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Business News セイコーがパワーデザインプロジェクト 2026 こだわりすぎた腕時計展を3月29日(日)まで開催

「パワーデザインプロジェクト 2026 こだわりすぎた腕時計展」は、セイコーウオッチが南青山で開催する展示イベントだ。2022年の復活後4回目となる今回は、腕時計の細かな要素を掘り下げた7つのモデルが紹介される。

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セイコーウオッチが、南青山のLIGHT BOX STUDIOにて「パワーデザインプロジェクト 2026 こだわりすぎた腕時計展」を開催している。会期は2026年3月14日(土)から29日(日)までで、入場料は無料。Seiko Seedの一環として行われる今回の展示では、同社のデザイナーたちが腕時計のなかにある細かな要素へ目を向け、7つのユニークなコンセプトウォッチとして提案している。

 もともとパワーデザインプロジェクトは、セイコーウオッチのデザイナーが日常業務とは異なるスタイルで、ブランドの未来や時計の可能性を考えるために続けてきた社内プロジェクトだ。2001年から2009年まで続き、2022年にはREBIRTHをテーマに掲げ13年ぶりに復活した。そこから2024年、2025年は専用すぎる腕時計展として展開されてきたが、今年は誰のための時計かという発想から少し視点をずらし、“時計のどこにそんなに引かれるのか”を見せる会になっている。


7つのテーマ=時計の製作時や細かなディテール

photos by Seiko

 今回のテーマは、腕時計への偏愛の新しい表現。セイコーは、腕時計には無数のこだわりが詰まっているという考えのもと、その独特な要素をひとつずつ抽出し、深く掘り下げたという。言い換えるなら、時計全体のスタイルを語る展示というより、ふだんなら脇役に見える部分をあえて主役にした展示で、その7つとは、切削痕、球面、手巻き、型打ち、棒略字、曜日表示、手針である。

切削痕

切削痕にこだわった時計。

 まず切削痕モデルから説明していこう。これは金属を削ったときに表面に残る細かな痕跡そのものを、時計の見どころへと変えた1本だ。ふつうであれば、こうした痕跡は仕上げの工程で整えられ、できるだけ目立たないように扱われることが多い。だがこの時計では、通常は別パーツとしてつくられるケースとダイヤルをひとつの金属ブロックから同時に削り出すことで、切削の跡がそのまま時計の表情になるよう設計されている。さらにインデックスやロゴにも切削加工を用い、段差を大きくとった階段状の造形をリューズやミドルケース、裏蓋にまで広げることで、加工の痕を工程の名残として消すのではなく、あえてデザインとして見せている。

球面

球面にこだわった時計。

 次に球面モデルだ。その名のとおり、球の表面のようななめらかな曲面に強くフォーカスした時計である。ガラスだけでなくベゼル、ケース、プロテクターまで含めた4層すべてを同じカーブ率でそろえ、時計全体でひとつの球面をつくりあげようとしている。そのため、一般的な時計にあるリューズの出っ張りやラグも極力排し、さらにリューズを真ん中に配置することで、横から見たときのシルエットまで整えている。表側だけでなく裏面も同様の球面構成になっており、時間を確認するための道具であると同時に、周囲の光や景色を映し込む小さな立体物のようにも見えてくる。球面を形状として使うだけでなく、それが映し出す世界の美しさまで含めてデザインしようとしているところに、この時計のこだわりが見えるのだ。

手巻き

手巻きにこだわった時計。

 手巻きというモデルは、機械式時計の基本動作である巻くという行為そのものを、もっとはっきり感じられるかたちへ置き換えている。基本の操作自体は通常の時計と変わらない。ただ、このモデルでは引き出した歯車状のリューズがベゼルと噛み合うため、ベゼルを回すとリューズも一緒に回る。つまり、ベゼルそのものでゼンマイを巻き上げるのではなく、ベゼルを介してリューズを回す仕組みになっているのだ。ベゼルを操作するといま自分がこの時計に力を与えている、という感覚がより強く伝わる仕組みだ。ダイヤル上では針の配置を少しオフセットし、9時位置にパワーリザーブ表示を備えることで、ゼンマイが巻き上がっていく様子を視覚的にも楽しめるようにもしている。

型打ち

型打ちにこだわった時計。

 型打ちモデルは、文字盤の表面に型を押し当てて細かな凹凸模様をつくる加工に目を向けた。模様の深さはおよそ100分の1mm単位で調整されていて、そのわずかな差が文字盤の表情や光の出方を大きく変えていく。今回は、社内でアラベスクパターンと呼ばれる幾何学的な連続模様をモチーフに、日本の四季の情景を文字盤のなかで表現した。テーマは生々流転で、12時から3時にかけては春の川のきらめき、3時から6時は夏の日差し、6時から9時は秋の星空、9時から12時は冬の雪を思わせる構成になっている。円周状に配された12種類の花も印象的で、その花弁は数字でできており、しかもベースになっているのは1924年に初めてセイコーの名を冠して発売された腕時計の数字だという。

棒略字

棒略字にこだわった時計。

 次に、時刻を読むための棒状のインデックスそのものを主役にした時計、棒略字(インデックス)モデルだ。文字盤のなかでも脇役的なパーツだが、この時計ではその棒略字をあえて前面に出し、ダイヤルいっぱいに敷き詰めることで、光り方や反射の違いを楽しめるようにしている。使われているパーツは23種類、数にすると37本にのぼり、角度を少し変えるだけでも明るい面と暗い面がぱっと入れ替わる。その変化があるから見ていて単調にならない。さらに光の反射によって針の裏側が棒略字に映り込み、針裏に配された赤がふっと現れるバージョンもある。

曜日表示

曜日表示にこだわった時計。

 曜日表示モデルは、ひと目見ただけではどう読めばいいのか少し不思議に感じる。ベースになっているのは昔ながらの日付表示の仕組みで、文字盤の下に入った曜車と呼ばれる円盤が少しずつ動き、小窓の曜日を切り替えていく。そこにこの時計ならではの遊び心として、今日の曜日を日英表示で見せるだけでなく、明日の曜日まで表示するつくりが加えられている。また窓まわりやアラビア数字には空色の陰影が入れられていて、見た目にも少しトリックアートのような立体感がある。仕組みのおもしろさだけでなく、毎日がいい日になりますようにという思いまで文字盤に記されているところも、このモデルの印象を強くしている。

手針

手針にこだわった時計。

 最後に手針モデルだ。こちらは針の形をキャラクターの手や足、しっぽに見立てた時計で、今回使われているのは過去の展覧会にも登場したオリジナルキャラクターのテンちゃんだ。秒針が手、分針が足、時針がしっぽの役割を担っていて、時間が進むにつれてポーズが変わり、文字盤の上でキャラクターが動いているように見える。おもしろいのは、ただキャラクターを載せるのではなく、針そのものを曲げて立体感を出しているところで、重なり方や隙間の取り方、ガラス越しの見え方、そして時間の読みやすさまで含めて細かく調整されている。裏蓋には足跡も刻印されており、その奥にはキャラクターの着想源でもある機械式ムーブメントのテンプがのぞく。


7つのこだわりが並ぶ展示は3月29日(日)まで

 再度のアナウンスであるが、南青山のLIGHT BOX STUDIOで開催する「パワーデザインプロジェクト 2026 こだわりすぎた腕時計展」は、2022年に復活したパワーデザインプロジェクトとしては4回目にあたる展示だ。会期は3月14日(土)から29日(日)まで。切削痕、球面、手巻き、型打ち、棒略字、曜日表示、手針という7つのテーマから、時計の細かな要素を掘り下げたモデルが並ぶ。会場では実際に手に取って楽しむことができ、入場は無料。

 会場では時計を実際に手に取ることができるが、販売は行われない。とはいえ今回の展示は、過去開催された専用すぎる腕時計展よりもさらに別のおもしろさがある。切削痕や球面、型打ちのように見た目や仕上げに目を向けた時計もあれば、手巻きや曜日表示のように、使うときの感覚や気分まで含めて考えられた時計もある。そして棒略字や手針のように、ふだんならあまり主役にならない部分を前に出したモデルも含めて見ていくと、どのモデルも腕時計のどこにそんなに引かれるのかというのが伝わってくる。7本をとおして見えてくるのは、腕時計が小さなプロダクトでありながら、驚くほど細かな視点の積み重ねで成り立っているということだった。

会場の2階には、こだわりすぎた腕時計展 特別展示も用意。1969年製のセイコー U.T.D(薄さへのこだわりを追求した時計)や、1965年製のセイコー マチック ウィークデーター(デイデイトへのこだわりを詰め込んだ時計)といったヴィンテージモデルも並んでいた。

ダイヤルやケース、ベゼルといった時計パーツ・関連用語が書かれたカラー扉が。扉を開けると、それぞれの用語についての説明を読むことができる。

パワーデザインプロジェクト 2026 こだわりすぎた腕時計展

  • 開催期間: 2026年3月14日(土)~3月29日(日)
  • 開催場所: LIGHT BOX STUDIO(東京都港区南青山5-16-7)
  • 時間: 11:00~20:00(最終入場19:45)、会期中無休
  • 入場料: 無料

記載のない画像はすべて、Photos by Yuki Matsumoto