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2021年、多くの人が衝撃を受けたのではないだろうか。パテック フィリップのなかでも絶大な人気を誇ったステンレススティール製ノーチラス Ref.5711が生産終了となったのだ。同年は新作よりもむしろ、この人気モデルの生産終了が時計業界で大きな話題となり、HODINKEEでもそのニュースを速報として紹介した。その後もその年のパテック フィリップに関する話題といえば、このRef.5711の生産終了にまつわるものが多くを占めた。当時はノーチラスに象徴される、いわゆるSS製のラグジュアリースポーツウォッチ人気絶頂の最中だった。決して人気に陰りが見えていたわけではない。そんななか、なぜRef.5711はディスコンとなったのか?
現行のノーチラスコレクションにおいて SSモデルとしてラインナップされているのはコンプリケーションモデルで、2針、3針のシンプルなものは女性向けの7118に限られている。
Business News パテック フィリップ ノーチラス Ref.5711がディスコンに
パテック フィリップの社長、ティエリー・スターン氏は、Ref.5711の生産終了に際してNZZ(Neue Zürcher Zeitung)のインタビューでその理由を明かしている。
大きな理由のひとつは、特定のコレクション、リファレンスによってパテック フィリップというブランドイメージが支配されることを避けるためだ。同ブランドでは、過去に特定のモデルにコレクションが偏りすぎていたことがあったと言い、生産終了はそうした過去の二の舞にならないようにするための決断だったようだ。市場のトレンドも、特にユーザーの好みというのは突然変わる可能性がある。そうしたときにひとつのモデルにイメージが偏ってしまうと、たしかにそれは大きなリスクになるだろう。
またパテック フィリップのような高級ブランドにとって、ゴールドやプラチナよりも(コスト面で)安く作ることができるSSモデルを数多く作ることは、それだけで大きなリスクをはらんでいる。一般的には貴金属ケースの時計よりも、SS製の時計のほうが価格も安く需要は多い。また、販売する側としてもSS製の時計のほうがはるかに売りやすいだろう。だが、一度“手頃な価格のSS製ウォッチのブランド”というイメージがついてしまうと、その後ゴールドやプラチナの時計を販売することは困難になる。実際、一部のブランドでは1970年代にそのような問題を抱えていたようで、なかには2度と貴金属ケースの時計を売ることができなかったブランドもあったようだ。パテック フィリップといえば、時計業界でもハイエンドな高級ブランドだ。わざわざそうしたイメージを崩してまでSSウォッチを数多く作るメリットはないだろうし、手頃なイメージが強くなることはリスク以外の何ものでもないだろう。
こうしてSS製ノーチラス Ref.5711は市場から姿を消したのだ。
だが、2026年はノーチラス誕生50周年というアニバーサリーイヤーだ。ノーチラスがSSモデルからスタートしたコレクションであることを考えると、Ref.5711に変わる2針、3針のシンプルな新しいSS製モデルの登場は十分に考えられるだろう。だが、筆者の個人的な予想ではレギュラーコレクションとしてのシンプルな2針、3針のSS製ノーチラスは登場しないのではないかと思っている。
そう考える大きな理由は、前述のRef.5711がディスコンとなった背景だ。パテック フィリップ自身がシンプルな2針、3針のSS製ノーチラスを作り続けることにリスクを感じて生産終了を決めたのに、それをわざわざ復活させるメリットはあまりないだろう。そしてもうひとつの理由は、アクアノートとキュビタスコレクションの存在である。Ref.5711に代わるレファレンスとしてアクアノートでは5167Aが、そしてキュビタスでは5821/1Aがあり、この2モデルがパテック フィリップにおけるSSモデルの供給量の上限と定めたのではないだろうか。
2024年に発表されたキュビタスコレクション。
もちろん、これは筆者の個人的な予想に過ぎない。その答えは2026年のWatches & Wonders Genevaでの新作発表で明らかになるが、皆さんはどのような考えをお持ちだろうか? 下記に、HODINKEEで過去に公開したRef.5711や、そのディスコンに関連した記事をまとめてみた。ぜひとも本稿と過去の記事をチェックし、2026年、シンプルな(2針or3針の)SS製ノーチラスは登場するか否か、皆さんの予想を聞かせて欲しい。
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