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Auctions ファレル・ウィリアムスによる“ジュピター”が初の時計専門オークション「The Art Of Time」を開催

カスタムオーダーのカルティエや、ほかに類を見ないヴィンテージピースを中心に、ジュピターのキュレーションによる時計オークションは明確な視点を打ち出している。

2022年にファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が“ジュピター(JOOPITER)”を立ち上げた際、その最初のオークションは自身の個人的なアーカイブに基づくものだった。スニーカー、アパレル、ジュエリーに加え、注目に値する数点の時計も出品された。たとえば、スケルトンダイヤルを備えたプラチナ製のオーデマ ピゲ ロイヤル オークのパーペチュアルカレンダーモデルなどだ。当初から、ジュピターは従来のオークションハウスを模倣するものではなく、独自の道を歩もうとしていることは明白であった。

 “The Art of Time: Rare and Coveted Watches(時の芸術:希少で魅力的な時計たち)”と題されたこのプラットフォーム初の時計オークションは、現在のコレクターの嗜好と、これから数年先の潮流を見据えた27点のキュレーションピースによって構成されている。これを“流行”と呼びたければ、そう呼んでもいい。コンプリケーションを備えたヴィンテージのパテックや定番のロレックス スポーツモデル、そして一部の独立系ブランドの作品が並ぶ従来のオークションカタログとは一線を画しながら、ジュピターのオークションにはフィリップス、クリスティーズ、サザビーズといったメジャーオークションと近しいブランドも多数登場する。ただしその実情を見てみると、意外性に富んだリファレンスやバリエーションが随所にちりばめられている。

 市場で人気の定番モデルや“安全パイ”を集めたオークションではない。ここにポール・ニューマン デイトナやノーチラス Ref.5711は登場しない。その代わりに“The Art of Time”が提示するのは、より本質的な問いを投げかけてくるような時計たちだ。果たして、現代における“希少性”とはどのようなものか? 機能よりも造形を重視する価値観はどこまで許容されるのか? そして、時計を現代アートや家具のように“蒐集”するというアプローチに、どんな可能性があるのか?

 出品された多くの時計は、ファレル自身が過去に所有したり推してきたスタイルと親和性が高いようだ。数年前、彼のコレクションを紹介した記事でも触れたように、彼は2000年代初頭の時点ですでにスケルトンダイヤルのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーやコンセプトモデルを着用していた。これらのリファレンスが一般的な時計ファンのあいだで感心を集め始めたのは、ここ最近のことにすぎない。ファレルの審美眼は常に、定番よりも実験的な方向へと向いてきたのだ。

  The Art of Time: Rare and Coveted Watchesは、7月29日(火)まで、joopiter.comにて開催中。以下に、カタログのなかから注目すべき数点を紹介する。


現代のキーピースたち
カルティエ タンク サントレ Ref.WGTA0090(NSO)

 NSO(ニュー・スペシャル・オーダー)プログラムを通じて製作された、カスタム仕様のカルティエ。イエローゴールド製ケースに、通常モデルとは異なるブルーダイヤルとブレゲ数字のインデックスを組み合わせた1本で、定番のサントレとは一線を画す、洗練された個性が光る。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン クロノグラフ Ref.26587TI

 クロノグラフ、トゥールビヨン、自動巻きをすべて備えた初のコンセプトモデル。

パテック フィリップ セレスティアル Ref.6104R-001

 ジュネーブの夜空を再現すべく、バゲットダイヤモンドをベゼルにセットしたローズゴールド製のグランドコンプリケーションモデル。


ヴィンテージ愛好家のために
パテック フィリップ カラトラバ Ref.484

 1931年に製造された本作は、広く知られるRef.96の登場(1932年)の前年のモデルで、現存が確認されているのはわずか2本のみ。ケース径29mm、フーデッドラグを備えたこの初期カラトラバは非常に薄型で珍しい意匠を持ち、パテック フィリップが腕時計という新しいジャンルに挑戦していた黎明期の実験精神を色濃く伝えている。

ビュッケジロ マキシ オーバル

 同時期に登場したカルティエのマキシ オーバルと同様、極めて希少な1本。ビュッケジロによる本作は、優れた価値を備えた選択肢といえる。


魅惑のストーンダイヤル
ロレックス デイデイト Ref.18366 プラチナ製 バゲットダイヤモンドベゼル ラピスラズリダイヤル

 プラチナケースにバゲットダイヤモンドベゼル、そしてラピスラズリダイヤルという組み合わせは、現存唯一とされる構成。

ピアジェ × カルティエ タンク Ref.9200 コーラルダイヤル インレイ(象嵌)ケース

  1980年代初頭に実現したピアジェとカルティエのコラボレーションモデル。コーラル(珊瑚)とオニキスによるインレイ(象嵌)装飾が施され、同素材のダイヤルを備えている。こちらも現存する唯一の個体とされている。

パテック フィリップ ゴンドーロ Ref.3733/1 オニキスダイヤル

 黒のオニキスダイヤルを備えた、ミニマルなレクタンギュラーケースが特徴のRef.3733/1。1970年代のパテック フィリップが打ち出していた意匠へのこだわりを象徴するモデルである。


私が選ぶ注目ロット
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア Ref.77151

 ケース径30mmの小振りなオフショア。鮮やかなオレンジのダイヤルを備え、1990年代後半から2000年代初頭にかけての美意識を見事に映し出したような1本。

フランク ミュラー 3本セット

 フランク ミュラーは今再び静かに注目を浴びつつある。なかでもクレイジーアワーズ トゥールビヨンを含むこの3本は、“時計界の異端児”が持つ魅力を余すところなく体現している。派手で、やや過剰なくらいの存在感がある時計。でも言わせて欲しい、完璧な時計も完璧な人もいないのだ。

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