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Bring a Loupe オメガ グラン リュクス、見事なトロピカルダイヤルを備えたゼニス エル・プリメロ A384など

今市場に出ている掘り出し物のヴィンテージウォッチをお届けしよう。

1週間の終わりに味わう、時計という名の甘いご褒美のように、Bring a Loupeをお届けしよう。3月も終わり、私たちはまた1カ月を乗り切っただけでなく、2026年の第1四半期をまるまる乗り越えたことになる。トム・ヘブンフォード(Tom Haveford)ならこうアドバイスするだろう。Treat Yo Self(自分にご褒美を)と。

 前回紹介した時計の結果を見てみよう。オメガ デ・ヴィル Ref.146.017は3650ユーロ(日本円で約67万円)、ロレックスのデイトナ 16523 “インバート6”は8800ポンド(落札日のレートで約180万円)、Goodwillに出品されたカルティエのトーチュは2万5002ドル(落札日のレートで約390万円)という驚きの価格で、アーノルド・シュワルツェネッガーのセイコーは4万7250ドル(落札日のレートで約750万円)で落札された。そのほか注目すべきものとして、ホイヤー オータヴィア “オレンジボーイ”は6175ドル(落札日のレートで約100万円)で落札されている。


番外編
2526

Credit SPANGARO & CO.

Swatches

Credit Karl Benz Auctions

Evil Clapton

Credit Estate Collection NY via eBay

 もしあなたがスウォッチ党なら、フランスのカール ベンツ(KARL BENZ)が今週、あなたの期待に応えてくれるだろう。そして私の父に言わせてみれば、“数えきれないほどのスウォッチ”(今回は1600本)が出品されるのだ。オークションは中央ヨーロッパ夏時間で4月2日(日本時間で4月3日)に開始される(編注;現在オークションは終了している)。そしてそのほぼ対極にあるのが、ギュブラン刻印のパテック フィリップ Ref.2526だ。こちらも4月2日(日本時間で4月3日)のオークションに出品される(編注;現在オークションは終了しており、4万ユーロ/落札日のレートで約730万円で落札)もので、状態は素晴らしく見える。このウォルサムのバチスカーフが再塗装されたものか、オリジナルなのかはまだわからない(皆さんの意見もぜひ聞いてみたい)が、もしオリジナルであれば、きわめて魅力的な個体であることは間違いないだろう。新年の抱負が“もういい人ぶるのはやめよう”だった人には、このユニバーサル・ジュネーブの“イービル・クラプトン”(編注;現在オークションは終了しており、1万4100ドル/日本円で約220万円)がうってつけのアクセサリーだ。それが少しダークすぎると感じるなら、ムーンフェイズとクロノグラフを搭載した、ヴィンテージのモバード アストロニックはいかがだろうか。針は交換されているものの(しかし針は純正品で、メンテナンス時に交換されたものだ)、それ以外は素晴らしい状態に見える。


ボール ウォッチ “オフィシャル レイルロード スタンダード”

 白状すると、私はこのスタイルのボール ウォッチ オフィシャル レイルロード スタンダード ウォッチが大好きで、長年愛用しながら、いつかこの時計がふさわしい評価と賞賛を得られる日が来るのを待ち望んできた。まだその日は来ていないが、どうかこれから述べることを人気を煽るためのものなどとは思わないで欲しい。これから綴ることは、手に入る最高のヴィンテージウォッチのひとつに対する、ささやかなラブレターのようなものだ。

Ball watch

 ボール ウォッチ(Ball Watch)は1891年、オハイオ州で起きた列車事故をきっかけに設立された。車掌の時計が4分遅れていたことが原因で、単線区間で対向列車に道を譲るタイミングを誤った。事故のあと、鉄道関係者はウェブ・C.ボール(Webb C. Ball)に鉄道の監督検査官に就任するように依頼した。その役職において、彼は(おそらくすぐに)信頼性の高い時計の必要性に気づいた。ボールが導入した時間を計測する基準、すなわち鉄道標準時間(レイルロードスタンダード、RR Standard)はまさにCOSC規格の原点となっている。

 1959年に発表されたこの特定のレイルロードモデルは、さまざまな形状とスタイル(ステンレススティールまたは金メッキ、トノー型、2種類の円形ケース、そして細いラグと竪琴ラグ)で展開された。搭載されたのは、ごく標準的なA.シルト 1604にハック機能を追加した手巻きムーブメント、A.シルト 1604Bだ。34mmというサイズは確かに小さめだが、当時としてはごく一般的な大きさと言えるだろう。

 しかしこの時計が気に入ったなら、最終的にはそのダイヤルと針に夢中になるはずだ。すべての時計は(ステータス、趣味、スタイルなどの)膨大な情報を同時に発信しているが、私が時計を検討するときに最も心惹かれるのは、個々の時計が、ある個人や企業が考える時間を伝える最良の方法を体現していると気づく瞬間だ。ここで言う“最良”という言葉は前述のとおり多義的だが、エレガントさ、頑丈さ、華やかなスタイル、ストイックなベーシックさ、難解さ、シンプルさなど、さまざまな意味を内包する。このレイルロードモデルの場合、そのルーツは“最良”の意味を明確に示している。それはきわめてクリアに、そして余計な装飾を排して、できる限りシンプルに読み取れるようにすることだ。クリネックスのティッシュ箱の仕組み、つまり1枚引き抜くと(たいていは)次の1枚が顔を出すあの仕組みを素晴らしいと感じる人なら、この時計は好みに合うだろう。

 執筆時点で入札価格は100ドル(日本円で約1万5000円)だが、500ドル(約7万9000円)を超えることはないだろう(編注;現在オークションは終了しており、325ドル/落札日のレートで約5万円で落札)。オフィシャル レイルロード スタンダード(あるいは、鉄道での使用が承認されたあとに付けられた新しいモデル名と思われる、オフィシャル スタンダード トレインマスター)の個体は、eBayでいつでも1000ドル(日本円で約15万9000円)以下で見つけることができる。今回紹介する個体は風防を磨く必要がありそうだが、それ以外は素晴らしい状態に見える。本当に、私が知るヴィンテージモデルのなかで、これほどコストパフォーマンスに優れた時計はそうそうない。


オメガ グラン リュクス Ref.3953

 この1952年製で18Kホワイトゴールド(WG)製のオメガ カレンダー “グラン・リュクス”(なぜ引用符がついているのかは私もわからないが、オメガがこのリファレンスをそのように記載しているのだ)は、まさに絶対的な美しさを持つ1本だ。あのラグ、そしてこのダイヤル! 74年も前の時計とは思えないほど美しい状態を保っている。

Omega

Credit Blenheim Auctions

 オメガのRef.3953はかなり珍しいモデルで、すべてソリッドゴールド製(そのほとんどはこの個体のようなWG製ではなく、イエローゴールド製だったようだ)だった。この時計について知るべきことは、すべてその外観に表れている。ケースバックは圧入式だが、そうでなかったとしても、防水性はほとんどない純然たるドレスウォッチであることは明らかだ。また、夜光塗料が使われていないことにも注目して欲しい。この時計はドレスアップ専用で、それ以外の用途には適さない。暗い映画館で時間を確認することさえできないだろう。

Omega

Credit Blenheim Auctions

 この時計を見ていると、もしスピードマスターがNASAに選ばれていなかったら、オメガはどうなっていたのだろうかと考えずにはいられない。もちろん、オメガは今も昔もドレスウォッチをつくっていないわけではないが、クロノグラフやボンドが着用したダイバーズウォッチほど、高級ドレスウォッチで知られているブランドであるわけではない(とはいえ、つい先日、有名なコンステレーションを復活させたばかりだ)。そして当然のことながら、オメガは何よりもまず“企業”であり、時計を売ることを生業としている。この素晴らしいRef.3953が短期間、かつ少数しか製造されなかったのは単にあまり売れなかったからなのだろう。

Credit Blenheim Auctions
Credit Blenheim Auctions

 写真を見れば明らかだと思うが、それは実に残念なことだ。直径32mm、ラグ・トゥ・ラグ40mmというこの時計は驚くほど素晴らしい。もし本気で探していたなら、もう出会えないかもしれないという理由だけでも、実物を見に行っただろう(現在販売されている個体はひとつも見つけられず、また、最近売れた個体もほとんど見当たらない)。入札は2750ポンド(日本円で約58万円)から始まり、オークションは3月30日に行われる(編注;現在オークションは終了している)。


トロピカルダイヤルを備えているゼニス エル・プリメロ A384

 ゼニスの3019PHCほどロマンをかき立てられる時計のムーブメントがあるだろうか? 無知な経営陣によって歴史のゴミ箱に捨てられる運命にあったが、ひとりの技術者によって救われた世界初の自動巻き、一体型、高振動の機械式クロノグラフムーブメント。それは私にとって、バルジュー72やオメガのCal.321と同じように、常に強い魅力を放ってきた。実のところ、いつかはちゃんとした個体を手に入れようと自分に言い聞かせている数少ない時計のひとつなのだが、どういうわけかいつも思いとどまってしまう。私に残された数少ない憧れの時計のひとつであり、今のところは、いつかこれを所有し身に着けるという空想だけで十分なのだ。

 A386と同じ年に発表された、このゼニス エル・プリメロ Ref.A384はもちろん3019PHCを搭載しているが、写真を見ればわかるように、このムーブメントの並外れた歴史はその物語のほんの一部に過ぎない。ある人にとっては“パティーナ”でも、別の人にとっては“ダメージ”でしかないというのは重々承知しているが、この時計を見て少しも心が動かない人がいるとは想像しがたい。

 個人的にトノーケースはあまり好みではないが、熱烈なトノー反対派でさえ、これには例外を認めざるを得ないのではないだろうか? 確かにケース(オークションハウスが提供している1枚の写真から判断するに)には多少の摩耗が見られる。しかし繰り返すが、この時計で手に入れるのはあの並外れたダイヤルなのだ。オリジナルのゲイ・フレアー社製のブレスレットでさえ、二の次になってしまう。そしてA384には驚くほど魅力的経年変化した個体かなり多く存在することを考えると、きっと意欲的な研究者が、その原因を探っているに違いないだろうと思う。この特定のモデルこれほど美しくトロピカルに経年変化した理由となったオリジナルの成分や顔料が何なのか、私は大いに興味をそそられる。

 開始価格8000ユーロ(日本円で約150万円)で、28日にオークションにかけられる(編注;現在オークションは終了している)。


14K製のヴィンテージ ティソ―レマニア社製のクロノグラフムーブメント Cal.2310/CH 27を搭載
Tissot

 ロマンあふれるムーブメントといえば、これもそうだ。1942年に発表されたレマニアCal.2310はパテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、ロジェ・デュブイ、そしてもちろんオメガといった伝説的な時計を駆動してきたエンジンだ。2026年のGPHG審査委員長であるウェイ・コー(Wei Koh)氏が、このムーブメントを“史上最高のクロノグラフムーブメント”だと言うのだから、私に異論を唱える余地はないだろう。コレクションにレマニアCal.2310があるのは、クローゼットにリーバイスの501を1本持っているようなものであり、必須というよりは、ほとんど普遍的で賢明な出発点といったところだろう。

14k Vintage Tissot Chronograph Lemania 2310/CH 27

 もしあなたがまだレマニアに注目していなければ、ケースバックのシリアルナンバーから1954年製と推定されるこのティソ(編注;現在オークションは終了しており、3000ドル/日本円で約47万円で落札)は、Cal.CH 27を搭載していなかったとしても十分に魅力的だが、幸いにも私たちはその選択を迫られることはない。風防の交換が必要なため、現状では即決品とは言い難いだろうが、ひび割れたアクリルの下には美しいオリジナルのゴールドダイヤルと針がセットされているようだ。ケースもまた、驚くほど良好な状態を保っているようだ。私はティソの専門家ではないので、これが特定の有名なリファレンスなのかはわからないが、クモのようなラグに面取りがはっきりと見られることから、ケースは研磨されていないと予想される。このディテールがどれほど重要かはわからないが、この時計が(18Kではなく)14K製であるという事実は、裏蓋の内側にあるリスのホールマークによって、より魅力的に映る。リスのマークは、スイスで14Kゴールドを示すために使用された刻印だ。

14k Vintage Tissot Chronograph Lemania 2310/CH 27

 出品者はこの時計にサービスが必要だと記しているが、それは想定内だ(そして、地元の時計職人と親しくなるまたとない機会でもある)。これはまさに、私がeBayを開いて見つけたいと願っている種類の時計だ。手入れは必要だが、オリジナルの栄光をまだ保っている1本だ。