ADVERTISEMENT
2025年の頭に立てた目標は、年内にどこまで達成できただろうか。思い通りに進んだ人もいれば、途中で軌道修正が必要になった人、あるいは想定とは違う結果にたどり着いた人もいるかもしれない。いずれにせよ、年明けという区切りは、自分の現在地を確認し、次の一歩を考えるいいタイミングだ。2026年の終わりに、どんな自分でありたいのかを考えてみよう。明確な目標でなくても構わない。方向性を定めるだけでも、その後の行動や選択は変わってくる。先を見据えることは、日々の積み重ねをより意味のあるものにしてくれる。
HODINKEE Japanのメンバーにとって、2025年はそれぞれが異なる領域で経験を重ねた一年だった。編集や取材、動画制作、イベントなど、関わるフィールドが広がるなかで、個人としてもチームとしても多くの学びがあった。そうした一年を経て、2026年に目指すものも自然と人それぞれ異なってくる。今回も、2026年に向けた目標を言葉にしていく。これらの声をとおして、HODINKEE Japanの現在と、これから向かう方向を感じ取ってもらえればと思う。
ヴィンテージウォッチをより楽しむ一年に(もちろんモダンウォッチも)
今特に注目しているロレックスのバブルバック。1本は手に入れておきたいところ。
2025年の年始に僕が掲げた抱負は、「日本と世界を結ぶ架け橋となり、独自性のあるプロジェクトやストーリーを発信する」ことでした。振り返ると、この目標は個人的にはしっかりと達成できた一年だったと感じています。
特に印象に残っているのが、フィリップスの刻オークションをきっかけに、日本の独立時計ブランドに目を向ける機会が増えたことです。国内で生まれる優れた時計や、その背景にある思想を、海外の愛好家やコレクターに向けて紹介する取り組みを行いました。また2025年は、工房取材や新作発表などで5回以上の海外出張の機会があり、現地での取材やインタビューをもとにした記事を多く公開できた一年でもありました。
パテック フィリップ カラトラバ Ref. 1527
そして2026年は、ヴィンテージウォッチをより楽しむ一年にしたいと考えています。過去の名作に触れ、その背景や時代性に思いを巡らせることで、結果として現代の時計の魅力や価値が、これまでとは少し違った輪郭で見えてくる。ヴィンテージと現行モデルを行き来しながら、時計という文化そのものをあらためて味わっていきたいです。機会があればモナコレジェンドオークションなどにも参加してみたいと思います。
オーデマ ピゲの創業150周年、ブレゲの250周年やヴァシュロン・コンスタンタンの270周年といった節目を経たいま、歴史を特別なものとして切り離すのではなく、現在へと自然につながるものとして楽しむ。その視点を、エディターという立場から発信していきたいと考えています。
発信のためのチャンネルをこれまで以上に開拓する
ファッション媒体出身として、藤原ヒロシ氏のインタビューはまあ、緊張した…。
この記事が掲載された2026年1月1日をもって、僕がHODINKEEにジョインしてから丸3年が経過したことになる。自分で言うと恥ずかしいが、1年ごとに少しずつ自分のキャパを広げながら、ステップアップをして来たつもりだ。2023年は初めて触れる時計コミュニティにおっかなびっくり飛び込んで行き、2024年はとにかく時計に対するパッションを記事で表現することに心血を注いだ。そして2025年は、堅実に記事を作り続ける裏で地道にショート動画の作成に勤しんだり、単身インタビューに走り回ったり、半年かけてG-SHOCKのORIGINを追いかけたりと、なかなか忙しい日々を送っていた。取材にご協力いただいたブランド関係者の方々、撮影にお付き合いいただいたスタッフの方々には、心からの感謝を申し上げたい。そしてそんな日々のなかで、ひとつもどかしかったことがある。それが、個人としての発信力だ。
日本の伝統工芸を取り入れたジャパンブランドに言及した動画。“喋る”というのは、ひとつの技能であると思った。
これは抱負であると同時に、僕の欲でもある。HODINKEE Japanの一員として発信を続ける僕ももちろん重要なのだが、個の発信を強めることもまた、HODINKEEを取り巻くコミュニティを面白くすることにつながるんじゃないかと、同僚たちを見て感じていた。僕個人の影響力は、まだまだ小さい。その拡充のために、IGライブ、YouTubeへの積極的な出演、なんだったらYouTubeアカウントの開設(先人もいる)と、できることはまだまだある。せっかく2025年、6人に増えて幅も広がったHODINKEE Japanだ。自分ならではの“好み”を、もっと皆さんに知って欲しい。好みもできることも、それぞれに違うのがHODINKEE Japanの魅力だ。まずはその発信のためのチャンネルを増やすことが、僕の抱負だ。HODINKEEの記事以外のどこかで見かけたら、ぜひ応援してほしい。
時計を好きでいる気持ちに正直でいる
2024年は実機に触れること、2025年は気になるテーマを掘ることに力を入れた。時計そのものを見る目は少しずつ増えたけれど、気づけば“どう語るべきか”、“どこが新しいのか”と、頭が先に動く瞬間も増えてきた。もちろんそれは仕事として大事なことだ。ただ時計の世界のいちばんいいところは、理屈より先に心が動くところにあるはずだとも思う。
だから2026年は、もっと素直に時計を楽しむ1年にしたい。取材で触れる時計はもちろん、プライベートでも服装に合わせてではなく今日はこれを着けたいという気分を優先してみる。展示会でも、まずは難しいことを考える前に腕に乗せて、自分のテンションが上がるポイントをちゃんと自覚する。時計を理解することと同じくらい、時計を“好きでいる”ことに正直でいたい。
そしてもうひとつ、時計を楽しんでいる人の話をもっと聞きたい。時計好きの方はもちろん、普段私生活であまり時計の話をしない人や、毎日同じ1本を身に着けている人の手元にも、おもしろさが隠れている気がしている。なぜそれに決めたのか、いつから使っているのか、どんな日に選ぶのか、いちばん好きなところはどこか。そんな質問をきっかけに、その時計がその人の生活のなかでどう生きているのかを教えてもらいたい。取材やイベントの現場だけでなく、プライベートで出会う人たちにも聞いてみるつもりだ。
記事でも説明だけで終わらせず、これが楽しいと感じた瞬間や、その人の言葉で見えてくる輪郭をきちんと残す。読んだあとに、時計に詳しい人もそうでない人も、少しだけ手元が愛おしくなる。そんな温度の記事を増やしていけたらと思う。
より一層有益なコンテンツを。そしてリアルな場への積極的な参加を!
2025年に手に入れた時計のひとつ。チューダー ブラックベイ プロのRef.M79470-0001だ。とはいえ、手に入れて早々トラブルに見舞われたため着用の機会はそれほど多くなかった。2026年こそ活躍できることを願っている。
2025年は、“あらゆることに挑戦する年に!”が目標だった。振り返れば、自身が編集を担当した谷原章介さんに登場いただいたTalking Watchesは、多くの方に楽しんでもらえた(そしてHODINKEE Japanチャンネル登録者数アップにも貢献した)ようだし、夏にはHODINKEE Magazine Japan Edition, Vol.10 発売記念イベントとして東京・南青山のMAZDA TRANS AOYAMAを会場に、マガジンでも取り上げた貴重なコスモスポーツの試作車、そして2025年の話題の中心にあった多くの永久カレンダーを同時に展示するという特別な機会を実現することができた。そして2025年は、新たな時計も迎えた。1本と言わず数本も。そう考えると、2025年の目標はおおむね達成することができたと思っている。
“夢のエンジン”とうたわれたロータリーエンジンを搭載したマツダ コスモスポーツのプロトタイプ。“イベントの際に展示できたらいいな”という軽い気持ちであったが、思いは言葉にしてみるものだ。
さて、2026年の目標だ。これは2026年に限ったことではないが、より一層有益なコンテンツを発信、提供していきたいと思っている。時計メーカー(ブランド)とエンドユーザーが直接繋がることができる今、そこに我々メディアが介在する意味を改めて見つめ直したい。時計メーカー(ブランド)が伝えきれない思いや魅力をメディアがわかりやすく言語化、ビジュアル化し、読者にとってたったひとつであっても有益な情報、ほかでは得られない情報を提供し続ける。その積み重ねがきっと“HODINKEEらしさ”となり、HODINKEEが発信するコンテンツを楽しんでもらえる原動力になるのではないだろうか。
そのためにもPCと睨めっこするだけでなく、もっと積極的にいろいろな人と会い、リアルな場に参加していきたい。それこそ貴重な情報を得るためにも2026年は海外取材に参加してたくさんの関係者に会いたいと思っているし、さまざまなイベントに参加して読者の皆さんとももっと話をしたいと考えている。そうすることで、時計メーカー(ブランド)にとっても、読者にとってもハッピーな未来が作られていくことを信じて。
インディーズからメジャーへ
早いものでHODINKEE Japanをローンチしてから丸6年が経ち、次の節目は2029年の10周年だ。当初、和田と2人で立ち上げたこのメディアもメンバーが増え、だいぶ日本の時計好きの皆様に知っていただくことができたと思う。その道中は平坦なものではなく、発足直後にコロナ禍に見舞われ、その影響が長く続いたことでスイスをはじめとした海外取材にもなかなか出かけられない日々が続いた。手探りの日々が続いたからこそ得たものも多いが、これから先はメディアとして成長を続けるべくより大きなパートナーとイベントなどの仕掛けをつくるなど、国内外を問わず時計に興味のある人へさらなるインパクトを与えることにチャレンジしたい。
僕は時計の世界に入って今年で13年になる。経験のなかで思うことは、長く時計という趣味を続けるほどに趣味趣向が確立されていくということ。ただ、それは他のものを受け付けない裏返しにもなり得る状態で、それはとてももったいないことだ。昨年、タイで勢いのあるデコラム(The Decorum)のイベントに顔を出したとき、テーラードジャケットに革ベルトのヴィンテージウォッチを着けたローカルの人々を見て衝撃を受けた。日本以上に暑いあの国で目にする光景とは思わなかった。僕たち日本人が知らない時計に対する価値観はまだまだありそうだし、それは他のアジアの人々にとってもそうだ。だからこそ、お互いの時計の楽しみ方を国を超えてエクスチェンジできるハブのような存在に、HODINKEE Japanをしていきたい。
ここまでの道のりが、インディーズでなんとか認められた6年だとしたら、10年の節目までに目指すのはメジャーだ。ミリオンセラー(ちょっと古いか)を出せるかは置いておいて、時計という楽しみがもっと“開けた”ものになることに貢献できたら嬉しい。
話題の記事
Introducing アルビスホルン、タイプ 10 “オフィサー”で軽やかな印象に
Photo Report オリバー スミス ジュエラー恒例イベント、カーズ&シガーでのウォッチスポッティング
ジェラルド・ジェンタによる“知られざるブルガリ”を追って