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夏の暑い時期、そして初秋でも活躍してくれる腕時計5選【2025年】

記録的な猛暑で例年よりも活躍の機会が増えそうなサマーウォッチだが、今年も夏の暑い季節にぜひとも着けたい、そしておすすめしたい、とっておきの5本を紹介しよう。

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夏真っ只中。「まだ今年のサマーウォッチを手に入れてない!」と、焦っている人はいないだろうか? でも大丈夫。幸か不幸か、この暑さは9月以降も続き、本格的な涼しさが訪れるのは10月以降になると予想されているらしい。まだまだ体調管理に気を配らないといけない一方、暑い季節につけたくなる“サマーウォッチ”を着ける機会は、例年よりも多いことだろう。今からでも遅くはない、まだ2カ月近くも活躍してくれそうなのだから。

 HODINKEE Japanのエディターが夏におすすめしたい腕時計というテーマでおすすめの1本をセレクト。今回も各エディターの好みを反映したスタイルも機能もバラバラの5本が集まった。読者のあなたの好みに近いサマーウォッチはどれだろうか? なお、時計の選出にあたっては今年もひとつだけ条件を設けた。それは以下のとおりだ。


“10気圧(100m)以上の防水性能を持っていること”

 一般的に3気圧の防水性能があれば、日常生活用防水(JIS規格では1種防水時計に分類され、WATER RESISTANT、あるいはW.R.と表示することができる)を確保していると見なされる。これは汗や雨、洗顔をするときに付着する水滴に耐えられるということを示したもの。夏の暑い季節であっても、日常生活用防水を確保していれば大きな不都合はないが、時計を着けたまま食器を洗うといった水仕事をする際の着用は推奨されていない。もちろん入浴や水上でのスポーツ、素潜りなど強い水圧がかかる恐れのあるシーンでの使用はもってのほかだ。スキンダイビングやマリンスポーツの際でも安心して着けられる防水性能としては、10気圧以上の日常生活用強化防水が求められる。このクラスの防水性能があれば、水滴が付着した状態でリューズやボタン操作を行う(時計内に水が入り込む恐れがあるのでNG!)ような雑な扱いをしない限り、着けるうえで防水性がネックになることはまずないだろう。では、HODINKEE Japanのエディター陣が選んだおすすめのサマーウォッチをチェックしてみて欲しい。


キングセイコー VANAC
By Yu Sekiguchi

 この夏はすでに十分すぎるほどこのVANAC(バナック)という時計と過ごしてきた。6〜8月にかけていくつかのトークイベントを担当したほか、改めて世界的にキングセイコーというブランドのお披露目をセレブレートするため、タイに同行したほどだ(グローバルアンバサダーに就任した鈴木亮平さんへのインタビューも実施した)。シリーズとしては2022年に復活したキングセイコー(その前年に復刻モデルが登場)の3つめの柱として加わったVANACは、新たにスポーティテイストを強めて一体型ブレスレットを特徴としたコレクション。もちろん、本企画のテーマである10気圧防水を備えている。

 パープルやブラウンなど珍しいカラーリングの文字盤と41mm×14.3mm厚というケースは、小径化かつクラシック回帰というトレンドからは真逆なようだが、手首の上では不思議としっくり収まる。十分な装着性が、一見扱いづらそうに思えるサイジングとデザインに見事にバランスされていることがとても魅力的なのだ。

 VANACは1972年にオリジナルモデルが誕生したものの、本格的に製造されたのは1年間のみで1975年には廃盤になったとされている。カットガラスを特徴としたデザインは、ほかのセイコーウォッチでも引き続き見られたが、VANACはキングセイコーでのみ用いられたモデル名で、細部まで作り込まれていたことで、近しいデザインのほかのモデルとは一線を画していた。それゆえ、今回のVANACもオーバークオリティと言えるほどの出来栄え。特に樽型のケースは曲線を描く大きな鏡面が与えられ、三次元的ラインが見事に歪みなく磨かれている。ヘアラインとポリッシュで仕上げ分けられたケースは、1、5、7、10時位置で面の頂点が出会い、どの点も同じ高さと位置で完璧にそろえられた。機械工作をベースにしていると聞いたが、これは日本が世界に誇るエンジニアリングの賜物なのだ。

 なお、サイズに関しても触れないわけにはいかないのだが、41mm×14.3mm厚と聞いてアレルギー的に避けられるべき時計ではないことは断言する。100を超えるスケッチが描かれ入念にデザインされたVANACは、ラグ・トゥ・ラグが45.5mmとかなりコンパクトに設定され、コマのピッチも7mm程度と短くそろえることで装着性にとことんこだわった。ロレックスのオイスターブレスが9mmほどのピッチだから、想像してもらうと腕に沿う様子を浮かべてもらえるはずだ(厚みが全然違うが、ブルガリのオクト フィニッシモに近しい発想を感じる)。もちろん、192gとSS製ブレスレットウォッチとしては重量級だから軽快に着けられるとは言わないが、存在感のある時計としては納得できる着用感になっている。

 おまけに、というかセイコー好きなら最も唸るポイントかもしれないが、このVANACには8L系のムーブメントが搭載されている。CAl.8L45は日差+10〜-5秒、パワーリザーブ約72時間で35石という高品位なキャリバーで、セイコーブランドとしてハイエンドに位置するものだ。僕はこの8L系の巻き心地が本当に好きで、愛用するSBEX009の魅力の半分はそこにあると思っている。セイコーにとって特別な時計にしか使われない8L系が、VANACに搭載されたというのは見逃せない事実だと伝えておきたい(それでいてお値段はなんと40万円を切る!)。

 やはりいつも天邪鬼なセレクトしかできないものだなあとつくづく思うが、夏だから小ぶりな時計を快適に着けたいという欲求に逆うように、まだ自分だけしか知らないかもしれない時計に引かれてしまう。手元が露出されるこの時期だからこそ、よくできた大ぶりの時計をあえて選びたい。

価格: 39万6000円(税込) その他の詳細は、キングセイコー公式サイト


ハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカ
By Kyosuke Sato

 昨年、筆者はIWCのインヂュニア・オートマティック 40 Ref.IW328904(チタン)を夏におすすめの時計として紹介した。その理由としてチタンという素材が汗に強いこと、そして軽量であることを挙げたが、2025年も基本的にはそうした時計がいいと思っている。なかでも特にサイズ感や重量というのは、自分のなかではとても重要なポイントだ。たくさん汗をかく夏に重たく大きく、暑苦しさを感じさせるような時計を着けるというのはどうにも苦痛だからだ。そんな夏でも快適に着けられそうな時計として今年おすすめしたいのは、ハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカである。いや、人におすすめしたいというよりも、個人的にいま最も購入するか否かを悩んでいる時計というほうが正確かもしれない。

 本作は、ハミルトンが1973年に英国軍のために製造したミリタリーウォッチをイメージして復刻したモデルで、オリジナルは陸・海・空の各軍に支給され、陸軍ではW10、海軍では0552、空軍では6BBとコードナンバーは異なるものの、基本的にはすべて同じものを使用した。スティールの塊をくり貫いて成形したワンピースケースに、防水型のテンション風防で防水性を高めたオリジナルの構造とは少し異なるが、復刻版となるカーキ パイロット パイオニア メカも堅牢な仕様。本企画の条件である10気圧の防水性能をしっかりと確保している。

 堅牢なのはもちろんだが、本作の気に入っているところはサイズと重量感だ。縦36mm、横33mmとかなり小ぶりで、SSケースにテキスタイルストラップの組み合わせのため、重さは57gほどしかない。この重量感に貢献しているポイントとしてはもうひとつ、手巻きムーブメントを採用していることが挙げられる。搭載するCal.H-50は80時間のパワーリザーブを備えており、この長いパワーリザーブも気に入っている点だ。

こちらはハミルトンのカーキ フィールド メカ。サイズは38mmと42mmがあり、ダイヤルヤルバリエーションもいくつか投入されているが、好みはやはりブラックダイヤルの38mmだ。

 そしてもうひとつ選ぶポイントとなったのが、バンブーブレスレットが合う時計という条件だ。バンブーブレスレットは、かつてイギリス空軍にも制式採用された歴史を誇る由緒正しきブレスレット。縦長のO型リングと板状のスティールパーツを折り曲げて繋げたもので、これにより長さを自在に、かつ簡単に調整ができるというメリットを持つ。加えて、なんといってもブレスレットでありながら薄く、隙間も大きいため、一般的なブレスレットよりも通気性がよく夏でも着けるのが苦にならないというのが魅力だ。もともとミリタリーウォッチにも装着されていたものなので、その復刻版であるカーキ パイロット パイオニア メカにはぴったりだ。直接的に本作と関係があるわけではないものの、この点も気に入った理由である。

 “購入するか否かを悩んでいる”と書き記したが、実はもうひとつ気になっている時計がある。同じくハミルトンのカーキ フィールド メカ 38mmだ。カーキ パイロット パイオニア メカと同様、このモデルも1960年代にハミルトンが製造していたミリタリーウォッチ(GG-W-113)を復刻したもの。搭載ムーブメントはカーキ パイロット パイオニア メカと同じで、性能的にはほぼ同じだ。サイズは38mmと少し大きいが、40mmを切る好みのサイズ感。どちらかといえば、カーキ フィールド メカ 38mmのデザインのほうが好みだ。ただ、残念なことにこちらは5気圧防水なのである。条件的にはカーキ パイロット パイオニア メカを選ぶべきなのだが、サイズ感やデザイン的にはカーキ フィールド メカ 38mmのほうが好み。本当に悩ましいのだが、近々どちらの時計を購入するか決めるつもりだ。

軍用時計をメインに扱うヴィンテージウォッチショップ、キュリオスキュリオが監修した“ボンクリップスタイル”のバンブーブレスレット。時計よりも先に手に入れてしまったため、もはやこれに合う時計の購入は不可避である。Photograph Courtesy Curious Curio

価格: 12万9800円(税込) その他の詳細は、ハミルトン公式サイト


シチズン プロマスター ダイバー200m アクアランド 40周年記念限定モデル
By Yusuke Mutagami

Photograph by Kosei Otoyoshi

 サマーウォッチについての話が挙がってきた時、真っ先にこの時計が頭に浮かんだ。マーク・カウズラリッチも紹介記事で熱く愛を語っていたプロマスター アクアランド、その40周年記念モデルだ。アクアランドは1985年、ダイバーの装備が機械式のダイバーズウォッチから切り替わっていく過渡期に登場した時計だ。その直後にスント、ウワテックといったメーカーが本格的なダイブコンピューターを市場に投入したことで、ダイバーの装備品としてのダイバーズウォッチは90年代にかけて次第に役目を終えていくことになる(詳細なストーリーは、ジェイソン・ヒートンによる2019年の記事を参照)。まさにダイバーズウォッチの最後の世代とも言える、カルト的な人気を持つモデルなのである。

Photograph by Kosei Otoyoshi

 アクアランドは90年代初頭に発表されたJP2000を境に、よりハイテクで多機能を体現したようなルックスへと進化を遂げていくが、レトロダイバーズを愛する層からはやはり9時位置に水深センサーが大きく張り出した旧デザイン(“Pingo”の愛称で呼ばれている)に根強い人気がある。実は2024年にPingoデザインがダイヤル全面夜光で復活を遂げていたようなのだが、残念ながら日本での展開はなかった。僕もマークの記事でその存在を知ったひとりだ。

 しかしうれしいことに、世界限定5800本と限られてはいるが40周年記念モデルは日本でも展開されている。この記事のためにサンプル機を借りてきて手首に載せてみたが、ケース径に対してラグが短いため、ご覧のとおり収まりもいい。アクアランド C026を彷彿とさせる、要所要所で取り入れられたゴールドのアクセントも、決して華美になりすぎない絶妙なバランスだ。

 あえて気になる点を挙げるなら、C026同様のチタン製ではないという点だろうか。だが、グレーマット仕上げのスティールは見た目にもツールウォッチとして非常に雰囲気がある。ダイバーズウォッチとしてのスペックはすでに折り紙付きだ。次Pingoが日本で発売されるのがいつになるかを考えると、今のうちに夏を口実にして手に入れるべきなのかもしれない。

価格: 8万2500円(税込) その他の詳細は、シチズン公式サイト

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ブランパン フィフティ ファゾムス 38mm
By Masaharu Wada

 2025年の夏に着けたい時計は何だろうと考えた時、真っ先に頭に浮かんだのはブランパンのフィフティ ファゾムス。なぜなら今年は、モダンなフィフティ ファゾムスとしては初めてとなる38mmという、これまでで最も小径のサイズが加わったからです。これでラインナップは45mm、42mm、そして38mmの3モデルがそろうことになりました。

 1953年に誕生したフィフティ ファゾムスは、ロック可能な回転ベゼルや高い防水性能、夜光塗料を施したダイヤルなど、当時としては画期的なスペックを備えていました。これらの特徴によって、現在のダイバーズウォッチの原点のひとつとなったモデルです。

 現行モデルは、当時のモデルに採用されていたボンベベゼル(膨らみのあるベゼル)を、アクリルではなくサファイアクリスタルで再現していることなどから、高級感があり、ラグジュアリーダイバーズウォッチとしての存在感を放っています。特に、フィフティ ファゾムスの70周年のタイミングでカンヌを訪れ、その歴史や魅力を間近に感じた僕にとっては、このモデルへの愛着や憧れは一層強いものがあります。

 とはいえ、これまで一貫して大型ケースで展開されており、数年に1度だけ40.3mmの限定モデルが登場する程度でした。2024年にはついに42mmモデルが加わったものの、昨今の小径トレンドからすれば40mmを下回らないサイズは比較的大きめに分類されます。そこに、今年ついに38mmモデルが仲間入りしたのです。

 ダイバーズウォッチである以上、本来の用途を考えれば45mmサイズももちろん魅力的です。しかし、僕のように手首が細め(約15.5cm)で、海に潜る機会が年にそう何度もない人間にとっては、今回の38mm追加は本当にうれしいニュースです。

 夏の時計にダイバーズウォッチを選ぶのは、もしかすると定番すぎる選択かもしれません。ですが、このアイコン的なモデルを、自分の手首にしっくりと収まるサイズで着けられることは、やはり大きな魅力です。さらに、夏のさまざまなアクティビティにも難なく対応できるこの時計を、自分の腕で存分に楽しみたいと思います。あとは、僕の懐事情さえ整えば完璧です!

価格: 233万2000円(税込)〜 その他の詳細は、ブランパン公式サイトへ。


ティファニー アトラス ウォッチ 29mm
By Yuki Matsumoto

 年々厳しさを増す日本の夏は、都心でも40℃に迫る日が出てきている。ここまで暑いと、暑さ対策というより“この太陽、何かに使えないか”とさえ思えてくる。そこで2025年のサマーウォッチにはソーラーモデルを選んだ。とはいえ私のような細腕で違和感なく着けられるのは、だいたい33mmまで。そこからさらに、ソーラー駆動と10気圧防水という条件を加えると、選択肢はほとんど残されない。

 そんななかで見つけたのが、ティファニーがこの7月に発表したアトラス ウォッチの29mmモデル。サイズは29mm、34mm、38mmの3展開で、最小サイズの29mmはまさに理想的なサイズ感。しかも搭載されているのは、ラ・ジュー・ペレ社製のソーラームーブメント。同社はラ・ショー・ド・フォンを拠点とするスイスのムーブメントメーカーで、ETAの改良キャリバーから複雑機構までを自社で手がけてきている。精度や仕上げにも定評があり、リシャール・ミルやカルティエにもムーブメントを提供してきた実績がある。

 ティファニーといえば、やはりジュエリーの印象が強い。時計を手がけていることはHODINKEE読者ならご存じだろうが、メゾン全体のなかでは長らく主力アイテムとは言いがたい存在だった。だが1847年には時計の販売を開始し、1874年にはジュネーブに自社工房を構えるなど、早くから時計製造の歴史を積み重ねている。2021年にLVMHグループに加わってからは時計分野への注力も本格的に進み、2025年にはブランド初となるソーラームーブメント搭載モデル、ロープ バイ ティファニーをリリース。今回のアトラス ウォッチはその流れにある1本というわけだ。このアトラス ウォッチをきっかけに、ティファニーの時計づくりに対する姿勢に興味が湧いた。これからどう進化していくのか、個人的に楽しみにしている。

 というわけで、今年の1本はアトラス ウォッチ 29mmをおすすめしたい。ティファニー ブルーのカラーが爽やかなのに加え、ソーラー駆動、10気圧防水というスペックも申し分ない。そして搭載されるソーラームーブメントは、晴天時であれば2分、室内の照明でも4時間で1日分の動力を蓄えられるという優れもの。フル充電なら8カ月も動き続ける。真夏の太陽に照らされても充電して力に変えてくれ、この季節にぴったりのパートナーになってくれるだろう。

価格: 54万4500円(税込) その他の詳細は、ティファニー公式サイト