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Hands-On タイメックス マーリン クォーツ GMTをハンズオン

時々、手堅い価格の手堅いGMTが欲しくなる。

タイメックスは毎年数多くの時計を製造してきた。そのため、毎月のように発表される膨大な数のリファレンスをすべて網羅するのは困難である。先月、いくつかの新作をざっと見ていたとき、あるモデルが目に留まった。それがマーリン クォーツ GMTだ。マーリンがここ数年、タイメックスのラインナップのなかで傑出した存在であったことは驚くことではない。多用途でありながらも興味をそそるケースデザイン、多くに見られるアール・デコからのインスピレーション、そして34mmの手巻きモデルは、私が知る多くの人々にとって機械式時計収集への入り口となることが多かった。そんなマーリンのシルエットに新しいGMTバージョンが登場したと知り、私はとても興味を引かれた。

Timex Marlin Quartz GMT Soldier
Timex Marlin Quartz GMT Case Side
Timex Marlin Quartz GMT Bracelet

 まず第一に、私がマリン クォーツ GMTに注目した理由はそのダイヤルだ。スチール(SS)ブレスレット仕様で229ドル(日本円で約3万4000円)という価格ながら、このモデルのダイヤルはきわめて見栄えがよい。この価格帯でサンレイ仕上げのダイヤルを美しく見せるのは簡単ではない。安っぽく、粗雑に見えがちだが、このブルーダイヤルのサンバースト仕上げは繊細で心地よい。赤い先端のGMT針が指し示す24時間表示は明るいブルーとダークなブルーでプリントされ、ダイヤルの外周にはアワーマーカーとして立体的な蓄光ドットが配された、プリントのミニッツトラックを備えている。残念ながら秒針は外周のミニッツトラックにまったく届かず、短すぎると感じた。これは、人によっては購入をためらう原因になるかもしれない。

 時・分針は中央に黒いラインが入っており、ファセット加工された立体的なアワーインデックスと調和している。これは不要に思えるかもしれないが、このラインのおかげで、ほとんどの照明条件下で全体の視認性が格段に向上していると感じた。また、デザイン面では、このラインがストライプのない明るい赤色のGMT針やGMTの時刻と、主要な時刻表示とを区別する優れた方法となっている。3時位置にはタイメックスではおなじみの日付窓があり、この時計を購入するであろう大多数の人々(つまり時計マニアではない人々)にとって使いやすい仕様となっている。

Timex Marlin Quartz GMT Lying on Side
Timex Marlin Quartz GMT Macro of GMT Hand
Timex Marlin Quartz GMT Date Window

 この時計における主な妥協点は、GMT機能そのものにある。想像のとおり、これは“フライヤー”GMTではなく“コーラー”GMTであり、GMT針を単独で調整する仕組みだ。それはそれでよいのだが、妥協点は物理的な歯車の構造にある。ハイエンドなコーラーGMTではGMT針が1時間単位でカチッと動き、リューズを回すことで正しい時間になるまで1時間ずつ調整できることを期待するかもしれない。しかしマリン クォーツ GMTにはそのような仕組みはなく、どちらの方向にも自由に針を動かせるようになっている。これは基本的に、GMT針を好きな時刻に合わせることができ、必ずしも正確な時間の部分を指す必要がないことを意味する。ほとんどの人にとって、これは適切なGMT機能としては理想的とはいえない。メインの時刻を午前0時に設定してから時差に合わせてGMT針を調整しないかぎり、GMT針はわずかにずれてしまう可能性が高いのだ。

 しかしこのおかげで、インドのように30分単位のタイムゾーンに対応できる数少ないGMTウォッチのひとつとなるかもしれない。完璧なシステムではないが、ムーンスウォッチよりも安価な時計としては十分なものだろう。

Timex Marlin Quartz GMT Wrist shot

 全面に鏡面仕上げが施されたリサイクルSS製ケースは短いラグと、ベゼルとミドルケースを視覚的に分離する広いファセットを備えており、50mの防水性能を誇る。そして直径40mm、厚さ13mmと現代的なサイズ感だ。決して小さな時計ではないが、ラグのデザインがコンパクトなため私の細い手首にもよくなじんだ。ストラップに交換すればさらにつけ心地はよくなるだろう。このデザインには、サイン入りのリューズがあればよかったと思う。また、ドーム型のアクリル風防はヴィンテージデザインへの素敵なオマージュだが、現代の時計としては実用的な選択肢とはいえない。

 手首に着けたときのこのマーリン GMTは、価格に見合ったしっかりとしたつくりだと感じた。ポリッシュ仕上げのセンターリンクを備えたSS製の5連ブレスレットは快適だが、その品質は価格相応のものである。クラスプはしっかりとつくられており、刻印された部分はかなりスリムで微調整機能はない。ブレスレットはクイックリリース式で、頻繁にストラップ交換をする人には適している。退屈しない汎用性の高いデザインと、本来の目的にかなった視認性を備えたこのマリン クォーツ GMTはかなり優れたモデルといえよう。

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