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Introducing ヴァシュロン・コンスタンタン メティエ・ダール‒時の探求へ敬意を表して‒を発表

20本限定で製作されたこのモデルは、今回発表されたヴァシュロン・コンスタンタンのオートマトンクロックの傑作から着想を得ており、最高峰の装飾芸術と新たな複雑キャリバーを融合させている。

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我々が知っていること

今回、ヴァシュロン・コンスタンタンは創業270周年を迎える。同ブランドが毎年9月17日に創業記念日を祝うのは、ジャン=マルク・ヴァシュロン(Jean-Marc Vacheron)が最初の徒弟契約を結び、キャビノティエの工房を個人の職人から本格的な事業へと拡大させた日だからだ。今年は大きな節目の年として大きな期待が寄せられていたが、そのアニバーサリーに同ブランドは期待を裏切ることなく、ふたつの超複雑作品を発表した。ひとつは、すでに別記事で紹介したオートマトンを搭載したクロック、ラ・ケットゥ・デュ・タン(時の探求)。そしてもうひとつが、そのクロックに着想を得た20本限定のダブルレトログラード式“アームズ・イン・ジ・エア”天文腕時計、すなわちメティエ・ダール‒“時の探求へ敬意を表して”‒だ。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 ラ・ケットゥ・デュ・タンに着想を得た本作のインスピレーションは、画像を見ればすぐに理解できるだろう。ダイヤルの中心には立体的な人体像が配されている。これはチタン製で、ゴールドPVD加工を施したうえでサンドブラスト処理を行い、さらに手作業によるパティーナ仕上げが加えられている。

 このフィギュアの両腕はダブルレトログラード表示として機能し、左腕でローマ数字による時表示、右腕でアラビア数字による分表示を行う。この表示は、ホワイトゴールド(WG)製でオパーリン仕上げを施した2本のレール上に展開されており、その下のブルーフュメ仕上げを施した2層のサファイアクリスタルダイヤルを通してムーブメントを眺めることができる。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 ブルーダイヤルは単なる演出ではなく、物語を語る要素でもある。2層構造のサファイアクリスタルで構成され、クリスタルの裏面にはブルーのグラデーションを施し、1755年の創業日にジュネーブで見られた星座が描かれている。これはラ・ケットゥ・デュ・タンの天空図と呼応しており、同じ創業日の星座が用いられている。

 この星図とブルーグラデーションはメタライゼーション技法によって表現され、ヴァシュロン・コンスタンタンのロゴはゴールドパウダーによる転写印刷、パワーリザーブ表示はホワイトの転写印刷で描かれている。ダイヤルの第2層目のサファイアは、装飾をいかなる損傷からも守るため、上層の下に固定されている。

 レトログラード表示は、ヴァシュロン・コンスタンタンにとってひとつのシグネチャーともいえる存在だ。たとえば、2015年のレ・キャビノティエ・レトログラード・アーミラリ・トゥールビヨンは、技術的には2015年に発表されたRef.57260(当時、世界最多複雑時計だった)から着想を得ている部分もある。さらに、メルカトールはメティエ・ダールのダイヤルにダブルレトログラード表示を組み込んだモデルとして知られている。しかし、より適切な比較対象は1930年代の“arms in the air(祝福して万歳している)”懐中時計であろう。その代表例が“ラ・カラべル”であり、これはボタンを押すまで時刻を“温存”し、押した瞬間に針が正しい位置へ跳ね上がる仕組みを備えていた。

Les Cabinotiers Retrograde Armillary Tourbillon of 2016

2015年登場の、ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・レトログラード・アーミラリ・トゥールビヨン。

Vacheron Caravelle

1937年製 “ラ・カラべル” ダブルレトログラード表示付き懐中時計。

Vacheron Mercator

1994年製ヴァシュロン・コンスタンタン “メルカトール”ウォッチ。

 本作では、“連続式”表示モードと“オンデマンド”表示モードを選択できる。腕の動きに伴う負荷は、フィギュアにチタン素材を用いることで最小限に抑えられている。ダイヤル下部にはダブルパワーリザーブ表示が配されている。Cal.3670(4件の特許出願中)は6日間のパワーリザーブを備えており、ふたつのインダイヤルに分割して表示される。ひとつは6から3まで、もうひとつは3から0まで。この分割表示はブランドの特許申請のひとつであり、ダイヤルの中心軸における視覚的調和を保つ工夫となっている。

 裏面には天空図を表示するのふたつ目のダイヤルが搭載されている。ブルーサファイアディスクを下層に備えたこのサファイアクリスタルダイヤルは星図を表示し、恒星日や星座の動きをリアルタイムで追跡することができる。その精度は、9130年間で誤差わずか1日という驚異的なものだ。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 再びダイヤル側に戻り、最後の複雑機構を見ていこう。フィギュアの頭上には、時を刻みながら回転する立体的な高精度ムーンが配置されている。これはチタン製で、手彫りと研磨によって仕上げられている。月が単色であれば月相の把握が難しくなるため、ひとつの面にはゴールドPVD仕上げを、もう一方の“ダークな”面にはディープブルーPVD仕上げを施している。さらに、ムーンフェイズの外周には月齢を表示するリングが設けられており、月とともにそれぞれ独立した軸で回転する仕組みとなっている。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 最後に気づくかもしれないが、このムーブメントの仕上げは伝統的なコート・ド・ジュネーブでも、近年ブランドが採用していたコート・ユニークでもない。代わりに、控えめなサーキュラーサテン仕上げが施されており、これはサファイアクリスタルダイヤルとの組み合わせにおいて視認性を高めるための工夫だ。ブランドによれば、従来のジュネーブストライプではコントラストの強い模様が複雑なダイヤルに干渉しすぎてしまうため、意図的に避けたのだという。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 そのほかの注目点として、ムーブメントは3万6000振動/時で駆動し、これは同ブランドがかつてのトラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダー(率直に言えば、これもかなりクールな時計だ)に用いた振動数への回帰を示している。ケースは18KWG製で、サイズは直径43mm×厚さ13.58mm。限定20本の生産であり、価格は非公開となっている。


我々の考え

数週間前、ヴァシュロン・コンスタンタン本社で、まもなく紹介できることを心待ちにしているきわめて魅力的な撮影をしていたときのことだった。その際に、完成したばかりのサンプルを事前に見るという幸運に恵まれたのである。そのときには、上で紹介した“ラ・カラベル”を実際に手に取り、この新作とも時間をともにすることもできた。“arms in the air”(そう呼ばれている)、これらの時計はかなりクールな存在だが、とくに古いモデルでは針が跳ね上がったり下がったりする力が強く、その動作がやや唐突に感じられる。

Vacheron Constantin's Métiers d’Art 'Tribute to the Quest of Time'

 新作メティエ・ダール–時の探求へ敬意を表して–でも、その動作の衝撃はやや強めに感じられるが、これは設計上織り込み済みであり、フィギュアにチタンを用いたことで機能を成立させている。ヴァシュロンは、毎正時にレトログラード針が素早く戻る際の鋭いスナップ感を残しつつ、ムーブメントへの負荷を最小限に抑える方法を編み出した(針の動作には、意図的に設計されたがほとんど知覚できない程度のバウンスも含まれている)。さらにブランドはその先を行っている。特許出願中のひとつは、レトログラード表示の同期機構に関するものだ。通常、時針と分針は進む速度が異なるためリセットのタイミングもずれる。しかし新機構では、11時59分に両針が同時にリセットされ、00:00もしくは12:00に同時に到達するよう設計されているのだ。

Métiers d'Art 'Tribute to the Quest of Time'

 もしダイヤルの意匠がウィトルウィウス的人体図を思わせることに抵抗があるなら、スタンバイモードにすることができる。スタンバイ中も時刻計測は裏で進み続けるが、フィギュアの腕は“ニュートラル”な下向きの位置に留まり、10時位置のプッシャーを押すまで動かない。プッシャーを押せばフィギュアが時刻を示し、再度押すと動作をやめる仕組みだ。さらに、スタンバイモードのままでも時刻合わせが可能であり、ムーブメントを損傷する心配はない(ただし設定している時刻を目視することはできない)。総じて、この機構は高度なエンジニアリングであり、同時にブランド創業270周年を彩る物語性を伝えるデバイスとしても、きわめて優れた成果を収めている。


基本情報

ブランド: ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)
モデル名: メティエ・ダール‒時の探求へ敬意を表して‒(Métiers d'Art 'Tribute to the Quest of Time')

直径: 43mm
厚さ: 13.58mm
ケース素材: ホワイトゴールド
文字盤色: ブルーフュメ仕上げを施した2層のサファイアクリスタルダイヤル、ゴールド加工と、サンドブラスト・パティーナ仕上げを施した立体的なチタン製の人物像モチーフ、手彫り・PVD加工を施したチタン製の立体的な高精度ムーン
インデックス: アプライドとプリントのインデックス
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターライニング付きのダークブルーのアリゲーターレザー、ゴールド糸によるハンドステッチ、18KWG製フォールディングクラスプ付き

Calibre 3670

Cal.3670のダイヤル側。

Calibre 3670

Cal.3670のムーブメント側。


ムーブメント情報

キャリバー: 3670
機能: ダブルレトログラード時・分表示、連続式“表示”モードか“スタンバイ”モードまたは任意の起動を選択可能。立体の高精度ムーンフェイズ、月齢、天空図、恒星日、ダブルレトログラード・パワーリザーブ表示
直径: 34mm
厚さ: 7.8mm
パワーリザーブ: 144時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 55
クロノメーター認定: なし
追加情報: 4件の特許出願、2種類の時刻表示モード、ヴァシュロン・コンスタンタン創業日である1755年9月17日のジュネーブの夜空を再現した天空図


価格&発売時期

価格: 要問い合わせ
発売時期: 発売中
限定: 20本限定

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