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Three On Three セイコー プロスペックスよりリリースされたセイコーダイバーズ60周年記念限定モデルを、HODINKEE Japanがレコメンド

セイコー ダイバーズの60周年を祝うトリロジーを、3人の編集部員がそれぞれの目線から紹介する。

スリー・オン・スリーは、ひとつのテーマの下に3本の時計を比較レビューするシリーズです。

2025年は、セイコーが国産初のダイバーズウオッチを発表してから60周年にあたる節目の年である。これを記念し、今年3月にはセイコー プロスペックスよりアニバーサリーモデル3本が発表された。それぞれ1965年の“ファーストダイバー”、1968年のメカニカルハイビート(10振動)300m防水ダイバーズをデザインベースとしつつ、ダイヤルには共通ディテールとしてセイコー ダイバーズの象徴でもある“ウェーブマーク”をモチーフにした型打ちパターンあしらうことで周年モデルとしての雰囲気を高めている。

1965年に登場した国産初の150mダイバーズ、通称“ファーストダイバー”。

1968年登場の、国産初のメカニカルハイビート(10振動)300m空気潜水用防水ダイバーズ。

 3本の限定モデルはそれぞれ5月10日(土)、6月6日(金)、7月11日(金)に発売された。ひと夏を通して連続的に展開される、印象深いリリース構成であり、今回、HODINKEE Japanでは、価格帯やスペックが異なる3本のモデルを独自の視点からのレコメンドを実施。デザインや基本仕様の解説に加え、それぞれのモデルに対するインプレッションも交えながら、個々の魅力を多角的に掘り下げて紹介を試みた。


ダイバーズ 1965 ヘリテージ セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル SBDC213
By Kyosuke Sato
ファースト・インプレッション

 セイコーによる国産初のダイバーズウォッチ発表から60周年を記念した一連のモデルのなかで、トップを切って発売されたのが、このダイバーズ 1965 ヘリテージ セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル、SBDC213である。ベースは2024年にリリースされたダイバーズ 1965 ヘリテージシリーズ。デザインとスタイルこそ、1965年に誕生した“ファーストダイバー”に範を取ったいるが、ムーブメントには3日間(約72時間)パワーリザーブを備えたCal.6R55を搭載し、空気潜水用ダイバーズウォッチとしてはセイコーでも上位となる300mの防水性能を確保。そのスペックは現代の本格的なダイバーズウォッチにふさわしいものとなっている。

 印象的なのはやはりダイヤルだ。荒々しい海の情景を表現したという“ウェーブマーク”につい目を奪われがちだが、本モデルのダイヤルでは精緻な波模様の型打ちを施すとともにプレス加工でインデックスを立体的に一体成形している(本作の場合、ダイヤル表側からプレスして夜光を充填する部分と波模様をへこませている)。これは万が一、時計が強い衝撃を受けてもインデックスが外れることがないようにするための仕様で、本格的なダイバーズウォッチを見分けるひとつの指標でもある。余談だが、潜水用防水を示す“DIVER'S XXXm”表記を持つセイコー ダイバーズウオッチのダイヤルでは、手法はプレスとエンボスの両方があるものの、現行モデルに限っていえば、すべて一体成形インデックスを採用している。

 ダイヤル以外のディテールで注目すべきはクラスプであろう。ダイバーズ 1965 ヘリテージシリーズで新開発されたブレスレットは8mmの短いピッチのコマとすることで、腕のカーブに沿ってしなやかに可動するデザインを実現した。ここまでは2024年に登場したベースモデルにも言えるポイントだが、本作ではさらに新開発のクラスプも採用されている。

 これは着用した状態でクラスプを閉じたまま、サイドにあるボタンを両側から押すことで最大約15mmまで長さが簡単に伸縮できるというもの。約2.5mmずつ、6段階の調整幅で調整が可能だ。実はこの新開発クラスプは本モデルからの採用となる。公式サイトに掲載されているスペック表の中留(クラスプ)の項目を見てもらえるとわかるが、本作(SBDC213)ではワンプッシュダイバーアジャスター方式となっているのに対して、既存モデル(たとえばSBDC197)では、ワンプッシュダイバーエクステンダー方式(こちらは板状のパーツによる拡張機能)としてそれぞれ区別されている。

実際に着けてみて

 ダイバーズウォッチに代表されるように、機能性が重要なツールウォッチにおいてはやはり実用性を最優先したくなる筆者だが、まさかシルバーダイヤルを持つこの時計に最も引かれるとは自分でも思わなかった。暗い水中でもインデックスや針とのコントラストが高く読み取りやすくするため、光の反射を抑えるためなど、その理由はいくつかあるが、伝統的スタイルのダイバーズウォッチのダイヤルは光沢を抑えたマットな仕上げやブラックやネイビーなどの濃い色味が主流だ。対して、視認性も濃い色味と比べると決して高くはないため本作のようなシルバーダイヤルのダイバーズウォッチというのは歴史的にもそれほど多くはない。

 だが、着けてみて印象が一変した。定番のブラックダイヤルとはひと味違う、軽快さや清潔感がこのSBDC213にはあるのだ。時計で個性を演出するというようなことを求めているわけではないが、落ち着いた印象のシルバーダイヤル、そして洗練されたグレーカラーのベゼルには思わず目を引きつける魅力がある。加えて、時計単体で見ていたときにはクセが強そうに感じていたが、実際につけるとさまざまな装いやシーンで着けられそうな汎用性の高さが感じられた。

 唯一悩ましかったのは日付だ。現行のセイコー プロスペックでは共通して、日付表示の小窓が4時と5時のあいだにレイアウトされるようになった。このおかげでダイヤル12カ所すべてにインデックスを配置でき、よりシンメトリーなデザインを実現。日中の明るい環境下はもちろん、暗い状況下においてもルミブライトがしっかりと発光し、視認性の向上に貢献している。とはいえ、従来モデル(たとえばSBDC197の登場したこともあり、つい先日生産終了となったSBDC101)は3時位置に日付表示がレイアウトされており、個人的には見やすく気に入っていたのだ。ダイヤルのシンメトリーなデザインを取るか、日付の見やすさを取るか。実に悩ましくはあったが、それが吹き飛んでしまうほど本作のダイヤルは、筆者にとって魅力的なものに映った。

19万2500円(税込)、発売中。世界限定6000本(うち国内割り当て2000本)。
時計の詳細はセイコー公式サイトへ。


ダイバーズ 1968 ヘリテージ GMT セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル SBEJ027
By Masaharu Wada
ファースト・インプレッション

 今回の3モデルのなかで、時間表示以外の機能を備えているのがこのダイバーズ 1968 ヘリテージ GMT セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル SBEJ027です。モデル名にもあるとおり、GMT機能を備えた1本です。直径42mm、厚さ13.3mmのステンレススティール製ケースに、ブルーのセラミック製ベゼルを組み合わせ、ダイヤルには本限定モデル共通の“波”のパターンが型押しであしらわれています。

 深みのあるブルーをベースに荒々しい海のうねりを思わせる力強い波模様を採用。光の角度によって波頭部分が立体的に浮かび上がるような、ダイナミックな表情を見せてくれます。日付表示は4時半位置に配置されており、ダイヤルと同系色でまとめられているため、必要なときにはしっかり視認でき、普段は視界の邪魔にならない控えめな存在感となっています。

また、6時位置に記されたGMTの文字と呼応するように、24時間表示のGMT針には同じゴールドトーンがあしらわれています。視認性を確保しながらも、主張しすぎない絶妙な存在感が特徴です。

  ステンレススティール製のケースは直径42mmと、昨今の小径化トレンドから見るとやや大きめに感じられるかもしれませんが、むしろそのサイズ感がダイバーズウォッチとしての存在感や力強さを際立たせています。ケース全体はサテン仕上げを基調に、ラグの側面やベゼルのエッジ部分などに鏡面仕上げが組み合わされることで、陰影のコントラストと立体感が際立つデザインに仕上がっています。

 なお、ケースの厚さは従来のSBEJ009モデルと比較して0.4mm分厚くなっていますが、それに伴って防水性能も200mから300m空気潜水用防水へとアップしています。これは僕の推測ですが、国産ダイバーズウオッチ60周年に合わせて、ルーツとなっている1968年モデルと同じ防水性能にしたかったからなのではないかと思います。

 ブレスレットには、セイコー独自のワンプッシュダイバーアジャスター方式が採用されており、約2.5mm単位で6段階、最大約15mmもの調整が可能です。一般的なダイバーズウォッチのエクステンション機構が10mm未満の調整幅の物が多いことを考えると、この15mmという数字は際立っています。ダイビングのウェットスーツの上からの装着はもちろん、日常のわずかなフィット感の調整にも柔軟に対応してくれる実用性の高い仕様となっています。

 搭載されているムーブメントは、約72時間のパワーリザーブを誇るCal.6R54です。GMT機能は、GMT針を単独で前後に動かすことができるコーラーGMT仕様を採用しています(※このタイプのGMT機構については、別記事「一見すると同じように見えるGMTウォッチムーブメントが示す大きな違いとは」で詳しく解説しています)。自宅などの基準となるタイムゾーンの時刻を設定する際には簡便で扱いやすい一方、実際に現地時間へ調整する際には、いわゆる“フライヤーGMT”に比べてやや手間がかかるという面もあります。

 そのため、旅先で頻繁に現地時間へ切り替えたい方よりも、常時ふたつのタイムゾーンを確認したい方やリモートワーカー、国際的な取引が多いビジネスパーソンにより適した仕様といえるでしょう。

実際に着けてみて

 そもそも僕がこのモデルを選んだ理由は、複数の国や地域の時間を表示できるGMTやワールドタイムといった機構を備えた腕時計が大好きだから。ニューヨークやLAにいる同僚とのやりとりや、スイスの新作時計の情報解禁時間を把握するうえで、また、海外出張の機会が多い僕にとって、これらは非常に実用的なコンプリケーションのひとつです。

 そうしたトラベルコンプリケーションを搭載した時計の中で、個人的に特に相性が良いと感じているのが、このSBEJ027のような高い防水性能と堅牢な構造を備えたダイバーズウォッチとの組み合わせです。出張や旅先に身に着けて行く際、ベースが信頼性の高いダイバーズウォッチであれば、それだけで大きな安心感があります。

 この時計を試しているあいだ、僕は日本時間からニューヨークやジュネーブの時間に合わせてGMT機能を活用してみました。コーラーGMT仕様ということで、GMT針を独立して動かせるため、異なるタイムゾーンの設定は非常にスムーズです。もちろん、海外に渡航して現地時刻をメイン表示に切り替える際には、フライヤーGMT仕様に比べてやや手間がかかる部分もあります。それでも、一度セッティングを済ませてしまえば、その後はとくに不便を感じることもなく、信頼できる相棒のような存在になってくれます。

 そして、身に着けていてふとした瞬間に感じたのは、このモデルがまさに“高級感のあるダイバーズウォッチ”であるということです。ケースのサテン仕上げと鏡面仕上げ、深みのある色調と光沢を備えたブルーセラミック製ベゼル、ダイヤルとの調和がそう感じさせるのだと思います。

 ケース径はやや大きめに感じられるかもしれませんが、全長(ラグ・トゥ・ラグ)は48.6mmに抑えられており、僕の16cm弱の手首にも無理なく収まりました。ラグが飛び出してしまうような不格好さもなく、しっかりと腕にフィットしてくれる印象です。スティール製ケースにはずしりとした重みがありますが、バックル部分でのブレスレットの微調整が可能になっているため、少し緩めたいときやしっかり固定したいときなど、状況に応じてストレスなくフィット感を調整することができます。

 ダイバーズウォッチならではの高い堅牢性を持ったスペック、GMT針を独立して操作できるコーラーGMT機能、そして高級感のあるルック&フィール。これらの特徴を併せ持つ本モデルは、特に海外とのコミュニケーションが日常的にある人にとって、まさに理想的な一本と言えるのではないでしょうか。もちろん海外へ連れて行っても活躍してくれると思いますが、何よりもオン・オフ問わず頼れるパートナーになってくれるでしょう。

24万7500円(税込)、6月6日(金)発売予定。世界限定6000本(うち国内割り当て2000本)。
時計の詳細はセイコー公式サイトへ。


マリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル SBDX067
By _Yusuke Mutagami
ファースト・インプレッション

 マリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデルは、今回紹介する3本のなかでも随一のスペックとプライスを持つ時計だ。“プロフェッショナル”の名にふさわしく600mの飽和潜水用防水を備えており、同じくマリンマスター プロフェッショナルに属するSBBN047の1000m飽和潜水用防水に次ぐ防水性能を有している。フォルム自体はかつて販売されていたSBDX023に近しいが、直径で1.1mm、厚さで0.6mmの拡張が見られる。特にベゼルの幅や外周の刻み部分がグッと男らしくマッシブになった印象だが、わずかこれだけのサイズアップで600m飽和潜水用防水を実現している点は注目したい。

 ケース素材には硬質コーティングをかけた純チタンを採用。実は以前SBDX023を所有していたことがあったのだが、手に持ったときの重量は明確に異なる。サイズアップしたにも関わらずSBDX023からSBDX067では48gのダイエットに成功(174g)しており、数値だけを見ればずっと小柄な前述の1965 ヘリテージ SBDC197(168g)に近いものとなっている。

金属の重厚さが前面に出たルックスながら、手に取ると驚くほど軽い。

 前述した600mの飽和潜水用防水を叶えるために重要となってくるのが、セイコーダイバーズの上位モデルに見られるワンピース構造のケースだ。水深100mを超える深海へのダイブで用いられる“飽和潜水”という手法は、あらかじめチャンバーと呼ばれる部屋で時間をかけて加圧し、高圧化に体を慣らしてから潜水する。その際使用される呼吸ガスには酸素に加えてヘリウムが混合されているのだが、潜水後の減圧時、十分な時間をかけて体内の不活性ガスを抜かないと血中でガスが気泡となり、減圧症と呼ばれる症状(麻痺やしびれ、めまいなど)にみまわれることになる。そのときに身に着けている腕時計も同様で、内部に溜まったヘリウムを抜かなければ減圧時に内圧によって内側から破損してしまう。ヘリウムエスケープバルブなどはこのためについている機能だが、セイコーダイバーズにおいては「そもそもヘリウムを内部に侵入させない」という思い切った方法をとっているのだ。それを実現するのが裏蓋側に隙間を設けないワンピース構造であり、今作でも内部に採用されたL字パッキンとガラス抑えリングなのである。

 万が一だが内部にヘリウムガスが侵入してしまった際は、ガラス抑えリングとともに6時位置、12時位置に設けたブラックのメタルパーツがガラスやベゼルが吹き飛ばないよう押さえ込む役割を果たす。このパーツを固定するにあたっては目に触れない裏側からビス留めしているため、見た目のデザイン的にも主張が抑えられている。

ステンレススティールにDLCコーテイングを施したベゼルインサート。ベゼルと刻みも合わせられており、意外と異物感はない。

裏蓋にはお馴染みのウェーブマークを刻印。固定用のビスは目立たない裏側に配されている。

 さすがセイコーダイバーズ60周年のトリロジー、その最後を飾るモデルなだけあって仕様は本格的だ。3部作のうち2モデルは、前述のとおりワンプッシュで長さを調整可能な新開発の中留を採用している。しかし本作SBDX067に関しては、従来同様の機構が搭載された。ボタン式ではなく、バックルの爪を開け、外側に向けて少し力を入れて倒すことでロックが外れるワンプッシュダイバーアジャスター方式だ。これについては、水中での外的要因による誤作動を防ぐプロフェッショナルモデルならではの選択だと捉えている。

 ブレスレットは、サテンとポリッシュのコマを交互に配置した5連。45.4mmという大振りなケースに負けない、強い存在感を放っている。

写真ではバックルの爪部分を右手の親指で押し広げることでロックを解除し、アジャスターを伸ばしている。

 昨今、各ブランドで小径化が進むダイバーズウォッチだが、セイコー ダイバーズ60周年の大トリを飾るのは「セイコーがダイバーズウォッチを開発するなかで培った技術とノウハウを結集させた、ハイエンドなダイバーズウォッチ」であり、「より過酷で専門的なことに挑戦するプロフェッショナルダイバーの使用環境においても耐えうる仕様」を有するコレクションである。いたずらにサイズダウン&スペックダウンせず、国産ダイバーズの金字塔として最新技術を持ってさらなる高機能化を目指したのは、非常に意義深い。

実際に着けてみて

 セイコーダイバーズの歴史をまとめたブランドサイトを見に行くと、そこには“本物創り”という言葉が多用されている。「すべてはプロフェッショナルダイバーズのために」という考えのもと、深海に相棒として連れ出すことができるプロユースモデルと向き合ってきたセイコーの理念を示す言葉だ。本作はアニバーサリーモデルでありながら、防水性に軽量さやクラスプの選択といい、現在のセイコーダイバーズの最先端を表すまさに“本物創り”を体現するようなツールに仕上がっている。これこそが、僕がSBDX067に引かれた理由だ。セイコーダイバーズのヘリテージを参照しつつも、ダイバーズウォッチとしての本質的な進化を果たしている。

SBDX067のダイヤルのみ。拡大して見てもらえば、ウェーブパターンの緻密さと奥行きのある質感がわかるはずだ。

 しかしSBDX067は、単なる最新鋭のハイスペックダイバーズウォッチというだけではない。前作2モデルと同様にダイヤルにはウェーブパターンを施しているが、新たな試みとしてその表面を厚い塗膜で覆い、さらに磨き上げることで、型打ちだけでは表現しきれない奥行きと透明感を実現している。つまり、美観においてもセイコーの技術が惜しみなく注ぎ込まれているのだ。そのカラーも印象的で、深海を想起させる落ち着いたグラデーションを採用。また、前2作に対して穏やかなあしらいのウェーブパターンは、スポーツウォッチでありながら品と上質さを漂わせる。

 実際に身に着けてみると、深いネイビーのグラデーションダイヤルは全面ブラックのものに比べ、より洗練された印象をもたらす。緻密な型押しパターンが光を受けて浮かび上がることで、時計全体が単調に見えるのを防いでくれる。厚みがあるため、フォーマルなジャケットの袖元にはやや不向きかもしれないが、クリーンなシャツスタイルにアクセントを添える存在としてはこの季節にちょうどいいだろう。もちろんスペックは本格的なプロ仕様だが、見た目は決してタフすぎる印象には偏っていない。1968年に“プロフェッショナル”の名を冠したモデルが登場して以来、「ツールとしての実力だけでなく、装身具としての審美性も両立させること」がセイコーダイバーズの哲学とされてきた。このSBDX067は、その精神をまさに体現しているように感じた。

グリーンのルミブライトが強く効いている。暗所での視認性は抜群に高い。

 そして実際に装着して何より印象的だったのが、その軽やかさだ。ボリューム感はあるものの、素材はチタン(一部にステンレススティールを使用)である。上でも触れたように以前SBDX023を所有していたが、着用感はまったく異なる。手首がヘッドの重さに引っ張られるような感覚は皆無で、大振りなツールウォッチにありがちな長時間の装着による疲労もほとんど感じなかった。

 “本物創り”のダイバーズウォッチでありながらデイリーに手にしたくなる美観と実用性をも兼ね備えているSBDX067は、国産ダイバーズの節目にふさわしい才色兼備な1本である。ファッションとしてだけではなく、ツールとしての目線でダイバーズウォッチを嗜好する人であれば、まず満足してもらえるはずだ。

71万5000円(税込)、7月11日(金)発売。世界限定600本(うち国内割り当て200本)。
時計の詳細はセイコー公式サイトへ。


スペック比較

Photographs by Masaharu Wada, Yusuke Mutagami
Video by Kazune Yahikozawa (Paradrift Inc.)、Camera Assistance by Kenji Kainuma (Paradrift Inc. )、Sound Record by Saburo Saito (Paradrift Inc. )、Video Direction  by Marin Kanii、Video Edit by  Nanami Maeda 、Video Produce by Yuki Sato