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Introducing サイモン・ブレットがクロノメーター アルティザン スティールを発表―これまでで最も大胆なスタイル

色が変化するダイヤルと、まもなく公開されるSS製ブレスレットを備え、クロノメーター アルティザンがかつてない姿で登場した。

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我々が知っていること

以下に掲載するのはサイモン・ブレットの最新作、クロノメーター アルティザン初となるステンレススティール(SS)仕様の3つの新しい外観だ。これは同じ時計の異なる3つのバージョンではない。実際には、ひとつの時計が多様な表情を見せているのだ。

 超高級スポーツカーに施される最も奇抜な“カメレオン”カラーのシフトペイントさながらに、新しいSBCA スティールはホワイトゴールド(WG)製のダイヤルに“オーロラ ウェーブ”と呼ばれる新しいテクスチャーを採用。そこに原子層堆積(ALD)コーティングを施すことで、深いグリーンから強烈なバイオレットへと色が変化する。さらに、暗所ではダイヤル外周のトラックや、針のハイセラム製インサート、さらにはケースの“アリ継ぎ技法”が施された部分の蓄光処理が浮かび上がる。

Simon Brette Chronomètre Artisans Steel
Simon Brette Chronomètre Artisans Steel
Simon Brette Chronomètre Artisans Steel

 まだご存じない方のために説明すると、私たちはサイモン・ブレットについて2023年に発表された初作以来、そして昨年のローズゴールド仕様に至るまで継続して取り上げてきた。インディペンデント界の寵児としてきわめて高い需要を集めるなか、彼のチームはその需要に応えるべく、生産体制を徐々に拡大している。ただし依然として需要は供給を大きく上回っており、ローズゴールドは50本、SSは60本のみの製作にとどまっている(チタン製の初回生産モデルも99本未満だった)。それでも、彼の時計が当初からこれほどまでに渇望されてきた理由は、いまなおすべて健在だ。

 今回、これまでで最も大胆な表現が施されたダイヤルは、その魅力の一部にすぎない。それでもなお、巻き上げ機構を固定するネジに配されたパープルブルーのアクセントなど、ダイヤル全体からオープンワーク部分へと紫のトーンが連続する、思慮深いディテールが随所に見られる。ムーブメントはこれまでのモデルと同一で、72時間のパワーリザーブを生むツインバレル、可変慣性モーメントが調整可能な大型テンプ、1万8000振動/時の振動数、ブレゲげヒゲゼンマイ、そしてS字型ストップバランスが視認できる構成となっている。

Simon Brette Chronomètre Artisans Steel

 ムーブメントにはグレーの色調が戻り、SS製のブリッジはPVDコーティングを施したあとに面取り部分に再度ポリッシュ仕上げを施している。歯車はWG製だ。ふたつの香箱を巻き上げるためのコハゼには、パープルのALDコーティングが施されたセクションが覗いており、表から裏へとデザインの統一感を持たせている。それから、もしウルフティース形状の歯車や凹型のネジにまだ気づいていないなら、もう1度じっくり見る価値がある。

 この時計は納品時に3種類のストラップが付属する。ラバー、カーフスキン、そしてここでは写っていないが(まだデビューには至っていないものの)、ブランドが設計したSS製ブレスレットも用意される予定だ。このブレスレットは、ムーブメント設計から引き継がれた146本の凹型ネジを含む446点の部品で構成され、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げを施したリンク、容易なサイズ調整機構、コンフォート エクステンション、そしてダブルブレード式クラスプを備えている。サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン スティールの割り当てが確定している60名の顧客に向けた価格は、8万1000スイスフラン(日本円で約1600万円)である。


我々の考え

この2年間、サイモンは色調が変化するコーティングを施した、この新しいスティール仕様について私に語り続けてきた。彼の言わんとするところを想像するのは難しかったが、どれほど想像を膨らませても、これほどのものになるとは思い描けなかった。クロノメーター アルティザンは(例えばロジャー・スミスのシリーズ1や、レジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポラン IIと比べれば)、決して最も伝統的な時計ではないが、かといってウルベルクのような存在でもない。このモダンさとハイエンドかつクラシックな技法とのあいだにあるせめぎ合いこそが、SBCAをこれほど興味深いものにしており、ダイヤルに施された新しいALD処理は、その緊張感を一気に最高潮へと引き上げている。

Simon Brette Chronomètre Artisans Steel

 SBCAの最初の2作はより実用的で装着しやすく、実際の使用感に軸足を置いたものに感じられた。いわゆる“IYKYK(知っている人にはわかる)”タイプの時計で、家族の集まりや企業のイベントに着けていっても、声高に主張することなく(『ザ・トゥナイト・ショー』に出演していない限り)、自分のなかでのみ自身が時計好きだと静かに理解できる存在だった。今回のSBCAはその大胆さを隠すことなく、まったく異なる顧客層に訴えかけるものだろう。あるいは単にサイモン・ブレットの時計を手にできるならそれで満足、という人たちのもとに行くだけなのかもしれない。私もそのひとりだ。

 すでにすべて割り当てが完了したあとでこの時計を紹介することしかできないのは残念ではあるが、ブレットは次の時計のアイデアが頭に浮かんだ瞬間からオーダーを受け付ける人物でもある。ちなみに次作はプラチナ製になる予定だそうなので、構想を練り始めているいまのうちに、連絡を取っておいたほうがいいかもしれない。


基本情報

ブランド: サイモン・ブレット(Simon Brette)
モデル名: クロノメーター アルティザン スティール(Chronomètre Artisans Steel)

直径: 39mm
厚さ: 10.5mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: 紫から緑へと色が変化するALDコーティングを施したホワイトゴールド
インデックス: プリント
夜光: ハイセラムインサートを施した針、スーパールミノバを塗布したミニッツトラック(数字以外)、ハイセラム製の“アリ継ぎ技法”による蓄光の埋め込みパーツを備えたセコンドトラックとケース
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: SS、カーフレザー、ラバー製のストラップ3本が付属。SS製のブレスレットはWatches & Wonders頃に登場予定

Simon Brette Chronomètre Artisans Steel

ムーブメント情報

キャリバー: SBCA
機能: 時・分表示、ハック(秒針停止)機能付きテンプ
直径: 33mm
厚さ: 7.8mm
パワーリザーブ: 72時間
巻上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 24
クロノメーター認定: なし


価格&発売時期

価格: 8万1000スイスフラン(日本円で約1600万円)
発売: 完売
限定: あり、60本限定

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