス “ポール・ニューマン”デイトナ、そしてその他諸々

今市場に出ている掘り出し物のヴィンテージウォッチをお届けしよう。

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※本記事は2026年6月19日に執筆されたUS版の翻訳です。

ゴー、ニックス!(編注;NBAのニューヨーク・ニックスの略称であり、6月19日にニックスの優勝パレードが開催された)

 以上だ。

 先週の落札結果を振り返ろう。グランドセイコーは2万9700ドル(日本円で約480万円)で、サーチナ DSは120ユーロ(日本円で約2万2000円)で落札され、パテック フィリップ 570Gはまだ販売中だ。ジャガー・ルクルト ユニプランは落札されたが、オークションハウスは最終価格を公表していない。


番外編
Breguet

Photo courtesy Goodwill

 Goodwillにブレゲ クラシック 5907が出品されている(編注;現在オークションは終了しており、7128ドル/日本円で約110万円で落札)。ミネソタ州のGoodwillが、4日間のパワーリザーブ、手巻きムーブメント Cal.510DR、フルギヨシェダイヤル、ブレゲ針を備えたソリッドゴールド製のブレゲを寄贈として受け取ったのだ。しかもそれだけでは飽き足らず、オリジナルの箱も付いている。ウォーレン・Gが代表曲『Regulate』で呼びかけたように、さあ“集まれ(mount up)”。そんな意外すぎる場所に現れた本格派の時計に加え、このドダーヌのダイバーズウォッチ(編注;現在オークションは終了しており、1500スイスフラン/日本円で約30万1000円で落札)はとても素晴らしく、Meticulistに出品されているこのヴィンセント・カラブレーゼ氏(Vincent Calabrese、コルム ゴールデンブリッジも製作)のワンダリング ジャンプ アワー(編注;現在オークションは終了している)も信じられないほどクールだ。そしてどうやら今は、私自身にとって――あるいは世間一般にとっても――レベルソ以外のレクタンギュラーケースのジャガールクルトに心を躍らせるのにふさわしい時期らしい(編注;現在オークションは終了している)。もしジュベニア アーキテクトをお探しなら、こちらのモデルはどうだろうか(編注;流札した)。少し手入れをすれば、見違えるほど魅力的になるだろう。ベリティ(Verity)の時計をコレクションしている人を知らないが、このダイバーズウォッチはクラシックなモナンケースと、ほかに言いようのないほどクールな針が実に格好良い(編注;現在オークションは終了している)。最後に、知る人ぞ知る1本であるCal.40Tを搭載したゼニスを紹介する。美しいシンプルなケースと、針の下にあるダイヤル表記以外に特筆すべき点があるとは言い難いが、この表記は私が知る限り、最もクールな“ムーブメント由来のバッジ”のひとつと言っていいだろう。

 前回は時刻表示のみを備えた時計を4本紹介した(グランドセイコーにはパワーリザーブインジケーターがあったので、厳密には複雑機構が全く搭載されていなかったわけではない)。そこで今週は、バランスを取る意味でもクロノグラフだけを取り上げることにした。価格帯の低い順に並べているので、予算に関わらず、きっとお気に入りの1本が見つかるはずだ。


ドゥゲナ モンツァ

 確かにこの時計はクロムメッキのケースを採用している。私にとって、それはスポーツウォッチとは正反対の要素だ。なぜならスポーツウォッチは本来、頑丈で傷や衝撃に耐えられるべきものであり、クロムメッキケースは、どれほど丁寧に扱っても、汗に触れ続けるだけでいずれ表面のメッキが失われてしまうからだ。しかしその点を除けば、このドゥゲナには多くの魅力がある(編注;現在オークションは終了しており、420ユーロ/日本円で約7万8000円で落札)。

 まず特筆すべき、この時計には由緒あるバルジュー7733が搭載されている(出品情報では誤って7734と記載されているが、この時計には日付表示がないため、正しくは7733だ)。歴史上最もセクシーなクロノグラフムーブメントとは言い難いが、バルジュー773X(もともとはVenus 188として誕生したが、その話はまた別の機会に)はのちのバルジュー7750へと繋がった。7750のローターのぐらつきや厚みについて、私たちがどう思おうと、間違いなく時計の歴史上最も重要なムーブメントのひとつであり、いわば機械式時計界のケヴィン・ベーコンであり、名前を挙げられるほとんどあらゆるブランドや、驚くほど多くの時計へとつながっている。

 第二に、このドゥゲナは見た目がとにかくクールで、それだけでも十分な魅力と言える。ダイヤルの赤いアクセントや角ばったインダイヤルの針は、まさに70年代初頭の雰囲気を醸し出しており、ケースはクロムメッキが少し剥がれているものの、そのフォルムとスタイルは素晴らしく、37mmというサイズも装着感の点でまさに理想的だ。さらに、27日から始まるオークションに出品されるこの時計の開始価格が100ユーロ(日本円で約1万8000円)であることを考えると、エントリーレベルのクロノグラフとしては価格以上の価値を備えた1本と言えるだろう。


スピルマン製ケースを備えたマルコ
Mulco

Photo courtesy ARTEAL

 はっきり言って、このマルコは少なくとも多少の修理が必要な状態だ(編注;現在オークションは終了している)。3時位置の30分積算計から外れた針が、文字盤上の12時位置付近に転がっているのが確認できる。しかも針だけでなく軸ごと抜けてしまっているため、単純に針を差し戻せば済むという話ではない。つまりこの時計を検討するのであれば、修理費用と手間をあらかじめ織り込んで考える必要がある。

Mulco

Photo courtesy ARTEAL

 しかしその点を受け入れられるのであれば、このマルコは見違えるほど魅力的な1本へと生まれ変わる可能性を秘めている。先ほどのドゥゲナとは異なり、このマルコはステンレススティール製ケースを採用しているだけでなく、おそらくスピルマン製ケースが採用されていると見られる。ケース径は35mmと小ぶりだが、この時計が製造されたと思われる1960年代当時としては標準的なサイズだった。ダイヤルはほぼ文句なしの出来栄えで、夜光入りのローマ数字とブルーのタキメーターリングが特徴だ。もちろん使用感はあるが、針とダイヤルの蓄光塗料の色が一致しており、オリジナルらしい誠実な状態だ。推定落札価格はわずか150〜200スイスフラン(日本円で約3万~4万円)に設定されている。さらに、おそらくバルジュー22を搭載していることも考えれば、不具合を抱えている点を差し引いても、検討する価値は十分にあると言えるだろう。

 オークションは27日に開催予定なので、入札するかどうか考える時間はまだたっぷり残されている。

Tavannes

 あるいは、タバンのドレッシーなクロノグラフはいかがだろうか(編注;現在オークションは終了している)。タバンはその歴史を掘り下げる価値のある魅力的なブランドであり、この時計を見れば、なぜ同社が20世紀前半にこれほど高い評価を受けていたのかがよくわかる(1930年代には世界第4位の時計メーカーだったと言われている)。このモデルはアール・デコ様式の素晴らしいデザインに加え、美しい渦巻状のクロノグラフスケールを備えているものの、おそらく総額1000ドル(日本円で約16万2000円)以下で販売されるだろう。


エクセルシオール・パークのモンテカルロ

 エクセルシオール・パークのモンテカルロは、実に風変わりな時計だ(編注;現在オークションは終了している)。見た目はまるでゼニス カイレリの派生モデルのようだが(どうやらケースは同じものが使われているらしい)、実は80年代初頭のモデルなのだ。それだけでなく、この時計はほかに類を見ないほど個性的なムーブメントが搭載されている。

 皆さんはプロジェクト99と、それを搭載したハミルトン、ブライトリング、ホイヤーの時計についてはご存じだろう。これらの時計はいずれも間違いなくクールだが、ムーブメント自体はモジュール構造(既存のムーブメントにデュボア・デプラのクロノグラフモジュールを取り付けたもの)である上に、マイクロローター式という点で扱いが難しいものだった。お近くの時計師によって対応は異なるかもしれないが、私が知る時計師ドノヴァン・パラダイス(Donovan Paradise)氏が見るなり思わずため息をつくムーブメントがあるとすれば、それはCal.11/12/15くらいではないだろうか。

 このバルジュー7740の奇妙な点は、Cal.11/12を改造して手巻き式にしていることだ。また私が知る限り、同時代のロレックス デイトナと同じインダイヤルレイアウト(9時位置に12時間積算計、6時位置にスモールセコンド、3時位置に30分積算計)を採用したヴィンテージクロノグラフは数少ない。日付表示が付いているのはまあ、おまけみたいなものだろう。

 では、この個体自体の状態はどうか。全体としてはかなり良好な印象だ。ダイヤル、針ともに夜光の状態は良く、ダイヤルにも目立つダメージは見当たらない。42mmケースも研磨されていない可能性が高そうだが、現時点では写真が1枚しかないため断定はできない。現在のところ入札はなく、予想落札価格は2000〜4000スイスフラン(日本円で約40万~80万円)。オークションは24日に開催予定だ。

ALEXANDRE LANDRE - PARIS

Photo courtesy ALEXANDRE LANDRE - PARIS

 もうひとつの選択肢として挙げたいのが、この見事なロンジン Ref.3721だ(編注;現在オークションは終了している)。残念ながら、ケースはどこかの時点で少し研磨されたようで、本来このモデルの魅力であるラグのシャープなエッジは、かすかにその名残をとどめる程度になってしまっている。とはいえそれでも13ZNムーブメントを搭載し、経年による斑点は見られるものの、不思議と見栄えを損ねていないダイヤル、そして18Kゴールド製ケースを備えたこの時計は、89年前の時計とは思えないほど素晴らしい状態だ。


パテック フィリップ 5960P

 パテック フィリップ 5960は、いまだに過小評価されていると言えるだろう(編注;現在オークションは終了しており、3万4000スイスフラン/日本円で約680万円で落札)。まず1996年にパテックが開発したアニュアルカレンダーを搭載しているため、日付調整は毎年2月末だけで済む。次にCH 28-520ムーブメントは、パテックならではの精緻な仕上げが施されているだけでなく、同ブランド初の自動巻きクロノグラフムーブメントなのだ。さらにダイヤルには驚くほど多くの情報がエレガントに詰め込まれており、思わず笑ってしまうほどだ。上部には曜日、日付、月、パワーリザーブが表示され、下部には、6時位置のクロノグラフ用インダイヤルに積算時針と積算分針が重ねて配置され、さらに、クロノグラフ用インダイヤル内の“6”の上に設けられた小窓には、昼夜表示が備わっている。

 そしてもちろん、フライバッククロノグラフ機能も搭載している。

Patek

Photo courtesy Koller

 5960は2006年に発売されたが、私は長年このリファレンスの価格動向を追ってきたが、いまだ価格が急騰していないことに驚き続けている。確かにホワイトダイヤルを備えたスティール製モデルはややスポーティー(しかもブレスレット付き)だが、それでもなお、発売当初の価格(2014年時点で5万4800ドル/日本円で約580万円)よりも安く入手できるのだ。

Patek

Photo courtesy Koller

 今回出品されている個体は2007年製で、予想どおり状態はきわめて良好だ。さらに箱、保証書、カレンダー調整用のセッティングピンまで揃った完品となっている。それにもかかわらず、開始価格が2万スイスフラン(日本円で約400万円)というのは私にはほとんど理解できない。もちろん、それは決して安くはない。だが40.5mmという日常使いしやすいサイズのケースに、信じられないほどの複雑機構と時計製造技術が詰め込まれているのだ。これは23日にオークションにかけられる。


ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6241

 これは“ジョン・プレイヤー・スペシャル”でもなければ、“リモンチェッロ”でもない。私の知る限り、このロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6241にはコレクターの心を躍らせるようなクールなニックネームは付いていない(編注;現在オークションは終了しており、238万2000スイスフラン/日本円で約4700万円で落札)。それでも、この時計が特別なのは別の理由によるものだ。出品説明によれば、“数回の休暇で着用しただけ”で、残りの期間は金庫に保管されていたとのことだ。

 1970年の日付が記されたオリジナルの保証書と純正ボックスが付属するこの個体は、まさに圧巻だ。ヨーロッパ向けに販売されたモデルだけに、ケース素材は14Kではなく18Kゴールドが採用されている。私はこれらの写真をじっくりと時間をかけて確認したが、欠点は見当たらない。もちろん、これほどの完璧さには当然ながら相応の価格が付く。開始価格は35万スイスフラン(日本円で約700万円)で、オークションは23日に開催される予定だ。