ADVERTISEMENT
我々が知っていること
今年、MB&Fは大きな節目を迎える。20年にわたる、マックス・ブッサー(Max Busser)氏とその友人らによる奇想天外なクリエイティビティと高度なウォッチメイキング。これは決して容易なことではないが、今年すでに数多くの新作が登場している。
そのなかで、LM101は愛すべきコレクションであり続けてきた。オロロジカル・マシンやレガシー・マシンのラインに見られる狂気的なデザインや複雑機構のなかで、MB&Fにこの言葉を用いることができるなら、LM101は常にシンプルさの息吹を与える存在だった。ゆえにこのブランドのアイコンが、新たにEVO仕様をまとい、20周年記念 LM101 EVO エディションとしてフレッシュでよりスポーティな姿に生まれ変わることは驚くべきことではない。
劇的にドーム状に膨らんだクリスタル風防の下、中央に鎮座するのはフライングバランスホイールとフローティングエスケープメント。これに、時刻とパワーリザーブを表示する小さなインダイヤルが組み合わさることで、機械式時計を成り立たせる基本、すなわち101が表現されている。もちろん、簡素なのはあくまでコンセプトだけで、自社製キャリバーの実装は決して単純ではない。通常のLM101がクラシックなウォッチデザインと、モダンな表現を融合させているのに対し、EVOシリーズはダイヤルにおいて徹底的に現代性を追求し、さらに現代的な着用習慣にも順応している。具体的には防水性能を80mに高め、ねじ込み式リューズを採用、そして40mmのチタンケースに流れるようなラグデザインを組み合わせ、アクティブな用途を想定したラバーストラップを備える。さらに、ムーブメントとケースのあいだにはブランド独自の特許技術、フレックスリング耐震機構を搭載し、着用時の保護性能を強化している。
LM101 EVO エディションは、いずれもCVDコーティングによって実現した鮮やかなピーコックグリーンと、オレンジがかったサーモンという2色のダイヤルカラーバリエーションを展開。新色に加え、LM101の多くの要素がEVO的な美学で再設計されている。最も目立つのは、ブラック仕上げの時刻表示とパワーリザーブ表示のインダイヤルだ。パワーリザーブは45時間から60時間へ延長され、先端に夜光を施した矢印型の針を組み合わせており、さらにバランスホイールを支えるオーバーサイズのアーチは角を落として柔らかく流れるようなフォルムとなり、鋭いエッジは姿を消した。加えて、エスケープメントホイールはMB&Fのバトルアックスモチーフを取り入れ、スケルトン化。アンクル受けもより角張ったブリッジに刷新されている。これらのデザイン要素は、間違いなくMB&F流のスペースエイジ的なスポーティさの具現化であり、新作を従来のクラシックなLM101とは一線を画す存在であることを明確にしている。
変更されていないのはキャリバーだ。パワーリザーブの延長と、それを囲む新しいフレックスリングを除けば従来どおりである。2014年に発表されたCal.LM101は、ブランド初の自社製キャリバーであり、伝説的時計師カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏と共同で設計された。そのため、ケースバックからは大ぶりで優雅に広がるブリッジ、ゴールドシャトン、そして幅広のジュネーブストライプが変わらず確認できる。クラシカルな時計仕上げへのこのオマージュこそが、“レガシー・マシン”における“レガシー”の由来だ。フライングバランスホイールは引き続きモーザー製のシュトラウマン・ダブル・ヘアスプリングを用い、1万8000振動/時(2.5Hz)の穏やかな鼓動を刻んでいる。
MB&F LM101 EVO エディションの価格は6万2000スイスフラン(日本円で約1145万円)。リミテッドエディションではないが、MB&Fの生産能力には限りがあるため生産数は限定される。
我々の考え
LM101は、私にとってこれまでで最も好きな時計のひとつであり、個人的なコレクションのなかでも特別な存在だ。だから、MB&FがEVOバージョンをデザインしていると耳にしたとき、思わず耳をそばだてた。幸運にも前回ジュネーブを訪れた際にいくつかの試作機をこっそり見る機会があり、正直に言えば、それは見事な仕上がりだと感じていた。革命的とまでは言えない。というのも、これまでのEVOシリーズに登場した多くのモチーフが、そのまま引き継がれているからだ。また、エスケープメントホイールに配されたあからさまなバトルアックスのモチーフは個人的にはあまり好みではないものの、全体として非常に優れた仕上がりであることを考えれば些細な指摘にすぎない。幸いなことにクラシックなLM101は、引き続きコレクションに残っているため、今回の新作はあくまで選択肢がひとつ加わったに過ぎない。
その姿は2022年のLM スプリット エスケープメント EVOにかなり似ているが、あちらは44mmとかなり大型のモデルであった。しかし最も日常使いしやすいMB&FラインといえるLM101のファンにとって、このLM101 EVOはLM101が得意としてきた役割を見事に果たしている。すなわち余計な装飾をあしらうことなく、コレクション全体を視覚的に魅力あるものとしている本質に焦点を当てる、という役割だ。
実物のCVDダイヤルはじつに魔法のようであり、特にグリーンダイヤルのバリエーションは驚きを与えてくれる。正直に言うとグリーンと呼ぶのは控えめすぎるかもしれない。というのも実際には、驚くほどさまざまな色彩を見せるからだ。室内照明の下ではブルーやティール、さらにはパープルのような色合いを帯び、屋外光では鮮やかなグリーンへと変化する。サーモンダイヤルも同じように興味深く、光の条件によってはより強烈なオレンジ色を放つ(養殖サーモンを思わせるような色合いと言えるだろう)。どちらのダイヤルカラーを選んだとしても、手首の上にディスコが舞い降りるような体験が待っている。
MB&Fの20周年に合わせてLM101 EVOを発表したのは、まさにふさわしい一手であり、このブランドが業界のなかでいかに独自のデザイン言語を切り拓いてきたかを改めて思い起こさせるものだ。年間の生産数は決して多くないため、このモデルを求めて多くのコレクターが殺到するだろうと予感している。
基本情報
ブランド: MB&F
モデル名: LM101 EVO
直径: 40mm
厚さ: 16.5mm
ケース素材: チタン
文字盤色: グリーンまたはサーモン
インデックス: エングレービング
夜光: あり
防水性能: 80m
ストラップ/ブレスレット: チタン製のデプロワイヤントクラスプ付きラバーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: LM101
機能: 時・分表示、パワーリザーブインジケーター、宙吊り式フライングバランスホイール
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時(2.5Hz)
石数: 23
クロノメーター認定: なし
追加情報: シュトラウマン・ダブル・ヘアスプリングを備えた特製14mmバランスホイール
価格&発売時期
価格: 6万2000スイスフラン(日本円で約1145万円)
発売時期: 発売中
限定: なし
詳しくはこちらをご覧ください。
話題の記事
No Pause. Just Progress GMW-BZ5000で行われた継承と進化
Introducing ゼニス デファイ エクストリーム クロマに新たなふたつの限定モデルが登場
Introducing ヴァシュロン・コンスタンタンが36.5mmの新型トラディショナル・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーを3本発表