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2025年8月1日(金)、ISHIDA新宿のグランドセイコー マスターショップが「グランドセイコーサロン」としてリニューアルオープンした。売り場は同店2階へ移され、タグ・ホイヤーの正面に構える。什器は直営サロンと同じ仕様を用い、ブランドの世界観を鮮やかに映し出している。さらに今後は、サロン限定モデルの取り扱いも予定されている。今回、オープンから1カ月を経た9月初旬にISHIDA新宿を訪れ、新設されたサロンについて詳しく話を聞く機会を得た。語ってくれたのは、7月より同フロアのフロア長を務める本田誠也さんである。ISHIDA新宿に在籍して10年、グランドセイコーをはじめ幅広いブランドに精通する人物だ。長きにわたり新宿で愛されてきた名店において、このサロンではどのようにグランドセイコーの魅力を伝えていくのだろうか。
「本数・売上ともに、8月は過去最高の数字を記録しました」。インタビューの冒頭でグランドセイコーサロンの反響を尋ねると、本田さんはそう語った。今年は円安に伴うインバウンド需要がやや落ち着きを見せていたというが、それでも好調ぶりが際立つ結果である。もともとISHIDA新宿は、BEST新宿本店時代から通うリピーターが多い時計店だ。しかしこの8月に限っては、サロン新設の告知をきっかけに訪れた新規客が大半を占めた。その背景には、予約不要で気軽に立ち寄れるという店舗特性もあるだろう。
さらに、ISHIDA新宿の強みであるブランド間の垣根を感じさせない売り場レイアウトは、このサロンに独自の価値を与えている。来店客は接客の最中でも自由にブランドを行き来でき、スタッフも特定の売り場に縛られず、購入体験を包括的に支援する体制を整えている。「これはISHIDAならではですが、ときにはひとつのトレイ上に複数ブランドの時計を並べて比較検討いただくこともあります。同じトレイで見比べてもらうのが一番わかりやすいですからね。ほかのグランドセイコーサロンでは体験できないことかもしれません」。こうしてフロアを巡った結果、当初は他ブランドを検討していた顧客が、最終的にグランドセイコーを選ぶ例も見られたという。ちなみに、グランドセイコーを選んだ理由として多く挙げられていたのは、シンプルで装着しやすく、そして純粋に美しいという点であった。
2025年8月1日にオープンした、ISHIDA新宿内のグランドセイコーサロン。ISHIDAの特長として、隣接する他ブランドの売り場とのあいだに明確な敷居は設けられていない。
「私が初めてグランドセイコーの担当になったのは今から5年前ですが、その当時と比べてブランド価値の高まりを強く実感しています」と本田さんは続ける。
「以前は舶来系のブランドと比べて『シンプルすぎる』という声もありました。しかし、今ではそれが『シンプルで美しい』という受け止め方に変わってきています。グランドセイコーの日本的で上質なものづくりが広く知られるようになり、最初からそのイメージを持って来店されるお客様が増えていると感じています」。こうしてグランドセイコーサロンで実機に触れた顧客は、改めてその造りのよさを体感する。「私自身、価格以上の価値があるブランドだと思います。以前文字盤や針の加工を担う方々とお話しする機会がありましたが、まさに世界に誇る日本のものづくりそのもので、作り手の姿勢も極めてストイックです。話されている時は常に笑顔で、自分の仕事に誇りを持っているというのが伝わってくる。そんな背景をお客様にお伝えすると、『やっぱりグランドセイコーはいいね』と納得して選ばれていきます」
ISHIDA新宿内、グランドセイコーサロンがある2Fでフロア長を務める本田誠也さん。ジュエリー、アクセサリーの販売を経験し、株式会社ベスト販売に入社、以来10年間勤務している。同社にていくつかのスイスブランドを扱ったのち、5年前からグランドセイコーを担当。今年7月にフロア長に就任した。
特に顧客の関心を集めているのは外装である。オープンからまもなくサロンを訪れた人々も、グランドセイコーの文字盤やケースのフォルム、そして仕上げの美しさを高く評価していたという。なかでも“白樺”ダイヤルを採用したエボリューション9 コレクション SLGH005は、発売から4年を経た今もなお、店頭で足を止めて見入る人の姿が散見される。
「白樺は、いまやブランド名以上にモデル名が浸透しているのではないかと思うほど人気の高いモデルです。名指しで探しに来られる方もいれば、店頭で初めて目にして『どうなっているんだろう?』と不思議そうに眺める方も多い。皆さんじっくりと文字盤に見入っていかれます。真鍮の文字盤に世界屈指の型打ち技術で凹凸を施し、さらにモデルごとに異なる“レシピ”に沿って何層もラッカーを重ねていく。白く見える文字盤も、白い塗料を使わずに表現するというこだわりによって成り立っています。発売直後には数十名の順番待ちが発生し、2年近く店頭に並ばなかった時期もありましたが、それでも人気は衰えず安定して売れ続けています」
また、売り場がグランドセイコーサロンとなったことで取り扱いを開始したエボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.も、高い関心を呼んだ。精緻な型打ちで表現した樹氷ダイヤルや、コレクションでは珍しい37mm径というサイズ感から、手に取る人が多かったという。
「V.F.A.に連なる高精度追求のストーリーをお伝えすると興味を持たれる方が多いのですが、来店される皆さんのなかにはもともと『GSはそもそもズレない』という揺るぎない信頼があります。それよりも、エボリューション9に関心はありながら40mm超のサイズ感が合わず見送っていた方に、今回は強く響いていたようです。新設計のブレスレットや微調整機構付きのクラスプも、とても高く評価されていました」
グランドセイコー エボリューション9 コレクション SLGH005 “白樺”
127万6000円(税込)
直径40mm、厚さ11.7mm。ステンレススティール製ケース&ブレスレット。日常生活強化防水(10気圧)。Cal.9SA5搭載、約80時間パワーリザーブ(最大巻上時)、3万6000振動/時、47石。
グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. SLGB003
151万8000円(税込)
直径37mm、厚さ11.4mm。ブライトチタン製ケース&ブレスレット。新開発微調整機構付きクラスプ搭載。日常生活強化防水(10気圧)。Cal.9RB2搭載、約72時間パワーリザーブ(最大巻上時)、34石、年差±20秒。
一方で、時計愛好家に強く響いていたモデルもあった。U.F.A.と同じく今年リリースされたサロン限定モデル、スポーツコレクション トウキョウライオン テンタグラフは、長年グランドセイコーを見続けてきたファンから強い支持を得ていたという。
「お電話で在庫を確認してから来店され、そのまま購入される方が多かったですね。今は特に勢いがあります。もちろんテンタグラフ搭載モデルであることは皆さんご存じなのですが、評価されているのは、これまで堅いイメージの強かったグランドセイコーが見せた“遊び”の部分です。長年堅実な時計づくりを続け、信頼を築き上げてきたぶん、グランドセイコーは“いいブランド”であるという認識がすでにある。だからこそ、今回のトウキョウライオンでは思い切ったデザインに踏み込めたのだと思います。ダイヤルやケースの仕上げには高い技術がしっかり込められており、これまで培ったものを集約しつつ、新しい一歩を踏み出したモデルとなっています。そのため、従来からグランドセイコーをよく知るお客様にこそ見ていただきたいですね」
グランドセイコー スポーツコレクション トウキョウライオン テンタグラフ SLGC009
231万円(税込)
直径43mm、厚さ15.6mm。ブリリアントハードチタン製ケース、ラバーストラップ。20気圧防水。Cal.9SC5搭載、約72時間パワーリザーブ(クロノグラフ作動時)、3万6000振動/時、60石。
ここまで代表的なモデルを題材として本田さんに話を聞くなかで、店舗を訪れる顧客のニーズを的確に理解し、ブランドの魅力をより深く伝えたいと願うISHIDA新宿の誠実な姿勢が浮かび上がってきた。そしてその思いは、ブランドに特化したイベントの実施という形にも表れている。
「ISHIDAではおそらく、他店よりも頻繁にイベントを行っています。グランドセイコーでも、8月1日のサロンオープンを記念してイベントを開催しました。本場スイスブランドさえも唸らせるほどのグランドセイコーのストイックなこだわりをお客様に直接伝えたいと考え、SLGB003の製造に携わった方やデザイナーをお招きしてお話しいただいたのです。大きくサイズダウンした新型ムーブメントの開発秘話や、新たにブレスレットのクラスプに搭載された微調整機構などが主なテーマでした」
そのなかでも、微調整機構について本田さんは話を続ける。「アジャスターは各社がパテントを取り合う、競争の激しい部品です。『少し伸びるだけでしょう』と思われる方もいるかもしれませんが、実は多くの工夫が詰まっています。特にセイコーが重視したのは快適かつ瞬時に調整でき、なおかつ長く愛用できる強度を実現することです。心地よく使ってもらうことにも配慮した、日本的な視点ですね。このように細部まで理想を追い求める姿勢があるからこそ、私たちは心からお客様におすすめできます。こうした“見えない美学”はリリースには書かれません。だからこそ、店頭で発信することに意味があると考えています」
最後に、本田さんはグランドセイコーという時計について以下のように締め括った。
「メンテナンスで来店された方とお話ししていて感じるのは、グランドセイコーは“使うほどに好きになる時計”だということです。エボリューション9を例に挙げると、重心を下げた設計や22mm幅のブレスレット、実測170g前後の軽さなど、見た目のデザインだけでなく装着感への配慮が徹底されています。先ほど触れたように、まずは文字盤を含む外装の美しさに惹かれて手に取られる方が多いのですが、実際に使い込むなかで新たな魅力を再発見できるブランドだと思います。そこからスポーツモデルやクォーツへと興味が広がり、グランドセイコーを続けて2〜3本所有されるお客様も少なくありません。ISHIDA新宿、そして新設されたグランドセイコーサロンは、これからブランドに触れてみたいという方にとって入りやすく、すでにお持ちの方にも新しい発見がある場所になっています。私たちもお客様に楽しんでいただけるよう、これからもブランドの世界観を伝え続けていきます」
【ISHIDA 新宿 グランドセイコーサロン】
■住所:東京都新宿区新宿3-17-12
■TEL:03-5360-6800
■営業:平日12:00~20:00/土日祝11:00〜20:00 ※無休
詳細は、ISHIDA公式サイトへ。
Photographs by Cedric Diradourian
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